知らぬはワタシばかりなり

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     やはりモーツァルトのオペラは「魔笛」だろう。そんな思いが浮かび、

    YouTubeで探したっけ2006年ザルツブルグの公演を見始めて最後まで

    観てしまった。序曲から名曲がズラリだし、舞台装置も面白くて、つい。

    狭小なワタシのオペラ鑑賞であれこれ言うのは口幅ったいけど、こんな

    名曲揃いはベルディ「リゴレット」だけなんじゃないか。独言。

     

     物語は進み、かの有名な「夜の女王」のアリアで思わず身を乗り出す。

    唄うはディアナ・ダムラウなる女性。聞いたこともない名前だ。感心は

    素早く感動に至り、Amazon musicでさらに追っかけたら、う〜む、

    いろいろ唄ってるやないか。知らぬはワタシばかりなり。いや、まったく

    もって失礼しましたの段。

     

     オペラは当たり前、ミュージカルでもなんでもござれ。声がいいだけ

    じゃない、さまざまな性格に合わせることができる歌唱力と共に演技も

    できる、う〜む、唸りっぱなしなんだわさ。なんと日本の唱歌まで

    唄ってる! 誰の入れ知恵かわからないけど、これも悪くはない。

    雨ふりお月さん。相撲に把瑠都を初めて見た印象とよく似てる気が。

    ちょっと奇妙だけど魅力がある。こうして聞いてみると改めて唱歌の

    良さを感じるなぁ。

     

     私の知るところ、これに比肩しうるのはデビュー当時の森山良子

    くらいしか思いつかない。

     

     ディアナ嬢にうつつを抜かしつつもテーブル作りは進んでいるのダ。

     

     宙吊りの大カゴの中をどうにかしないとカタチにならない。ここに

    なんでも放り入れてくれ、じゃ乱暴すぎる。あれこれ考えるも決定打が

    出ない。なんか棚みたいなのはどう?・・・・・・さて??。カゴに

    穴は開けたくない、棚そのものはできるとして、どうやって固定する?

    最良とは言えないけど次善の策として、針金を使うことにする。

     

     ここに写っているように、支えの竹を、カゴの隙間から上下二ヶ所で

    針金で固定し、さらに最上部でグイっと反らせようと。

     こんな感じ。まぁまぁじゃね。カゴの内周の6ヶ所の支えが出来上がり

    そこに板を乗せようって按配。一見カンタンそうに見えるけど、6つの

    点の高さを揃えるのが一苦労でね。針金できつく縛ってある竹、数ミリ

    高く低くするのは根気がいります。試すこと十数回、キッチリ同じとは

    ゆかないけど我慢できる範囲にはなった。まずはめでたいと一服。

     板の直径を決めるアイデアはいずこ。おおよその見当で薄いベニヤを

    切る。穴にカゴを置いてみて徐々に完成に近づくアナログ試行錯誤。

    大した技術じゃないけど時間だけはかかる代物だ。

     竹には竹、カゴにはカゴ、安易に考えたわけじゃないけど、これ以外

    アイデアが浮かばないんだからしょうがない。板に7つの穴を開け

     小6個、中1個のカゴを置くことになった。

     

     帯に短し襷に長し、カゴ探しもほんのチョッピリ苦労した。ネットで

    探すも小さいのがない。高価すぎるし。単に大きさだけでも中と小は適度

    なサイズが求められる。カゴの編み方なんか気にしちゃいられません。

    結局中は自宅にあったもの、小は合羽橋で見つけたもの。けっこう

    ギリギリだけどこれしかないんだからしかたない。

     

     今はこの段階。ウレタン塗装4回塗り。小さな脚なら経験済みだけど、

    こんなデカイのとなると何回塗ればいいのかわからない。塗料が濃い

    と刷毛ムラが目立つ、濃淡の基準がわからない。裏面で練習、刷毛を

    代え、試し試しでやるしかない。大きな失敗が起きませんよう、祈る

    気持ちで塗り重ねの末、ここで止めることにする。

     

    カゴと組み合わせたらどうなるものやら・・・・・・な、店主でした。

     


    テーブル続報だ

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       過日、テーブルを塗る刷毛を求めて日本橋の江戸屋。以前から刷毛を

      買いに訪れたことがある老舗だ。ホームセンターでも売ってる刷毛でも

      いいんだけど、それじゃウェグナーに失礼だ。それに、此処のは

      滑らかさが全然違うんだ。面白いのは、買いにゆくたんびに「何に

      お使いになるの?」と聞かれること。みんなに聞いてるのかなぁ? 

      それとも俺だけ??

       買ったのは、極上品と銘打ったコレ。指先でしごいても頬に擦っても

      官能的といえるほどのコシにウットリ、即決で贖うことにする。

       刷毛を挟み込んでる柄は格別変わらない感じ、刷毛の根っこに巻いて

      ある楕円状はなんだろう。紙のようでもあり木の皮のようでもある。

      根っこの切断面になにか塗ってある。漆かな。ここも真っ平らの

      スベスベ。

       先端は真円に近い。素晴らしい肌触り。

       塗装はまるで素人だ。せめて道具で補えれば、となればどうせなら

      最高品を求めたいと思ったわけだ。始めに見せてくれたのが千円で

      ホームセンターのとさほど変わらない、最高級のは? 奥から出てきた

      のがコレ。そりゃ確かに刷毛にしては高額だけど、考えてみればたった

      6千円で、極上品が手にすることができる機会なんてそうあるもんじゃ

      ない。これで出来が良くなかったとしても悔いはない。なんたってこれ

      以上の道具はないんだから、出来の良し悪しはひとえに私の技量に

      よるものまことに明快で気持ちいい。

       

       さてと、甲板ドーナッツは出来上がったが、端面処理で考える。

       これじゃなんとも素っ気ない。そこで先人の知恵、アメリカの

      Ethan Allen社のカタログをおもむろに開く。出番の少ないこの本、

      久しぶりだ。装飾とは無縁のモダンデザインに親しんで久しい、無駄を

      排したシンプルが至上の我が身、古典の装飾には手も足も出ないんだ。

       円卓の端面処理はあまり載ってなくて、いくつかの候補の中で、

      これならいいだろう。工房にある刃物で対応できそうだ。ついでに

      脚も調べとこ

       私のテーブルに合う脚はなかなか見つからない。同類のテーブルでは

      皆無、製作不能の猫脚かぶっといのばかり。行きつ戻りつ、ベッドの脚で

      ようやく発見、この写真の脚?をひっくり返して使うことにする。

       端面は、ルータービットから選んで、こうなった。上下面を2種の

      ビットで加工する。

       さらに内側を欠き落とす。円形のベニヤを落とし込むためだ。

       最安価の荒肌ラーチベニヤ、厚さ9个鯀んだ。ザラついた質感が

      向いてると思ってね。ベニヤはあまり種類がなく、これ以外だとラワン、

      シナ、フィンランドバーチなんてのもあったかな。スベスベなのは本家に

      お任せ、こっちはザラザラでゆく。でもこのベニヤは反るんだ。反ると

      段差が生じる。でもなぁ、しょうがない、なんとかなるだろ・・・・・。

       

       

       お次は脚となる。長さ70僂曚匹粒兀爐ら削り出す。中央部が遠心力

      でブレるのが怖かったけど、想定内。雑誌を原寸大まで拡大コピーして、

      部分の寸法を測って記入したものを目の前にぶら下げて削る。手慣れた

      作業だ。

       

       旋盤で加工するのは挽物という。材料はカバ材がいい、定寸の6.6儚

      長さはおおよそ1m。角材を丸棒にするのが一番怖い。角材は反ってる

      ねじれてる曲がってるからね。それが高速回転するから音も風も怖いんだ。

       削って所定の長さに切って、いよいよ穴開け。なぜか日本では棒の

      長手方向に穴を開けるボール盤がない。仕方ないから、こんなふうに

      やるしかない。キッチリ垂直かどうかわからないけど、一応誤差は

      極小にセットしてあるけど・・・・・・・・・?。

       そしていよいよボルトの締め込み。上部は3/8インチのボルトで、

      下部は木ネジ仕様。正しい下穴の径がわからない。ネジ山とネジ谷

      を測って、こんなもんだろうと穴を開け、ネジをグイグイと締め込む。

      最も恐ろしいのは斜めに食い込んでいった時だ。一度ついたネジ跡は

      修復できないからね。過去の失敗が頭をよぎるものの、意を決して、

      後はどうなろきゃーなろたい

       

       一応形になりましたバイ。ま、こんなもんだろう。まだ竹籠は挿入

      してないけどお試し済みだからダイジョウビ。心持ち脚が細いような

      気がする。でも、この太さが限界値だから諦めるしかない。見た感じ

      悪くないし。

       そんな思いでいたところネットで観た「ロケットマン」で同様の

      テーブルが出てきてね。測ったわけじゃないけど、見た目同じじゃね?

      と一安心。まずまずだろう、私の勘に狂いはなかった、偉いぞオレ

      なんちって。

       

      極上刷毛を眺めつつ塗装に逡巡する・・・・・な、店主でした。

       


      真摯にカバーする

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         過日、畏友T野井さんから☎、一献傾けようと、むろん喜び勇んで出向く。

        溝ノ口駅南口からすぐ、道路角にあり、積み重なった歴史が伺える素敵な

        汚しの店、母娘が営む。種子島焼酎を痛飲して、久しぶりの千鳥足で帰宅。

         

         話の中、カバーが出てきた。いわゆるポピュラー音楽の分野で、

        過去に他人が発表した曲を歌唱編曲演奏して発表すること」

        カバーだ。んでね、翌日気になってあれこれ探してみたわけ。考えてみれば

        昔はよくあったけど今じゃオリジナル全盛の風潮が闊歩してる。私の

        大好きなエラは軒並みカバーだ。もちっと新しいのはニルソン、シルビア・

        シムズ、他にないかと散歩したらカーリー・サイモンに出会う。

        ウレシイなぁ、グレンミラーに始まり名曲が目白押しだ。

         

         洋楽だけじゃ片手落ち、日本はどうだろ。カバーされる名曲はて〜と、

        とりあえず「黄昏のビギン」に決め、You Tube。いろいろな歌手が

        歌ってるもんだ。次々と聴き、高橋真梨子。やはりというか、相当いい。

        Amazon musicでさらにアルバムを聴く。こんなアルバムが出てること

        知らなんだ。ぬかってるなアタイ。もっとないかと、ちあきなおみを

        思い出し、聴いた瞬間(既聴済みだけど)これで決まりだな、改めて

        彼女の真価を思い知らされる。なんて上手いんだ。そもそもまるで

        声が違うんだな。

         

         で、私のソーイングテーブル。ウェグナーのカバー作品なことは確か。

        カバーするからには、山ほどの敬意尊敬尊重を背負って五体投地とまでは

        行かないにしても、敬意を心に念じつつ失礼のないように真面目に真摯に

        取り組まなければいけません。彼にとっちゃ「そこはそうじゃない」と

        思うとことが無数にあるだろうけど、作るのは私だ、充分尊重しつつも

        私の思う通りに作らさせていただく。

         

         天板のサイズは決まった。次は材料だ。友人のT本氏はベニヤがいい

        と言われるが、やはりというか、ここは無垢材で作らさせていただく。

        なぜと問われれば、円卓の外周と厚さ。ベニヤだと切断面にテープ処理

        をせねばならず、間違いなく失敗するからね。厚みはて〜と、120×

        240僂芭磴┐1.8僂鮖箸辰燭箸靴董大きくて重くてどうにもなら

        ないに決まってる。こっちの攻防は狭いからなおさらだ。

         で即、井口材木店に☎相談。厚さ4僉幅28僉長さ4mほどで

        適材ありやなしや。厚さ長さは問題なし、幅28僂箸覆襪噺堕蠅気譴襦

         

         ここでウェグナーと私の能力差を考える。あっちは極上の木材

        (多分)と優れた技術、同じ土俵に上がったら勝ち目はない。勝ち負け

        ってことではないこたァわかっとるが。そこはそれ気にはなる。結局

        こっちは節ありまくりのツーバイフォー材に決めた。あっちは上品なら

        こっちは西部劇にでも出てきそうな粗っぽさでゆこう。厚さ2㌅で幅

        12㌅(28.6僉法長さは12フィート(4.27m)、安価すぎるから型板に

        使う厚さ4个4×8のベニヤと一緒に届けてもらう。それでも安すぎて

        申し訳ないけど。

         

         まずはドーナッツ状を6分割する部材のおおよそのサイズを決める。

        使うのは4丱戰縫筺

         初めて原寸を見る。地下は狭いからとても大きく感じる。こんなに

        大きなテーブル作ったことないんだもん。

         円卓のサイズが決まって、6等分を割り出して、大まかにジグソーで

        切断

         いよいよ本チャン、愛機に治具を固定し、6枚切っては合わせての

        調整を繰り返す。極小の角度の違いが、最後の合わせ目で大きな狂い

        になるからこんなアタイでも真剣にならざるを得ない

         切断した6枚、合わせて隙間を確認する。5枚までの隙間はほぼゼロ、

        最後の合わせ目で隙間は必ず発生する。床に置くだけでのいい加減な固定

        だからなおさらだ。それでもできるだけ隙間が出ないようにと込められた

        願いは叶うのだろうか? きっと神様はわかってるんだろ

          女神の微笑みで、最終的には2.5个侶箚屬達成された。ウンウン。

        真ん中の三角材は仮の円弧を描くための中心。

         

         次に、六枚それぞれの加工線を描き、このように。外円を欠き取り、

        内円中心に穴を開ける。

         部材の合わせ面、二筋の溝を切る。ここには同じ厚さの板(核:

        さね)をはめ込んでボンドで固定するという次第

         2枚の部材固定中の図。合わせる面同士を直角に締めなければイカン。

        外側は2つのクランプ、内側は2本のハタガネで締め上げる。外円の

        出っ張りはクランプ用、内円の穴はハタガネ用というワケだ。これを

        二枚、三枚と接着してゆき、

         最後の接着となる。片方は隙間ゼロなれど片方は2.5个侶箚屬ある。

        その隙間を取り去る方法は、

         私はノコギリで切るしかない。T本さんはカンナで削るって言ってた

        けど、腕のない私には到底無理だ。ノコの切断面は当然キレイじゃない

        けどさ、なによりもまずは隙間をなくすことが先決問題。

         クランプで締め上げつつ、隙間をノコで切ることはけっこうな難事、

        切ったそばから部材が押しあいへし合いで、挟まれたノコは動かなく

        なりまする。クランプを緩め、切ってはチョイ締め、チョイ切りの

        チョイ締めの繰り返しだ。なだめすかしてなんとかなるもんだ。

         ようやく全周が出来上がった。あとは、ジグソーで切るだけだから

        峠は越えたと、一服。

         ジグソーで切るには正確な円弧を2つ描かなくてはならない。その

        ためにはしっかりした中心を作らなければならない。端材を切って

        しっかりした中心を仮固定。

         ほれみてくんない。この通りだ。

         

        次号に続く、乞うご期待?・・・・・・・・・な、店主でした。

         


        ガチンコ勝負

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           前々回お伝えしたソーイングテーブル、作り呆けている続編だ。

           

           ともあれ、まずは主人公の籠のサイズを測ることに異論はあるまい。

          いろんなモノを作っているけど、どれも奇妙なものばかり。久しぶりに

          家具とのガチンコ勝負だから、みっともない失敗はしたくない。知らない

          ゆえの失敗ならばしかたないけど、知ってたけどのうっかりミスだけは

          したくない。

           

           この籠の広口部分は充分に歪んでいることは目視でわかる。

          けっこう幅広の竹で編んであるから歪みは直せない。多少無理して

          押し込むことはできるけど・・・・・・・・・・

           手持ちの端材で、籠の大きさに合う枠を作る。ホントは円形だけど、

          寸法取りのモデルだから六角形でOK。およそ4僂粒兀爐覆虧擇佑犬

          仮止めができる、籠の広口より1冂度の余裕があるようにざっと

          作ってみた。まぁ、こんなもんだろう

           一次モデルを参考にして二次モデルを作る。材料は幅広の2×4

          (およそ4×9僉法それを床に置き、籠をひっくり返し、サイズ確認。

           さらに枠に籠を落とし込むべく部品、位置を決める

           こういうことだ。いずれ枠は円形になるけど今は六角形、角の合わせ

          部分を利用して籠を落とし込むべく部品の取り付け。ちなみに、9僂

          部材をねじ止めするのはかなり困難、切断面を合わせボンド付けだけ、

          固定は大きなホッチキス様のエアタッカーのみ。いずれは壊す仮組み

          だからこれでいい。

           二次枠が出来上がり、籠を落とし込む部品もついて、脚を取り付ける

          ために穴を開ける。小さなボール盤にちょこんとしか乗らない。オレンジ

          板は枠の固定を助ける補助板だけど、大した効果はなく、しっかり固定は

          無理、写ってない左外で左手で固定したな、確か。老眼でピントが合わず

          ドリルの先端部が正確位置に合ってるのかどうか?(枠が大きすぎて

          ドリル刃先に目が近づけないのさ)。さらに手の震えもある。いまさら

          条件悪化を嘆いてもしかたない。

           昔作った余りの丸棒部材を使って二本脚で仮固定。丸棒に合わせて

          穴を開け、差し込んだだけでグラグラ。一本脚ならとてもじゃないけど

          この姿勢を保つことはできないだろうな。だからの2本脚。この脚は

          テーブルの高さを確認するためだけでね、広さはまだわからない。

           ここまでは誰がなんと言おうと間違ってはいないだろう。イメージ

          通りの進み方に満足至極。

           

           

           高さはおよそ70僉⊆,帽さを確認するためのベニヤを切り抜く。

          よく使う3×6(90×180僉砲離戰縫笋任和りない。その上の

          4×8(120×240僉砲鯑呂韻討發蕕辰董半分に切って、そこから

          切り抜ける最大サイズ直径120僂鮴擇衄瓦い討澆襦デカイな、これ。

          すぐ地下に降ろそう。あいや〜、入りませんがな。地下への開口部を

          通過できない。ならばと110僉△海譴任皀瀬瓩。さらに105僉

          斜めにすれば大丈夫そうだ。ってことで、円卓の直径はこれでキマリ。

          というか決めざるを得ない。

           

           カタチの美しさとか全体のバランスとかいっても現実を無視する

          ことはできない。地下で作る現実、持ち出すための限界サイズの現実、

          広口籠の直径が60僂慮充臓△修海ら導き出された天板の直径が

          105僂蓮▲丱薀鵐垢良かろうが悪かろうが反論の余地はないだろう。

           

           モノ作りでよくあるのは、あり得るかもしれない製作方法や材料

          選び、構造、カタチ、機能などで思い悩むことだ。その時はイイと

          思っても後になってさらに良い別の考えが思い浮かぶかもしれない

          心配のタネは尽きない。あらゆる段階でいくつかの選択肢があり、

          その時点で最良の策と思われる方法なり考えなりを選ばないと先に

          進めないのは当たり前だ。

           とはいうものの、なにか別のアイデアが潜んでいるんじゃないか、

          私が気づかないだけなんじゃないか、と逡巡することはしょっちゅう。

          マジで日夜頭を離れない。なにかの拍子でふっとアイデアが閃いたり

          した時は、まさに女神が微笑んだ! と思えるほどの快感がある。

          この快感はひょっとしてSEXよりもいいんじゃないかと思うほどです。

          誰も理解できないだろうこんな快感は、モノ作りの醍醐味に違いない。

           

           経験したことない奇妙なデザインなら失敗に気づいても諦めが

          つくけど、今回のテーブルは構造も工程もかたちも定番だから

          失敗はかなり心が傷つくことになるだろうな。でも、ここまでの

          ところ大きな失敗はなくすべて想定通りで気持ちがいい。

           

          かくして試作は終り、いよいよ・・・・・な、店主でした。

           


          モンドリアンベンチ

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             昨晩、母の郷里から☎、叔母が亡くなった知らせだ。93歳。歳に不足は

            ないというものの・・・・・・。

             

             子供の時、毎夏休み遊びに行った米沢。ほとんど毎日川に泳ぎに行った

            楽しい思い出が満載の地だ。母が亡くなり、叔父叔母が次々と亡くなって

            節子おばさんが最後だった。本家にいる従姉妹はいるものの、縁は薄れる

            ばかり。子供の頃の楽しい思い出は、消え去るんだと、こんな私でも

            感慨に耽る。猛暑の川遊びの懐かしき思い出もこうやっていずれ私の記憶

            からもフェードアウトするんだろう。

             

             ってなこと言いつつ、所変わってベンチが出来上がったんだ。

             ツマミ屋だけなら店前の駐車しててもOKだったけど、喫茶店なら

            マズイだろ、開店時はコインPに移動し、空いた場所にベンチというワケ。

             

            1 閉店時は店にしまうから移動簡便

            2 あり合わせの材料で作る

            3 斜めな床に合わせられるように

            4 着色したい

             

             ざっとこんな条件、まずは座面だ、狭い工房で場所塞ぎのベニヤを使う。

            脚はて〜と以前作った椅子の角材を使おうじゃないか

             椅子はこれだったな。ついでに構造もそっくりいただいて

             こんな出来上がり。手慣れた作りだからすぐ出来たやんけ

             これが座面のアイデア。まるっきりまんまモンドリアンだな。

             元のベニヤは真っ白じゃないから、着色すると生地の色と混じって色が

            変わるんだ。黄色なんかは生地にクリヤ塗装したのとほとんど同じ。

            多少めげるけど気にしちゃいられませんて。

             ベンチの真ん中には煙草盆。陽に当たって痛むだろうなぁ。勿体無いと

            思わないわけじゃないが、死蔵してるよりは活かした方がいい。

             端材を使ったからこんなふうに継いであるのもいとをかし

             座板の穴も元々のベニヤに開いてたもんだから仕方なし

             店側の小テーブルがこれで活きるだろう

             

             こうして完成したものの、案の定重い。持ち上げて店に移動が出来ない。

            きっとそうだろうと思いこんな移動具を作ってみた。

             こうやって、反対側からグィ〜と起こして移動可? 

             あれれ、抜け落ちるなこりゃ。隙間で固定しようと思ったけど、隙間が

            広すぎる。う〜む・・・・・・・。ま、とりあえずはコレで、いずれ改良

            するってことでご勘弁願いたい。

             

             次に控えしは、これか?

             

             コロナ禍、出掛けることも憚られ友人との会話もままならず、地下に

            こもる日が続く。なんてこったい気が滅入るやないか。

             

             やることないから作るしかない・・・・・・・な、店主でした。

             


            虎は死して皮を留め、

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               タイトルに続く言葉として「人は死して名を残す」が正しいらしい。

               

               畏友T野井氏から譲られたシトロエン AX-GTが物故してから数ヶ月、

              せめての思いから助手席のシートだけを外してもらって地下にポツンと

              ひとりぼっち。このままじゃイカン、そもそもの転用案に着手して数日、

              やはりというか予想通りというかアッという間に出来上がってしまった。

              なんてこったい、やり始めればすぐなのに、その気になるのが遅すぎる。

               構造材は手持ちのSPF。シトロエンに限らず、シートは車体に

              合わせて取付けるんで穴の位置は左右違う。さらに、右は横から、

              左は下からボルトが取付けられるようになっとるんだ。むろん、

              床からの穴の高さも違います。ボルトは8ミリ。

               

               床で測定すると低すぎてどうにもならん。テーブルの上に持ち

              上げて穴の位置に合わせて製材加工するが、けっこうカンタンでね。

              木枠は軽いけど、シートは重い。地下は狭いし、しばしば場所も

              移動する。ってぇことはキャスターは不可欠。小さなキャスターは

              動きがしぶくなるし、プラスチック車だと固いしコツコツ音がイヤ。

              ここは一番大きめのゴム車輪、万一の際にストッパー付き(2個だけ)

              を用いる。

               シートに合わせて黒に染めてみた。ま、これだけでもまぁまぁ

              だけど、やっぱ肘掛けいるよね。コーヒー飲むにしろ灰皿置くに

              しろ。テーブル使えばいいけど、広めの肘掛けに置きたいじゃ

              ないっすか。なんせ、このソファの主な用途は映画を観るため

              だかんな。

               

               ってことで、縦格子を付けてその上に肘掛けを付けて一丁

              上がり。

               いや、これが、なかなかよかもんなんだ。雰囲気イイと自画自賛。

               後ろはこんなもんだけど。見る機会ないからイイんでないかい。

               

               座り心地には定評のあるシトロエンだ。車はダメになったけど、

              シートをむざむざ捨てるには惜しい。運転席に比べれば使用頻度が

              少ない助手席なればなおのこと。リクライニングもできる、ヘッド・

              レストも付いてる。楽チンこの上もない。

               

               唯一の弱点は、身体をホールドし過ぎることかな。着座姿勢が

              キチッとし過ぎてリラックス出来にくい感じはする。とはいえ、

              このシートは柔らかいから座り方を変えても違和感は少ない。

              さほどの弱点とは思えない。さすがフランス車、腐っても鯛だ。

              これがドイツ系の車のシートならそうはゆかないのかもしれないけど。

               

              どうです、一度お試ししては如何?・・・・な、店主でした。

               


              椅子なんかデザインしちゃって

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                 めっきりブログ書く事も少なくなり、ひっそりと暮らしてると思いきや、

                ちゃっかり椅子なんぞをデザインしちゃっていたんです。

                 

                 以前にも書いたけど、20代のころに家具の夜間学校に通ってたときに、太さ

                2㎝の角材で椅子を作る課題があってね。若かりし童貞のアタイがけっこうマジ

                で作った椅子、自分でもなかなかのもんだろと思い、捨てるには惜しいアイデア

                と考え、放置し続けて45年の末、ひょんなことで陽の目を見ることになってね。

                 

                 当時作ったのはコレ。学校での作品じゃなく新たに軽量化のために杉で

                作ったもの。座面は硬く真っ平ら、背もたれは真っすぐな角材、座り

                にくいことこの上もない。

                 このアイデアの眼目は、分解できること。なぜかこのアイデアに惚れ込んで

                しまったんだわさ。椅子にとって分解出来ることの是非はあるだろうけど、

                初恋の人を忘れられないのと同様、この椅子も分解組み立てが出来なければ

                ならないのダス。でも、放置プレイ。一向に進まない。

                 

                 ことの発端は、一枚の布

                 先生仲間の矢口加奈子嬢が布を作ってくれてね、こりゃ絶好のチャンス

                とばかりに、昔の椅子をちゃんと作ってみんべえと相成ったわけザンス。

                さらに、家具職人の寺本さんと知り合い、キッチリ作ってくれる人を得た

                こともデカイ。作るのは好きなれど下手なアタイだからね。

                 試作を重ねること数脚、

                 出来上がったんだわさ、試作が。すげ〜イイなんて自覚はないけど、

                悪くはないのと違う? 目指してる「ウェルメイド」な椅子の予感は

                たっぷりだ。ほてからにこの試作を持って寺本サンの工房に。こんなんです

                けど、作ってもらえるかな?

                 でもって完成したのがコレ。ビシッと鉋がけした木肌にうっとり。アタイ

                にゃ到底ムリ、技術の差は歴然。寺本サンは当たり前なことだろうけどさ。

                それにしても映りが悪いなぁ。なんか色が死んでる気がする。

                 フラッシュ使えばよかったのかしら。時すでに遅かりし由良の助。

                 

                 この椅子、数種の木材で作られているのだ。これがけっこう面倒でね。

                構造はいたって簡単なれど、太さは同じ、長さは数種類、異なる部材を

                組み合わせるのはアタマが混乱すること、けっこうな代物だ。穴の位置を

                間違わないように、でも部材の特徴は些少、それがね、面倒なワケ。

                それは布も同じコトでね。端布をミシンで張り合わせるのもけっこうな

                作業量と違いまっか?

                 

                 いずれ当店でお披露目するけど、この椅子は昨日から新宿・伊勢丹本館

                5階のウエストパークで開催されている矢口さんの「Across the Universe」

                で22日まで展示販売されています。ご用とお急ぎでない方、たまにゃ新宿

                まで行ってみんべえかな方、はたまたどれほどのもんか見て進ぜような

                奇特な方、如何でしょうか?

                 

                45年の決着がついてよかったわ・・・・・・・・・・・な、店主でした。

                 


                行方不明な肩痛

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                   突然発生した肩痛、重い腰を持ち上げ歩いて数分の目蒲病院へ行った。工房の

                  掃除中に手首をガラス片でグッサリ切り裂いて以来だ。問診、レントゲンの後、

                  骨には異常はない、ちょっと様子をみようと、渡された貼り薬?と痛み止め。

                  帰って肩に貼り、しばらくすると痛みは霧が晴れるようにどっかに行って、今朝

                  はほとんど行方不明。はて、どこへ行ったのかのう??

                   

                   ともあれ、とりあえずではあるが痛みが消えたことはまことに喜ばしい。

                  珈琲を飲みつつモーツァルト交響曲全集19CDを次々と聴いている。むろん、

                  ホグウッド&エンシェントだ。一服しつつパソコンで一文を目にする。

                   御歳で椅子に取りかかるは真っ当。協力したいです。
                  巨匠ウェグナーにして、俺は職人で、デザイナーと呼ぶなと、晩年まで、老若

                  男女、家族に試しては試作品の脚を切り詰めたり継ぎ足したりしていましたしね。

                  ご紹介の写真の椅子は畳の上に置く仕様で、日本人としてこのタイプにはずっと

                  興味を抱いてました。

                   

                   畏友T野井さんからの励ましのコメント。ウレシイなァ〜。話を聞いてくれる

                  にしても相手によりけりでね、見ず知らずの人に通り一遍の励ましじゃなかなか

                  ココロには響かないことよくあるじゃん。理解し合ってる方からであれば、

                  まるでアタイのココロのヒダヒダに沁み渡るの如くでね。持つべきものは友、

                  の言葉がすぅ〜っと浮かび上がるってもんだ。

                   

                   そもそも椅子にはなんの興味もないアタイ、なんたって家に椅子がないからさ、

                  ぜ〜んぶ畳だもんな。日々の生活の中で椅子に座る経験が希少なアタイが椅子を

                  デザインするなんざ愚の骨頂、意味がないでしょ。畳に座卓でご飯を食べ、

                  おもむろに横になり、たまにゃ柱に足をもたれかける、しかも近時のホット

                  カーペットに加え毛布がある、昔こたつ今はコレ、椅子じゃこんな贅沢は

                  できない。そりゃ確かに仕事で椅子は使う、一杯飲もうかって時だって椅子は

                  必要だ。でもさ、生活の中心にあるのかって聞かれれば、そりゃ違う。生活の

                  中心は畳、がアタイのスタイルだ。

                   

                   とはいえ家具が好きで入ったデザインの世界で、王座に君臨する椅子は

                  アルプス高峰のごとく屹立し、常にどっかから見下ろされているような気が

                  していたことも事実でね。高峰の中でもひときわ高く輝いているのがハンス・

                  ウェグナーであることは同感きわまりなし。技術や知識をひけらかすわけでも

                  なく、有名になりたいお金をもうけたいなんて意識も微塵に感じられない、

                  真面目に真摯にひたすらコツコツと椅子(他にもあるだろうけど)を作り

                  続けた姿勢はまさに孤高の天才と呼びたい。

                   

                   彼の中で自然に湧き上がってきた椅子への思い、片や畳ばかりの生活で

                  椅子なんかなくったって一向に困らないアタイ、そのことが大きな障壁と

                  なって、椅子がデザインできなくてほぼ50年経っちまった。憧れるけど、

                  好きだけど、アプローチがわからない。まるで着物に憧れるアフリカの

                  部族民みたいだ。

                   

                   生活の中で馴染みがないから、歴史もないし伝統だって理解の外だ。

                  写真で見てイイなと思ったって、そりゃ姿かたちだけでさ、本質みたいな

                  部分は到底わかるわきゃない。椅子の構造の合理性にしたところで、

                  構造の作り方だけを取り出しただけであって、そこに至った文化的な背景

                  までは思いは及ばない。っちゅうか、つまりはワカラナイのでありまする。

                  そんなココロで椅子を作ろうと思ったって換骨奪胎みたいな似て非なる

                  代物しか生まれないことはわかりきったことだ。

                   

                   世に言う名作椅子にはな〜んの興味もないコチトラ、ましてやそれを

                  模作することに意味を見出すことなんかアタイのチン恋頭脳にはムリも

                  ムリ、大無理だもん。確かに名作と呼ばれるからにはなんらか突出した

                  意義とか魅力はある。いわゆるスタンダードだもんな。映画にしたって

                  音楽にしたってそれは共通してる。でもさいくらモーツァルトに魅力を

                  感じたってあっちはヨーロッパこっちは日本、音階もちがうしメロディ

                  や楽器だって違う、なにからなにまで違うんだからね。明治大正昭和の

                  古今の音楽家たちが呻吟したのも西洋と日本の折り合いの付け方なん

                  じゃなかったのかしら。

                   

                   そこで思い出すのが竹中労。彼の説の中に

                  「ひばりの歌の本筋は中山晋平野口雨情にあり、さらに晋平雨情の行き

                  着く先は紀貫之の土佐日記」がある。

                   晋平は中山、雨情は野口だ。彼らが生み出した日本の歌謡は、今じゃ

                  誰も見向きもしないような感じだけど、日本人の心の底流として静かに

                  受け継がれているんじゃなかろうか。決してアナクロニズムとは思い

                  ませんよアタイは。そのことは以前ブログでも書いたけどさ。話は飛躍

                  します。高峰モーツァルトに比肩する日本の音楽が晋平雨情と仮定して、

                  ウェグナーに比肩する椅子(出来るかどうかわかんないけど)はどんな

                  ものなのかをイメージ出来るヒントとして浮かび上がるのはYMOだ。

                   

                   YMOといえばテクノポップ、いわゆる電子音楽の草分けだ。今までに

                  まったくなかった新しい技術を持ち込んでの楽曲はまさに日本的である

                  ことの証左でもある。それまでのギター主流のポップミュージックとは

                  まったく異なる手法は後進国としての日本ならではのアプローチである

                  とアタイは考えるのよ。話は飛躍する・ツー。アタイが考える椅子に

                  とってテクノに相当する部分は、座面と背もたれが幾段階かに変化する

                  ということにある。椅子は単機能で、一つの椅子は一つの用途と限定

                  されているのが多々であります。子供から大人まで使える椅子はたしか

                  北欧で作られていたけど、それは心地よいものとはいえないとT本さん

                  が言ってた。

                   

                   座面の高さと角度が変わり、背もたれの高さや角度も変わる、さらに

                  肘掛けだって変わります。こんな奇妙とも言える椅子を考えるのは、

                  名作椅子の類いにことさら興味を持つ事はなく、椅子に馴染みの薄い

                  アタイぐらいしかいないんじゃないか? これならアタイだって

                  充分すぎるほどの興味は湧く。テクノポップと自在に座り心地が変化

                  する椅子、アタイにとっちゃとても似ているイメージなんだわさ。

                  きっと、これならウェグナーだって「どれどれ、見てみようか」

                  「ふ〜ん、こうなってるのか」「おもしろいね」とかなんとか言って

                  くれそうな気がする。別にウェグナーにおもねるわけじゃないけどさ。

                   

                   相変わらず長い。肩痛からの病み上がり、短期リハビリだからさ、

                  くどいけど時間はあるから、ついついのブログなんだ。さらに畏友

                  からのコメントがあったもんで、これからはT野井さんとのしばしの

                  往復書簡みたいな感じになることご了承くだされたし。

                   座面。俗に座位基準点はこのように(●)高低変化します。単に高低の

                  変化だけだからこれはさほどむずかしい問題ではない。

                   背もたれ。基準となる●は高さと左右がけっこう変化します。左右の

                  振れ巾をクリアしようとすれば巾の広い板を使うか細い材を格子状に

                  並べるのがよかろうと愚考しているのですが・・・・・・・。

                   さらに肘掛け。角度なしの水平が基本。しかし高さは変えなければ

                  なりませぬ。座面前方のこの位置で固定し、後方は背もたれ部分あたりで、

                  二カ所で固定すれば肘掛けの固定は安定すると愚考。

                   座面、背もたれ、肘掛けの三カ所が自在に変化できる椅子、それに

                  対応出来ると思われる椅子がコレ。開発機密と思ったけど、こんなもんを

                  真似しようなんて人いないだろと高を括って公開。前回の記事で、

                   ホフマンの椅子を紹介したけど、上の松村勝男さんの椅子との共通点は

                  多い。主構造は、いわゆる縦格子だ。どっちがミメーシスしたってこと

                  じゃない。シンプルな構造は普遍的なもんだ。F.R.ライトだって多用してた。

                   

                   この構造なら座面が上下する軸は格子の隙き間でOK。問題は背もたれ。

                  上下左右幅広く点在する背もたれの軸を格子の棒部分でカバーすることは

                  できませぬ。棒の中心や端っこや格子の間の空間部分に位置する事もある。

                  それらをクリアしようとすると格子の間隔がバラバラになってしまうんだ。

                   

                   むろん座面の高さの変化=椅子の機能やかたちのバランスの変化=本椅子

                  としてのバランスもある。さらに、座板、背もたれ、肘掛けは格子状の

                  構造体にボルトオンされるから心配ないとしても、両側の格子構造体を

                  つなぎとめる貫(ぬき)が不可欠。座板、背もたれ、肘掛けを取り去っても

                  自立できるようにしなければならない。

                   

                   T野井さんご指摘の「畳に置く仕様」とは、たしか「畳ずり」と称される

                  と記憶しています。以前、ウェグナーチェアを愛用されている方のテーブル

                  をデザインして納めたときに、床に点々と椅子の先端の脚端痕が残って

                  いることを目にしました。ウェグナーの椅子といえども床材はかなりの硬さ

                  が要求されるようです。また、痕が残ること覚悟の上で使用するべきだと

                  思います。昨今の硬質塩ビの床材ならば大丈夫なのかもしませんが。対応策

                  としてはただ一つ、床に接する脚端部の面積を大きくするしかありません。

                  つまりは、床に接するのは棒ではなく板になります。世界の中で柔らかい

                  床材の最たるものは畳でしょうから、座椅子のようにするのが妥当では

                  ないでしょうか。そのことを充分考えたからこそ松村勝男さんはあのような

                  畳ずりにしたと私は考えます。

                   

                   ただし、私にとって松村さんの椅子に物足りない感じを抱くのも事実です。

                  その原因は、近年の私がインドに大きな興味を抱いているからです。特に

                  服、豊かな装飾性と色彩が私を惹き付けてやみません。そんな私の考えを

                  見事に表現しているものとして

                   レバノンのBOKJAがあります。当地の民族衣装をパッチワークして

                  作られた一連の椅子や家具たちです。過剰ともいえる装飾性、このような

                  椅子を置く部屋はどのようなものか? そんな考えを吹き飛ばしてしまう

                  ほどの魅力を感じてしまいます。ウ〜む、困ったもんだ。もちろん、

                  こんな感じをそのまま私が考える椅子に取り込む事はできません。

                  あくまでもイメージです。これを理解して解釈し直さなければならない

                  ことはむろんのことです。

                   

                   長過ぎるな〜文章。

                   

                   ここで考えたのはパッチワーク。前回記事にした井口材木店で、今回の

                  椅子に使う材料を聞いたら、いろんな木材が在庫としてあると。ならば

                  かたちや構造は決めた上でいろんな木材を使ったらどうかって考えたの。

                  さらに厚みも変えて凸凹(といっても多分数ミリの範囲内)変化のある

                  ものしたらどうか、と。従来の椅子(や家具)たちの多くは単一の素材

                  で作られているでしょ。まとまっているという感じです。でもさ、

                  まとまっているということはホントにいいことなのか魅力的なのかって

                  いうことを考えてしまったんですわ。

                   

                   服装にしたって決まっているということが時代に即しているとは

                  思えないんだよね。ブランド服と古着を自分なりに自由に組み合わせる

                  ことが今なんじゃないかと思うんだ。上から下までブランド服でキメル

                  ことはダサイ、私はそう思う。組み合わせこそが着る人の個性ってこと。

                  保守的な家具(特に椅子)の世界にもそろそろそんな考えを導入しても

                  いいんじゃないのかな? な〜んてね

                   

                  どうですT野井さん、一緒にやってみますか?・・・な、店主でした。

                   


                  経巡った末の再会もある

                  0

                     肩が痛いんだ。いやもうまったくの話。発症して5日めか、やむなく数十年

                    ぶりで病院に行く決心。最初は肩だと思ってたら、どうやらリンパ線らしい。

                    なもんで、一切の仕事は放置され、三度の食事も弁当と成り果てる有様。いつか

                    来るとは思っていたけど今日だったのか、な句があったけど同じような状況に

                    陥って大きく頷くアタイだ。右肩が痛い、んでやむなくブログを書くしかない

                    ときたもんだ。

                     

                     写真が薄い! なんせ色鉛筆で彩色したからな。手元にないんだもん、

                    くっきり彩色道具がさ。昔ならカラートーンだけど、今あるのかな? 

                    エッヘン! コレは原寸図と申してな、椅子を実際の大きさで描いたもんだ。

                    コレ書き上げた晩から痛くなった、アタイにとっちゃ曰くつきの呪われた

                    図面とでもいいまひょうか?

                     手始めに暫定的な図面を描いて実際の椅子を作った。前にも書いたけど、

                    この椅子は私が注文する一人用ソファのサイズを確認するためのもんで

                    あって、あくまでもソファを作る過程で必要な道具なの。でね、これを

                    作ってもらうT本さんに見せたら「いいね」とおだてられ、ならばちゃんと

                    作って差し上げることになった。むろん、タダです、ハイ!。

                     椅子を作るT本さん、依頼されたお客さんに座り心地を確認してもらえる

                    道具として役に立つんじゃないかと思ってね。

                     椅子はいろいろある。いろいろ程度によって座面と背もたれに角度がつくのは

                    当たり前。座面の高低はこのハンドルで調整しちゃおう、こんな具合になる。

                    まずは試作だから握りの無骨さは我慢してくんろ。緩めて上げ下げして別の

                    一カ所でも固定して角度を決める、とここまでは誰が考えたってこうなるしか

                    ないだろ。さてと、差し上げるも一個を作る際にこの固定部分の正確なサイズが必要と

                    なり、結果として原寸図を書かないとならぬことになったワケだ。

                     

                     T本さんに見せてる途中にひらめいたんだ。彼は、あくまでもこの椅子

                    (とりあえず寸法君と命名)は、注文された椅子を作る際に寸法角度を確認

                    するための道具と考えてるけど、せっかく作るんなら商品に出来ないかなと

                    アタイは考えたんだわさ。まぁ、売れるあてなどないけどさ、商品ごっこ

                    メーカーごっこも面白いんじゃない、ってね。数十個なんか作れないけど、

                    数個なら出来るかも、いくつか作ってファクティオに展示して、DM作って

                    各方面にばらまいて、釣りじゃないけどアタリを待つのココロ。それって

                    面白そう。

                     

                     でね、すかさず井口材木店に赴く、適価な材料の相談だ。この店、大量な

                    家具材の在庫を持つ希少な材木屋さん。厚さ27ミリの板ってある?と聞けば、

                    ありますよいろいろ、即答してくれる気持ちの良さ。値段も即答、厚さ27ミリ

                    巾120ミリ長さ2.4mでおよそ2500円程度。パッチワークのように数種の

                    木材を組み合わせてもいいかもしれない、なんてこと考えつつ帰る。

                     

                     材料はある、作ってくれる人もいる、置ける店もある。お金はアタイの年金

                    でなんとかなるんじゃないか。あとは椅子のデザインを考えればよろしい。

                    それはアタイの役割だ。原寸図を書き始めるまでにこんな経緯があったのよ。

                     原寸図をほぼ書き終えて、待てよ? これ松村さんの椅子に似てるじゃん!

                    松村さんとは松村勝男さんのことだ。20代のアタイが強く惹かれた椅子を

                    デザインしてた方、まったくもって仰ぎ見る存在。もう50年も経ったんだな。

                    あれからいろいろあって、68才で再会するとは思ってもみなかったっす。

                     

                     氏の椅子が掲載されている冊子あったけど、もうないもんな。ネットで

                    調べたら「松村勝男の家具」を発見、なんと一万円。う〜む。しばし考え

                    見るだけ見ようと書店に直行。

                     悩んだ末に買っちまったぜ。1992年だから25年前か。

                     端正でシャープで日本的な佇まいの椅子、当時アタイはこれにまいって

                    しまったんだ。今でもその気持ちは少なからずある。なつかしい気持ちも多少。

                    これらの椅子と私がデザインしようと画策する椅子には共通する部分が多い。

                    さて、これをどう組み込もうか?

                     

                     記事は続くよどこまでも。なんせ肩痛くてやることないからな。病院に

                    行かなくちゃならないんだけど・・・・・・・・・・・。

                     

                     すでにアタイはミメーシスなる言葉を知っている。20代のアタイとは大きく

                    異なる。なんたってあれから50年だもんな。直訳すれば「模倣」、芸術上の

                    考え方で、たしか放送大学で知ったんだ。かのモーツァルトだってバッハの

                    音楽は知ってたし、影響も受けた。影響ってのは模倣もあったに違いない。

                    アタイは松村勝男さんの椅子を模倣するってこと。本質を理解して私なりに

                    解釈し直す、それをパクリなんて言う方もいるだろうけど、そうでは

                    ありませぬノダ。

                     

                     松村さんの家具から紹介できない椅子もある。なんで? と言われると

                    困るんだけどさ、一応、ごっこだけど新商品の開発に関することだから秘密

                    情報もあるってことで理解してくださいな。で、その椅子にも元があること

                    に気付いたのよね。

                     きっと松村さんコレ見たことあるんだろうな。だってとっても近しい印象

                    だからさ。ミメーシスしたんだろ。さらに

                     こんなものも。いずれもヨーゼフ・ホフマンだ。まるで今回のアタイの

                    椅子にゃピッタリこん。立格子なら日本にだってあったし。待てよ?

                    ホフマンさん日本建築を知ってた? そんなこたぁないだろ。でもなぁ、

                    これまるっきり京都の町家じゃん。考え過ぎですかね。

                     ホフマンにゃこんなヘンテコな球がついてるのもある。俗にホフマンボール

                    と呼ばれる角隅を補強する部品だ。他に類をみないコレ、関係者であれば

                    一目でそれとわかる逸品アイデア。もう誰もマネできない代物。まるで

                    フレディ・マーキュリーのマイクみたいなもん。昔っからこの球、気になって

                    いたんだ。でも、あまりにも特徴的だからさ、手も足も出なかったんだ。

                    今のアタイ、この球をなんとかミメーシスできないもんかね。出来そうな

                    気がするようなしないような・・・・・・・・・あぁ、出てこいアイデア。

                     

                    ってなこと言いつつ、病院に行きますか?・・・・な、店主でした。

                     


                    ふと、スーパースタジオだな

                    0

                       FACTIO地下の試聴室&ミニオフィスに長らく鎮座ましましてたソファが解体

                      の憂き目に。理由は大振りなスピーカーが一階から降臨され、行き場を失っての

                      こと。あちこちブッタギリの末にこうなったんだ。

                       思いっきり無骨だな。ま、そりゃそうだ、元は畳一枚あろうかというソファ

                      だったんだからな。フレームの太いこと太いこと。ってことは重さもけっこう、

                      やむなくキャスターを付けた。座り心地はまぁまぁ、でもなあ、いかんせん

                      デカイ、っていうかかっこ悪しきわまりなし。

                       ほんじゃ作ってみよう、ってたって椅子ニャぜんぜん興味がないコチトラ、

                      技術も経験もないしさ、せっかくの機会ならコイルスプリング仕様の本格的

                      なものにしよう、ということを鑑み、知り合いのT本さんにお願いすることに

                      なったんだわさ。

                       

                       全権を託し、待てば海路の日和あり、でもい〜んだけど、せっかく作るんなら

                      ここは一番椅子を丸々とまではゆかないけど出来るだけ理解しようと発奮したい

                      と思ったワケ。椅子に興味はないけど、知りたい好奇心で、まずは寸法だ。

                       椅子には6種類のプロトタイプがあって、これは2型。ダイニングチェア

                      でしょうか。目安になる各寸法が書き込まれている。

                       で、コレが6型。ヘッドレストが必要となる、そこまでリラックスする

                      必要もないし、第一こんなに傾いてちゃ立ち上がるのに一苦労するじゃん

                       ってことで5型のここらへんが妥当なとこだろうと決めて一服。さてと、

                      打ち合わせのときT本さんが、ちょいとむずかしい椅子の注文が入って難渋

                      してるんだ、を聞いてたから、だったら1から6までの型を変化させられる

                      寸法確認できるような椅子を作っちゃおうかって考えたわけでげす。

                       それは例えば、メガネを作る時に使用するレンズ交換可能なあの黒くて

                      真ん丸なメガネのようなもの。フレームは一つで座面と背もたれが自由に

                      変化出来る優れ者クンだ。

                       6タイプの椅子の座面と背もたれを一枚に描く。肘掛けもつくから些か

                      複雑になるんだ。6つのポイントをカバーできるようにフレームを考えて

                       できあがったのがこんな代物でね。ええかげんなモデルだからあちこち

                      暴れまくってる。けど、まぁ、こんなもんだろ、で一服。側面フレームだけ

                      試しに線を描いてみる。寸法の目安になる線だ。できれば全面すべてを升目

                      で埋め尽くそうと考えたそのとき、こりゃ、あの、スーパースタジオ様だ

                      と思ったんだ。

                       1966年にイタリアで産声を上げたスーパースタジオ様、当時SDかなんか

                      でこの写真を観たアッシ、驚きましたわい。なんだコレ?そして!ってな

                      もんでね。なんて素晴らしいイメージなんだ! 影響は多大で今も続いとる。

                      実作はほとんどなく、過激なドローイングを発表し、後にアーキーズーム、

                      そしてソットサスが代表選手のメンフィスに受け継がれるとアタイは理解

                      してるんだが、違ってるか? のっし

                       彼らの作品の一つがこれでね。真っ白な〜んにもない椅子やテーブルは

                      升目で包まれているんだ。それが50年後の今、世界の片隅、私の地下で

                      再現されようとしている。長く生きていると巡り会わせはあるもんだ。

                       

                       話は戻るよどこまでも。アタイが欲しいのはコイルスプリングを糸で巻き

                      繋いだもんだ。底にウェビングテープを張りウレタンクッションを載せた

                      ようなもんじゃなくて。さらに、

                       こんなSバネでもない

                       やっぱこのタイプでしょ。フレームを作り、底に力布を張り、コイル

                      スプリングを並べて糸で繋いで緩く固定、その上にまた布を張り、適当な

                      薄いクッションを張り、最後に好みの布地で張り包む。むろん、四周の

                      土手はワラとか馬毛とかを使ってこんもりしてさ、最後は鋲打ちで

                      仕上げるといった正統派、こんな案配でなきゃ困るのことよ。

                       

                       過去一度だけしか座ったことのないスプリング仕込みのソファ、あれは

                      横須賀の美術館だったな。座り心地に驚愕したもんな。適度な張りと沈み

                      こみの心地よさは恍惚といって差し支えないもんだったよな。あれに比べ

                      たらウレタンなんか・・・・・・・と言いたい。それがたかだか15万から

                      20万で手に入るんなら安いもんですよ、実際の話が。

                       それになによりもこういう椅子を作ってくれる工房が見当たらないと

                      いう現実もある。椅子を作るとこならいくらでもある、でもさ椅子だけ

                      じゃなく張りもできるってことになると、そうそうあるもんじゃありま

                      せんえん。

                       

                       とはいえ、金額が金額だから多くの方々は金額を聞いただけで尻込み

                      するのもわかる。どうしたってIKEYAと比べちゃうもんな。でもさ、

                      考えてもみてもらいたい、職人の手間を。昔、とある工房で一日幾ら

                      くらいの収入が必要なの? 答えは35,000円でした。とするとですよ

                      15万ならフルに働いて一週間以内ってことだ。なんたって場所代、電気、

                      ガス、刃物も研がにゃならないし、清掃も、ご飯も食べなくちゃならん、

                      子供も育てるし、カミサンとSEXだってしないと、そんなあれこれ一切

                      丸々の35,000円、しかも出来上がった椅子はほぼメンテナンスなしで

                      一生使える、そう考えると決して高くはない。アタイはそう思うんだが

                      ・・・・・・・・・・どうかね?

                       

                      で、今日はなにしよう・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

                       



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