コクに涙の幸せ
子供んとき、母の実家で食べたトウモロコシの美味しさを求めることは、
叶わぬ夢とすでにあきらめのココロ。ずいぶん探したんだけどさ、結局
とどのつまりはもぎ立てでなければあの美味しさは味わえないことを誰か
に教えられ、納得した結果だ。近所でトウモロコシを作っている農家と
知り合いになればいいんだけど、そこまでして食べたい気も起きないし、
ま、いずれ機会があればってことでの放置プレイ。
たしか色川武大のエッセイで、鶏卵のことが書いてあって。都内の
どっか下町での行商風景、リンゴの木箱に籾殻の中に卵があって、その
卵は割ってみれば黄身はこんもりな山形でトロリとしたコクはまことに
美味、を読んで是非とも食してみたい欲望が膨れ上がってずいぶん経つ。
そういや確かに卵と言えば籾殻の中に納まっていたっけ、そういやコクも
あったっけ、おぼろげな記憶が蘇る。
以来アタイの中ではトウモロコシと鶏卵は大なる問題としてあったの。
諦めの境地のトウモロコシはいいとして卵はなんとかなるんじゃね?
といってもスーパーに居並ぶ卵パックをあれこれ選んだり、八百屋で
買ってみたりぐらいしかしないんだけど。先日も、新百合丘の肉屋
(一枚500円のトンカツはとてもウマかった)でめっけた卵(一個百円
ほどもした)を試してみたけど、イマイチだったなぁ。
忸怩たる思いでいたけど、最近友人の貸家への引っ越しのため車を
走らせていたところ、通りがかりに小さな家の軒先で鶏卵販売の看板
を見つけ、数日前に再訪して大玉10個パックを買ってみた。450円
ぐらいから10円刻みでサイズが大きくなる。とにかく一番デカイのを
おくれ、と買ったのがコレ
デカけりゃいいとは思わないけど、高い=美味だろとの素人考えに
従ったんだわ。左だってけっこうな大玉だけど右はまさに巨大、
なんたってパック容器におさまらないんだから。
さっそく昼食、いつものウィンナ(シャウエッセンだ)を炒めつつ
卵を割ったら、黄身はふたつ。なんか懐かしいなぁ。そういや昔は
あったよな、こーいうの。ふたつの黄身が一個の卵に入ったのを
最後に見たのはいつ頃だったかね。なんで見なくなったのかね?
黄身ふたつってことは有精卵? 有精卵は美味しいの?? なんも
わからないことだらけ。でも、とにかく美味しけりゃいいんです。
皿に載せていざ。目玉焼きの食べ方はいろいろあるようだけど、
アタイは黄身をすすって食べる派。で、いつものように啜ってみた。
ウ、ウマイ! ウマイぜ!! 味は濃厚、コクたっぷり。あぁ、
久しぶりに味わうなこの味。いつのまにか忘れ去られた卵の味。
色川武大が舌鼓を打ったのもコレなんだろう、きっと。母を訊ねて
三千里、ようやくめぐりあった卵にご飯の美味しさも倍増。もう
これからはこの店以外の卵は買うまいぞ。
川崎市高津区子母227 森正養鶏場 ☎044-766-7410。友人の
話ではすぐそばで養鶏場があり、畑もあるとのこと。産地直送の上を
ゆく産地その場販売。ひょっとしてトウモロコシも作ってるのかも
しれない。そうなら忘れがたい夢のトウモロコシも味わえるかも。
う〜む、期待しちゃうな。
とにかく一番デカイのと言って、パックに詰めようとしても入り
きらないから、二本の輪ゴムで固定して、さらに梱包不安定だからと
手近にあった箱に入れてくださる。ついでにと小さな玉ねぎ2個の
サービス。これもウマかったっす。美味しい卵でさえ充分すぎるけど
更なるおまけに、近時めったにない店に違いないとは思ったけど、
卵を食べてみて私の考えが間違っていなかったことに一人ほくそ笑む。
今日も今日とて目玉焼きだ・・・・・・・な、店主でした。
- 2018.06.07 Thursday
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- 11:03
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- by factio