久方ぶりな名人との出会い

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     欧州で調子こいてカードを使いまくり、請求書を見て一瞬青ざめた。

    だがしかし世の中良くしたもの、帰国早々茶箱の脚のたんまりな注文、

    なんとかクリアし、ホッと一息な今日この頃。

     

     10月 1日は水道橋へ。週一日だけ木工をおせ〜るために学校に出向く。

    アタイの授業は選択でね、3時間の中で数回の説明を行うんだが、案に

    相違して説明時間は80分もある。いかになんでもそんなには説明する

    ことはない。せいぜいが30分程度。でもってけっこうな時間が

    余っちゃって、はて? どうやって時間をつぶしましょうかね。

     

     とにかく行き付けの古本屋へでも行ってみよう。高平哲郎さんの

    映画に関する対談を買い、戻ろうと店を出て、ふと安価本に目をやれば、

    「圓生の録音室」京須偕充・著。パラパラめくったら滅法オモロそう。

    買って一晩で読了してしまったやないか。

     

     時は1973年4月12日の午後、CBSソニーの社員の著者が三遊亭圓生

    の自宅を訪れるとことから始まる。ちなみにこの年の3月圓生は御前口演

    を行った。宮中へ伺って両陛下の御前で一席ということだ。若年のみぎり

    より圓生ファンだったアタイにとっちゃ願ってもない一冊が天から降って

    きたみたい。よだれ流して一晩読破と相成った次第なんざんす。で、

    内容はって〜ぇと、それまで誰もやってない圓生の人情噺をレコードに

    録音しよう、ついてはご本人の承諾を得なけりゃならない、君行ってこい

    と任されたのが京須さんなのだ。

     

     人情噺は、一般的な落語と違いくすぐりはきわめて少ない。故に、商売

    になるかどうかわからず、誰も手を出さない代物に果敢にチャレンジした

    顛末がこの本なのよ。演目は「真景累ヶ淵」「牡丹灯籠」「乳房榎」

    その一、「髪結新三」「梅若禮三郎」「松葉屋瀬川」その二、「双蝶々」

    「ちきり伊勢屋」「札所の霊験」その三。全部でLP25枚豪華函入り、

    解説書もあり対談もある。これ欲しい!! ネットで調べ、日本の古本屋

    で調べたけれど見当たらない。やっぱりね。45年も前のレコード、しかも

    笑いが少ない落語なんかあるわきゃないか。

     

     一件だけカセット18本があることがわかって豊島区まで行き、隣りに

    志ん朝のが19本あって、それぜんぶ頂戴と大人買いじゃ。〆て17,000円也

    だったかな。でもそん中には人情噺はない。

     

     ないとなれば是非にでも聞きたくなるのが人情だ。あそこならあるかも

    と思って、学校近くのレコード屋さんに足を伸ばす。以前、階段脇に

    落語のレコードを見たことあってね。圓生のレコードあります? 店主

    が指差す先に棚があり、左から右に目を移すと、なんと三函そろい踏み。

    すでに17,000円も使ってる、でいくら? と聞いたら25,000円也だと。

    値切るのは苦手だけど、値切らないと失礼かな? そんな気持ちで、

    おまけしてもらえる? 店主計算したふり(多分)して22,000円で

    いいがす。そいじゃそれで

     

     ってことで手を打ち、そこの「いもや」に昼食を食べに行くんで、

    その帰りに叉寄りますから、いもやもあそこだけになってしまったね、

    二言三言交わして。天ぷら定食の後、コンビニでお金おろして

     これが我が物になった。支払いのとき、いくらでしたっけと聞いたら

    お昼代なんやかやの出費がかさんでるだろうから20.000円でいいと。

    いやそれはあんまり安すぎる、中をとって21,000円でどうですか?

    と言おうと思った矢先に「それじゃ22000円で」と店主に先を越されて

    しまい、内心苦笑いなアタイ。数秒の間の短いやりとりはまるで落語の

    世界だなァ、といたく上機嫌なんだわさ。

     

     帰って早々、まずは真景累ヶ淵を聞く。録音時の経緯はすべて頭ん中

    に入ってる。現場の様子もおおよそイメージできている。その上で

    聞くのは生まれて初めてのことでね。とても不思議、タイムスリップ

    したようだ。出来? そりゃいいに決まってる。

     

    至極満足、豊かな気持ちで過ごせまする・・・・・な、店主でした。

     


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