おやまた、渡欧日記
災難は忘れたころにやってくる、渡欧日記もやってくるのでアリマス。でもって、今回の
テーマは見せ方。紹介のアイデア。思うに日本が苦手な分野とでもいいましょうか。店主は
そう考えているのですが。どうでしょうか。私は、これまでウィーン、ベルリン、ストック
ホルムとヨーロッパの都市にしか行ったことがないから片寄った見方かもしれないけど、と
にかく知恵と工夫を駆使したディスプレイにはいつも感心させられます。
以前行ったときに舌を巻いた素晴らしい展示に今回も行ってきました。応用美術館はデザ
イン関係専門の美術館で特別展示でマッキントッシュのパソコンがズラリと並んでいたけど
これは常設展。トーネットの曲げ木椅子が見事に勢揃い。曲げ木はなんといってもシルエッ
トがきれい。なので、このように並んでおるのでしょう。大してお金は掛かってませんが、
効果バツグンでして、改めてセンスの良さに脱帽ですわい。
裏に廻ればこの通り、表通りでもよし裏通りでもよし一つの椅子が二倍楽しめる。主に立
体的な作品が多いのですが、特に家具に関しては日本ではめったに見る事の出来ないものが
いと静かに居並んでいます。多分、来館者も少ないだろうにきっちりとやるべきことをやっ
ている美術館の方針が文化の厚みを感じさせます。客寄せではなく、デザインに対する真摯
な姿勢がスバラシクもウラヤマシ〜。
こちらは友人Chrisが是非にと連れて行ってくれたワイン博物館? 地方のちっちゃな町、
周囲はぶどう畑の真ん中のポツンと。彼は、この変形傾きのある建物がお気に入りの様子。
で、私はどうってことないだろうと思っていたけど、これがまた仰け反るほどの素晴らし
さ。いや、マジで。
入ってすぐの販売スペースの棚に目が止まり。へぇ〜どうやって作ったんだ、これ? 私
にはワカリマヘン。作り方が。
一枚の板の半面だけが曲面加工されてますから、裏返す(表返す?)とワインが置けるよ
うになっておりやす。この板、厚みといい曲面といい実に魅力的なんざんす。カードの立て
方も自然でいい。ウーム、出来るなおぬし。かなり手練なデザイナーがからんでいると見た
ワタクシ。
博物館のそばにある小さな建物から、地下に誘われます。博物館だと思っていたのは試飲
と販売のためのもので、肝心のワインに関する展示は元々はワイン蔵だったところを手直し
したところ。体験型展示で「あなたがたはぶどうになったつもりになって下さい」「最初は
ぶどうを潰して液状になります」といった趣向。その体験はなかなか刺激的で面白いもので
ありましたが、なんせ暗くて撮影不能。これは、最終段階の壜詰めを視覚的に表現したもの
で、幻想的で美しかった。
ワイン製造のどの工程を表現しているのかわかんないけど。こんな不思議なディスプレイ
が至るところにあって飽きさせない工夫に感心しきり。しかも、それぞれの造形や照明(地
下ですから)がまことに見事で・・・・。
確かこれは天井扇風機のように回っていました。きっと、ワインを撹拌しているイメージな
のでしょう。
これは階段手すり下部のガラス。きっと、スパークリング・ワインの泡をイメージしてる
んでしょう。板ガラスにいろんな形の穴が開いてます。当たり前だけど、透明感がスゴイ。高いんだろうなァ、これ作るの。
かなり長い地下迷路を巡ってすっかり身体はワイン化してしまった店主。地上に出たとこ
ろは元の建物の中。いや、なにもかも良く出来とるんですわ。その出口にあったのがコレ
お子様用の落書きコーナー。壁は黒板になってます。大人がワインやお土産を探してる時
には、ここでお子様はお絵描きカリカリ。ここは吹き抜けになってて、脇の階段を上がれば
一階の売り場。上からちょいと覗き込めば下にいる子供が確認できるし、声も聞こえます。
最初に館内に入った時、案内もしていただいた受付の女性がいたく気に入って写真を撮ら
せていただきました。撮影をお願いした時に店主を撮るのと勘違い、いやいや貴方を撮りた
いと言ったら喜んでくれはりました。でもって、パチリ
おっぱいが大きいからというわけでもなく、笑顔が素晴らしいというわけでもない。
サシが入った後ろ髪、染め色が気に入った! 短髪具合もよろしい
応用美術館しかりワイン博物館しかり、訪れる客が多くはなさそうにもかかわらず隅々ま
で気合いが入った展示ぶりに感心(そればっかり!)しきり。なんなんでしょうか、これ
は。集客に力を入れてる雰囲気もないし、売ろうとする態度も皆無。ひたすらデザインやワ
インを尊び敬愛する心が伺えてまっこと気持ちいいひとときでした。
あ〜、私の仕事もそうありたい・・・・・・・・・・・・の、店主でした。
- 2012.10.30 Tuesday
- 渡欧日記
- 21:10
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- by factio