改めて三隅研次

0

     Amazonプライムを散策してたら「女系家族(にょけいかぞく)」と

    出逢いました。監督・三隅研次に魅かれて見始めたんだが、近時稀に見る

    名作、久しぶりに感動いたしましたワイ。あくまでも私はね、ですが。

     

     脚本・依田義賢、撮影・宮川一夫、装置・内藤昭のゴールデントリオ、

    なによりもモーレツ大ファンの浪花千栄子の出演に心ウキウキ身もそぞろ。

     

     開始早々に当主の臨終シーン。医者が宣告した時、布団からはみ出た

    白い手が異様でドキリとさせられてる。気が付いた医者がすぐに戻すも、

    この物語の行く末の異様さが伺えてウットリだ。

     

     葬式、黒屏風の前に居並ぶ三姉妹。大阪は船場の老舗、代々女系が

    跡取りとなっていた。それにしても白紋付が眩しい。なんて美しいんだ。

    いかにも老舗の格式が感じられる。

     

     老舗の家格を表すには「瓦」。同じ山崎豊子原作の「ぼんち」でも

    同様のショットがあったっけ。それにしても都合よく隣に高いビルが

    あったのでしょうかね? そうでなきゃ櫓組んだのかしら??

     

     物語のテーマは遺産相続、集まりの座敷、座卓に小さな座布団が

    敷いてある。ウレシイなぁ。目が釘付けだ。このシーンの主役はこの

    小座布団だろ。

     同様な小道具は随所に見られ

     額には額布団

     扇風機には専用台。ついぞ見かけないけど、その昔我が家にもあった。

    台だけは今もある。板を支えるのは当然竹でなくちゃいけません。

    竹以外はいかにも無粋、竹の軽みが涼しさを呼ぶ、ナンチッテ。

     それにしてもいろんなモノに専用の何かしらが用いられていたもんだ。

    扇風機の首を長くすりゃ済む、それまでの過程で考え出された一時

    しのぎと言ってしまえばそれまでだけどさ。

     機械と手工芸が一体となった風景、私はきわめて美しいと思うけど

    諸兄はいかに思うのだろうか?

     

     老舗の壮大な屋敷にある納戸。桐箪笥には家紋入りのカバー。

    調べたら「ゆたん(油単又は油箪)」っていうんだな。そういえば

    聞いたことあるな。

     そして後ろの姿見。大きくて雄大だ。まるで黒田辰秋の家具のよう。

     

     亡くなった当主の妾、「本宅伺い」のシークエンス。

     真ん中が当主の妹・浪花千栄子、後左から長女・京マチ子、次女・

    鳳八千代、三女:高田美和。手前の鉢植えをナメて、いつもながら

    のショットに大きくうなづく私であった。言うまでもないが、着物は

    どれもウットリする出来栄えだ。

     

     冷たい視線に晒されて、いたたまれず帰ろうとする妾、仏壇に参って

    お帰りなさいと浪花千栄子、それではと仏壇の前に・・・・・・

     そこで事件は起こるんだ

     羽織を脱がずに仏壇に参るとはなんたる不躾、脱ぎなさいと叱責し、

    ついには強硬手段に出る。そもそも家に入る時には羽織を脱ぐのが

    しきたりだ。この場面の浪花千栄子は素晴らしい。老舗の伝統を受け継ぐ

    礼儀作法、格式からくる慇懃無礼な態度、妾を見下す心、遺産を横取り

    されるのはないかな猜疑心、が動作台詞の端々にほとばしる。いやもう

    思わず見とれてしまう。

     そして、羽織が引きちぎられるシーンが圧倒的。動きのあるほんの短い

    カットだから、ブレてて再現ならず。

     

     羽織を脱ぐのがためらわれたのは妊娠してるため。むろん父親は

    亡くなった当主なのだ。見抜いて仏壇へ誘ったのが浪花千栄子。う〜む。

    厳しい視線の浪花千栄子。脇役なれどほとんど主役だなこりゃ。二十四の

    瞳の食堂のやり手ババア、悪名の女親分、どれも場をひっさらう名演技

    だったけど、この映画は浪花千栄子の代表作といっても差し支えあるまい。

     

     妊娠を見破られた妾・若尾文子。後れ毛が乱れて凄絶な美しさだ。

    これ以外にも若尾文子の美しさは際立つ

     

     もろ肌ぬぎで汗を拭ってもらう。いや〜色っぽいね。

     秘めた目論見に一人ほくそ笑む。クゥ〜なんてこったい。故人の遺影

    の額をナメてのカット。この笑顔が結末を暗示してるんだわさ。

     

     これ以外にも・・・・・・・・・

     珍しく老け役ではない北林谷栄に出会えた。左は愛人であり老舗

    大番頭の中村鴈治郎。両人の濡れ場は数シーンあるが、なによりも

    北林谷栄の色気が堪能できます。このシーンも、手慣れた煙草と

    猪口を傾ける仕草は「役者やのう」

     

     長女・京マチ子と愛人・踊りの師匠の田宮二郎。厚い胸乳を包む襟元

    をさわさわする手つきがなんとも扇情的だ。早く手を突っ込まんかい!

    この直後の激しい接吻も日本映画ではなかなか見られない。惜しむらくは

    田宮二郎。軽薄なキャラクターなのはわかるけどもっと適役がいるような

    気がするけど。

     

     終わり近くのカット。緩やかな坂、両側は土塀、右奥には墓、そして

    左全面にグィーっと迫る土塀。まったく見事なアングルだ、とニンマリ

    してしまう。この場所を探すのに苦労したんじゃないか。まさにこの

    映画を締めくくるにふさわしい名カット。

     

     改めて三隅研次の力量を思い知った映画でした。

     私の目に狂いはない。やっぱ三隅研次は凄い。

     数ある眠狂四郎の中でもっとも魅力に溢れた「炎情剣」で注目して以後

    様々な映画を見てきたけど、これは彼の代表作とも言えるんじゃないかしら。

    この映画の評価を知りたいけど、今時じゃ、はてどうすればいいのやら?

     

    こんな映画もっと見たいのダァ〜、誰かおせ〜て・・・・な、店主でした。

     


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
         12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31      
    << May 2020 >>

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    links

    profile

    書いた記事数:614 最後に更新した日:2020/05/28

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM