仕事のススメ
仕事が一段落、コーシーを飲みながらエディット・ピアフを聴いております。今週の土曜
日から9日間オーストリアはウィーンに行きます。友達のともだちみたいな感じで知り合
い、その友人が住んでいるのがウィーン。以前、横浜に居た時はけっこう会っていたけど、
帰国してからはずいぶん会ってません。その奥さんがウィーンで「おにぎり屋」を開店する
ことになり、それならというわけじゃないけど。たまたま税金申告で還付金が入ったので、
速攻チケットを手配。宿泊はすべて彼らの家、しかもザルツブルグに別荘も持ってて、そこ
にも行こうって。ひょっとすると金持ちなのかいな? そんなこと聞けないし聞く気もない
けど。行けばわかることですし、金持ちにビビる私じゃない。こちとら自慢じゃないけど
年金で喜んでるレベルですから。
その、おにぎり屋さんのおにぎり用の木皿を頼まれまして、それが今終わったわけ。数年
前にこれも友人のレストランに頼まれて作ったものですが、皿の中央部をノミで彫らなけれ
ばならずこれが私の最も苦手な耐久作業。その木皿を25枚も作れたのは彫りを請け負ってい
ただいた木工所のおかげなんです。
昨日、我が工房に到着したのでした。
中央部が凹状に彫られているのがわかりますでしょうか。およそ小一時間かかるとのこ
と。もちろん、お金は払うけど、金額が妥当かどうか不安なのでアリマス。ちゃんと請求書
出して下さいね、サンダンスさん。困った仕事なら断ってくださいね、サンダンスさん。
手前が加工前、後ろが加工後。後ろは木口が薄くなっています。ちょっと浮いてるような
感じは軽快さと都会的な雰囲気を感じさせます。まぁ、デザインの世界では定番の手法なん
ですが。
ひっくり返すとこうなっているワケ。なぜにこんな加工をするかというと、上の写真のよ
うに板の厚さがそのまま見えるとダサイし、持ち上げる時に指が掛からないのでとても扱い
にくいの。U字形に加工して上端を薄くすれば指先が掛かり、持ち上げやすい。ってこと。
こんな機械を使って(トリマーっていいます。私は大好きなマシン)
このように周辺部を削ります。一枚の加工時間(4面の)はおよそ一分程度でしょうか。
機械加工ですからおそろしく早くし上がるんです。
ここまではカンタン。けど、それからが大嫌いなペーパー掛け。恐ろしい単純作業が待っ
ています。機械は使えません。指先をU字部分に当てて、往復の繰り返し。何も考えてはいけ
ません、考えられません。無心で耐える、これしかない。終わりのない仕事はない! アタ
マの中で繰り返し、千歩の道も一歩から! ローマは一日にしてならず? 角も痛いからほ
んの少しだけ丸くしますけど、これもかなり面倒くさい。
サンドペーパーが終わったらほとんど仕事は終わったようなもんです。ここでピアフが終
わり、すぐにグラシェナ・スサーナにバトンタッチ。ペーパー掛けの粉を取り去り、水雑巾
で拭き取ります。と、ここまでは昨日終わってるから、今日はいよいよ焼き印作業。店で販
売する商品用に焼き印を作ってもらったんだけど、これが初めての筆下ろし。
大は小を兼ねる、ってことで来たのがコレ。いやデカイんですわ。これで腕に焼き印され
たらのたうち回るなんてこと考えたくもない。本体はデカイけど先っぽは小さい。まるで
なんかみたい???? でね、使ってみると真っすぐに板に押せない。傾いて焼き印すると
片方が薄くなったり焦げすぎたり。慣れるのに時間かかるぞ。きっと、これ。
こんな感じになる。当店のマークは笑う象。なんで象なんだ、なんで笑ってるんだなんて
野暮なことはいいっこなし。息子が小学生の時にむやみにこの象を描いていたわけ。あるで
しょ、工作の時間に皿を作るみたいな授業が。それにも彫ってたし、絵も描いてた。そんと
きはこんなふうに使うなんてことは考えもしなかったけど。FACTIOを開店したときにふと
思い出して。以来、お店のマークに。
で、最後は仕上げのオイル。この皿におにぎりが載りますから木工用はなりませぬ。以前
のレストランでも使ったのはオリーブ・オイル。だから、今回も同じ。
左がオイル、右は素地のまま。オイルが染み込むと俄然品がよくなりクオリティも数段
上がります。不思議だなァ、どーしてなんだろうなァ。
終わってみるとなんてことない大したことない仕事なんだけど、なんか気が重い。あるで
しょ、そーいうこと。この木皿は一番小さい1〜2人用。2〜3人用と4〜5人用の3サイ
ズがあるけど、まずは手始めがコレ。果たして25枚で何キロなんでしょうか。量ったら7kg
ありました。まずい。重過ぎる。航空機の最大重量は確か20kgだった。コレ以外にもおにぎ
り屋制服の浴衣とか草履も持って行かにゃなりません。もちろん全部は無理だから数着だけ
だけど。これは母のもので、死後数年経ってようやく素晴らしい適地に落ち着いて、草葉の
陰で母も喜んでいることでしょう。それはともかく、私の衣類もあるし。ここでグラシェ
ナ・スサーナが終わり。メアリー・J・ブライジが流れ始めました。思いきって軽装で行っ
ちゃおうか。盛装なんか必要ないし、短パンじゃ寒いか?
遊んでいるだけじゃない、たまにゃ仕事も・・・・・・・・・・・の、店主でした。
- 2012.09.26 Wednesday
- -
- 22:11
- comments(1)
- trackbacks(0)
- by factio