ぼんち倶楽部 二月の予定
風邪を引きました。鼻水は洪水のごとく咳は突風のごとし。昨日は、朝起きられず(ま、
ズル休みだけど)今日は終日寝てようかとも思ったんだけど、午前中で寝るのに飽きて。ゴ
ソゴソと起き出してはみたものの相変わらずのやる気のなさにダルさが加わりなにをするで
もなく一日が終わってしまった。あ〜ぁ、なんてこったい。残りの人生貴重な時間をこんな
感じで食いつぶして良いものなのか!。
もともと寒さが苦手、この時期お風呂を焚く機会が増えます。沸かしてすぐ入るんならい
いけんど問題は朝。起きて寒いとつい朝風呂に入りたくなり追い炊きのスイッチを押すもの
の沸くまで待てずにぬるいお湯に浸かりじわじわ温かくなるのが病み付きになって。下手す
ると風呂桶の底は水みたいな時もあり、それが風邪の原因なのかしらん。
一月のぼんち倶楽部最終日「会議は踊る」を初めて観ました。いや、い〜んですよ、これ
が。なんかムズカシイ顔をした人たちが円卓を囲んでの会議で議論紛糾して一歩も進まず、
みたいな感じだと思っていたけどそうではない。先入観ってのはよくありませんです。ハ
イッ。円卓議論もないわけじゃないけど、登場する人々ほぼ全員が歌って踊るの。しまい
にゃ会議の椅子(揺り椅子なんです)までもが音楽に合わせてユ〜ラユラ踊るシーンが絶品
でね。なにもかもがホントに踊ってる音楽映画でした。音楽の扱い方、テンポ、演出もけっ
こうでして堪能しました。本編が始まる前に思いもかけない淀川長治の解説もあったしね。
ってことで、二月のラインナップは以下の通り
2月 2日(土)午後7:00〜 「ハスラー」 1961年 アメリカ モノクロ 135分
監督 ロバート・ロッセン
出演 ポール・ニューマン、ジャッキー・グリースン、パイパー・
ローリー
つい先日もアシスタントと三人でビリヤードに興じた店主。若い時に下手な横好きが嵩じ
てプロになりたいと思った時(一瞬だけど)もあった。当時、関東は四つ玉(赤白二個づつ
の球で競う)関西は通称プール(台に穴が6つ、15個の球で競う)だったけど、この映画は
プールゲーム。ビリヤードのテクニックもよろしいのだが疾風のエディ(ポール)とミネソ
タの太っちょ(ジャッキー)の風格雰囲気がなんといっても圧巻。それまでマーロン・ブラ
ンドやジェームズ・ディーンの二番煎じのように扱われていたポール・ニューマン。その彼
が初めて自分の演技スタイルを確立したと賞賛されたけど、私はこれが彼のベストだと信じ
る。さらに恋の相手役のパイパー・ローリーがまことにけっこう。いつも酔いちょっと脚が
悪くて世をすねてふて腐れたような投げやりで物憂げというきわめてむずかしい役を演じ
きっていると思うのはアタイの欲目でしょうか。
2月 9日(土)午後7:00〜 「海の上のピアニスト」 1999年 アメリカ・イタリア
カラー 125分
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 ティム・ロス、プルート・テイラ−・ヴィンス
未見ですから何とも言えない。双葉サンの評価では80点だし、監督がトルナトーレだから
悪いハズはないだろう。
2月16日(土)午後7:00〜 「赤い殺意」 1964年 日活 モノクロ 135分
監督 今村昌平
出演 春川ますみ、西村晃、露口茂、小沢昭一
強姦された主婦が「死なねば」といいつつ台所に立ち包丁を掴んで。ところが、脇にあっ
たご飯にみそ汁をぶっかけてモリモリと食べるという有名なシーンが観たくて。上映当時は
扇情的な宣伝文句が並べられていたけど、官能的なシーンは極めて少ない。女性が内包して
いる根源的な強さ図太さ、主人公の本能的な行動は男の私にはまことに不可解きわまりな
い。女性の怖さを実感し、男と女の間には深くて暗い河がとうとうと流れていることを実感
痛感。最近じゃ「優しい男」がもてはやされ「頼りになる男」が必要とされないと言ったの
は瀬戸内寂聴だけど、それは女性が強くなったことの証です。学生から聴いた噂でも彼氏が
「田舎に帰るからしばらく会えない」を聞いた女生徒が「なんで今そんなことを言うの!」
と平手打ちしたという。つまり、もっと後になってから言いなさい。言う時期が早過ぎる。
早く伝えられたらそんだけ私がイヤな思いをするでしょ!! ま、そーいうことらしい。そ
れは愛情の表現なのか? そうだとしても平手打ちはないでしょ。怖いぜまったく。普段は
おとなしくって事が起きたときに大胆な行動を取るんならわかるけど、普段から強くって心
の奥底も図太いってことになると大変だの〜。今どきの男性諸君よ。
2月23日(土)午後7:00〜 「斬る」1962年 大映京都 カラー 71分
監督 三隅研次
出演 市川雷蔵、万里昌代、藤村志保、渚まゆみ
時代劇映画を振り返ってみていますが、そうそう名優名画はないことに気が付く店主。偉
そうな物言いなことは承知の上だけど。印象に残っているのは宮本武蔵・中村錦之助と市川
雷蔵くらいなもの。そりゃバンツマとかアラカンとかいたことは知ってるけど時代が違うか
らピンと来ません。市川右太衛門、大友柳太郎、里見浩太朗もイマイチだし、勝新も華がな
いからアウト。片岡千恵蔵は好きだけど本数が少ないし。高橋英樹は現代劇だし。ってこと
で私のアイドルは市川雷蔵になってしまう。高校時代から観ていたという思い入れもある
けど。昔、文芸座で回顧上映の時に映写幕に名前が出てきたら老嬢たちが拍手したことが忘
れられず。道ならぬ恋に落ちた相手の母親と飲んだ時に。雷蔵に会いたくてわざわざ京都ま
で行き、撮影所脇の食堂で手が触れんばかりの近くでおそばを食べたと嬉しそうに話してい
たことが忘れられない。かように絶大な人気を誇っていた雷蔵。
そんな雷蔵映画の中でも白眉はこの映画。まさに大映京都が生み出した傑作。この映画の
雷蔵は相変わらず凛として素晴らしいけど、助演の万里昌代も同様にスバラシクうっとり見
惚れてしまう。主役ではないから出番は少ないけど彼女にとってこの映画がベストと私は思
う。弟をかばうために多数の侍の前で全裸で立ちはだかる、潔さ凛々しさに感動してしま
うのは私だけではあるまい。時代小説の名手藤沢周平の世界にはこんな女性が生き生きと活
写されているけど、それに負けるとも劣らないのであるぞい。
てなこと書きつつ間欠的な咳にむせる・・・・・・・・・・・の、店主でした。
- 2013.01.31 Thursday
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- 12:19
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- by factio