そして静岡市清水区

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      TV紹介されて、連絡があって、お会いして、知り合って、依頼されて、機械を買わなけれ
    ばならなくなってしまったのダ。その機械は、木工旋盤。木を回転させながら彫刻刀の親玉
    で丸く加工する機械。学校の工房での付き合いは長くまぁまぁ慣れている方だと思うけど熟
    練ってほどじゃない。学校の機械は、しばしば使ったことあるし、比較的自由に使えるんだ
    けど、やっぱお客さんの依頼に応えるとなると自分用に買わないといけません。で、人に聞
    いたり調べたりしたけど、結局この機種しかないらしく。これを扱っているのはネット販売
    専門のオフ・コーポレーションしかない。しかし、機械を触ってもみないでいきなり買うな
    んてことはできない。出会い系サイトで連絡を取り合っていきなりSEXなんか到底無理なワ
    タクシ。ってことで、この会社のショールームが静岡県清水市にあるっていうんでお触りス
    リスリして良ければ買うてしまおうってことで行ったわけだ。

     依頼されたあまりお客様を待たせるわけにもゆかないから昨日静岡市清水区にある「工房
     スタイル」に行って来た。天気晴朗なれど血圧高し、快調なFITは東名高速をひた走る。2時
    間弱で到着。

     いかにも木工機械のショップという外観。期待は高まる。

     電車を模した入口もけっこう。左側にある茶色の物体は足踏み式の木工旋盤。これなら野
    外でもクルクルと木工が楽しめるのだろう。以前、イギリスの木工事情をネットで見た時に
    紹介されていたものは多分これと同じようなものなんだろう。

     中に入り、数種類の木工旋盤を見せていただき説明していただく。対応していただいたの
    はリーダーのW辺氏。引き締まった風貌は木工に従事している方に共通した雰囲気が充満し
    ている。目指すは木工旋盤だけど、切削刃物と研ぐための機械(グラインダーと申す)と刃
    物を安定させるための治具。次々と説明され、それぞれ価格を聞く。う〜む、総額がうなぎ
    上りに上昇して心はおののくわけだ。W辺氏は、よりよい製品を勧めるけど、良いモノは金
    額も高い。齢64才だから、これが最後の旋盤となることは間違いない。オレが死んだらこの
    機械はどうなるんだろうか? 処分されちまうんだろう、なんてことも頭をかすめる。良い
    機械を使って、作品(商品)が思わしくない場合の原因は自分の腕なんだからとてもスッキ
    リする。変な機械ならば原因が機械なんだか自分の技術なんだかわからない、というモヤモ
    ヤ感が残るでしょ。でも、現実としての総額もあるし、第一元々あまり心が動かない旋盤だ
    から飽きることも恐い。優秀な機械を買い求めたはいいけど飽きてしまったら宝の持ち腐れ
    になる。それが、こわいんだ。

     一通り説明を受け、頭を冷やすために外に出て一服。5万円7万円10万円運命の分かれ道、
    どうでしたか〜〜〜〜!という口上が頭の中をぐるぐるまわる。夢路いとし喜味こいしが司
    会をしていた番組。たしか「ガッチリ買いましょう」だったか。スタジオに並ぶ電化製品、
    金額がわからないけど見当をつけて買いまくり、一定の金額内で収まれば持って行ってヨロ
    シイ。足りなかったりオーバーならば、それっきり。ザンネ〜ン〜でしたとなる。アレとア
    レを組み合わせて幾らになるんだ、飽きないか? 飽きても後悔しないか? 不届きなこと
    も考えつつ、決定し、即持ち帰る。グダグダアレコレ悩むのは嫌いなんだ。買うんなら買
    う、買わないのなら買わないとはっきりした客でいたいんだ。だから買う機械を指定するの
    はものの数分しかかからずアッサリしたもんだ。

     で帰路に着くんだけど今旅の第二の目的地に立ち寄るべく東名高速は沼津で降りる。目指
    すは修善寺。ここの鯵寿司を是が非でも食べねばならない。BSで観た新日本風土記「駅弁」
    で紹介され、思わず涙した舞寿司。親子三人で営んでいる小さな弁当屋だ。ちなみに、この
    「駅弁」の番組は音楽が素晴らしく演出も素晴らしい。きっと製作されたスタッフはかなり
    の方々に違いない。それならば、なおのこと赴かねばならん。途中で、同行者に電話をして
    もらい弁当の有無を確認する。傍で聞いていると、どうやらもう売り切れらしい気配濃厚で
    車内は陰鬱な雰囲気が漂う。先方はあれこれ具材の残りなどを確認している様子で、待つこ
    としばし。ようやく私たち人数分の弁当が確保出来たらしい。ウレシイぞ、食べれるぞ。

     修善寺駅で〜す。この構内に駅弁コーナーがあるけど、指定された受け渡し場所はそこ
    じゃない。

     駅前にあるペコちゃんなんだ。ごくたまにここでの受け渡しがあるらしい。なんたって冷
    蔵庫があるから、なんだろうか。

     名前を言ったら出て来たの。弁当が。で、どこで食べようか? 来る途中に川があったか
    らあそこで食べましょか。ってことで、川を目指す。

     絶好の駐車スペース発見。土手の上、川の直近。ここなら駐禁もないだろうて。

     あそこらへんか、

     ここがベストポイントだろう。川に足を浸しながら、食べましょうという提案、双手を擧
    げて大賛成。靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、ソロソロと川の中。気持ちいいぞ、なんて気持ちいい
    んだ。瞬間、尿意を催すけど、私の膀胱は一踏ん張りできるだろう。

     テーブルは膝の上、落としたらアウト、だからカメラを持つ手もいささかの緊張。TVで観
    た通りの中身。思ったより小柄な弁当。ご飯の上には二匹分の鯵の切り身がみっちりと並
    ぶ。美味しそうだ。と、思っていたら同行者が醤油を膝の洋服に撒き散らかしてしまった。
    やっぱりな〜、なにかやるとは思っていた予想が大当たり。ひどく不安定な体勢だから事故
    が起こるのもいたしかたなきこと。弁当を脇に置いて川でじゃぶじゃぶ洗い始めるんだ。醤
    油のシミを絶対に落としてやる意欲がみなぎる。やるな〜、でも膝下はほぼずぶぬれ状態。
    そんなことはおかまいなく私は食べ始める。うまいぜ、ユリちゃん。ほんのりの酢、肉厚の
    鯵、ご飯も白米ではなく白ゴマの混ぜご飯。ん。鯵とご飯の間になにかある?

     ボケでごめん。桜葉の漬け物が一枚はさまってるじゃんか。お店の方々があれこれ知恵を
    絞って改良の結果なんだろう。作り手の顔を知ってるから感情移入も容易、いいなぁ〜、
    まったく。


     食べながらあたりを見回すと
     まったく至福のひととき。地下にこもって改修工事ばっかりじゃ心はカラカラになっちま
    う。たまにゃ、こういうこともしないとさ。足は川の流れに浸しつつ、お腹は美味しい鯵弁
    当で満たされつつ、目に見えるものはおだやかな自然の風景。仕事ばかり、あれこれの人間
    関係、お金がどうしたこうした、都会にいるとそんなことが渦巻いているし否応もなく流さ
    れてしまう。ほんのひとときささやかなエピソードだけど、そんな日常を豊かにさせてくれ
    るもんだ。

     釣り人もいたりして

     食後の一服。同行者が「そこに大きな魚がいる」と小さな叫び。見ると鮎がもがいてる。
    どうも動きがおかしいと思ったら友釣りのおとり鮎。糸が切れて針が笹に引っ掛かって動き
    がとれないのだ。あわてて捕まえて鼻カンをはずそうとするけど、これがなかなか。細いス
    テンレスの輪は強く指先に力を入れるもそう簡単にははずせない。
     
     糸を焼き切って、しばし格闘、えいや!と注意深くはずしてはみたもののすでに鮎は息絶
    えている。私の手の温度もあるだろうし、エラに大きな傷を負ってたし、鼻カンの影響も
    あったんだろう。可哀相だけど、このまま川に流そう

     名画「黄昏」で、老齢のヘンリー・フォンダが孫と湖でボートに乗って釣りをしていた
    シーンを思い出してしまった。夕暮れの美しい湖、小学6年生ぐらいの少年ともう死期が近づ
    いているおじいさんの二人っきり。ふと見るとボートの脇でアビ(大きな水鳥)が死んで水
    面に浮き沈みしてる。アビの死を自分の死に重ね合わせるヘンリー・フォンダ(この映画が
    遺作でした)。まことに美しい風景の中、これから昇る太陽の孫と残照の老人の対比は素晴
    らしくも残酷であった。静寂の中、死が支配する夕暮れの叙情性はえも言われぬ雰囲気に満
    ち満ちていて、今も私の心の中にまざまざと刻み込まれている。

     そんなことを思いながら鮎の死に立ち会う。こんな私の心なんか誰も理解できんだろう。
    それは親しい同行者とてもおなじこと。だから、私は友人の多さを誇るよりも孤独を愛する
    ことに心は傾く。冗舌で三枚目を自認している私だって、心の底にはいろんなことがないま
    ぜになった秘密の小箱を持っている。

    なんちゃってネ・・・・・・・・・・・・の、店主でした。


    チカレタ Beeeeeeeeee〜〜

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        誰にも会わず地下で一人工事をしていると、ひょいと疲れを感じることがある。といって
      も何時間も作業を続けるわけでなく休み休み(この休みが長いんだ)だからどうってことは
      ないんだけど。今も、もう疲れちゃってやる気は急速減退。格別記事にすることもないけ
      ど、気晴らしに更新でもしようかと思ったんだけど・・・・・・・・。

       前々回の記事 http://blog.factio-tokyo.com/manage/?mode=write&eid=233 「憂鬱
      二題」の上司の方の写真を撮って来た。これざんす
       二階から見下ろした図です。どうです目隠しの隙き間が広いでしょ。二階から一階へ通じ
      る階段への通路が喫煙スペースになってるんだけど、そこから撮ったので仕切りの網目ガラ
      スの向こうに問題の物件が丸見えなんだ。製作者は2回確認を取った上で(隙き間が広いっ
      てこと)設置したんだけど、これを見た上司は広すぎることを理解しもう一枚横板を入れる
      ことになったとのこと。普通なら追加工事で別料金だっせ。しかも、追加の板が一枚だと隙
      き間はあまり狭くならないかもしれない。そしたら、さらにもう一枚・・・・・・!

       それはそれでいいんだけど、さらに憂鬱倍加する出来事があったらしい。上司のそのまた
      上司がここを(目隠しの向こうのスペース)物置にしようって言い出した。学校ってのはい
      ろんな雑物が溜まってしまうから、そんなあれこれをここに置いちゃえって。仰け反る製作
      者。だってここに登るにはハシゴしかないし、物を持って上がるなんて事はできない。ロー
      プで引き揚げるにしても危険すぎる。一番大きな問題は、いくら目隠しをしたって人の目に
      つく場所(ここは学校の入口でありロビーにある)をなんで物置にしなくちゃならないん
      だ。そんなことツツ〜と理解出来るだろう。それがどうもマジな考えらしく、そのことを話
      す製作者はほとんど涙目になってんだ。そりゃツライわな〜、無理解を越えて非常識なん
      じゃないか。言い過ぎか? いやいや言い過ぎではないだろう。

       とかなんとか思っていたら、別の学校の授業での驚くべきことを聞いちまった。ある私立
      美術大学、絵画(油です)専攻の授業でプレゼンが行われていることだ。ファインアートの
      世界にも自分の作品を大勢の方々に説明発表しなくてはならない。アタシャひっくり返って
      しまったわい。質疑応答ならまだわかる。けど、そうではない。絵画や彫刻などという世界
      は説明するもんじゃないでしょ。見て楽しい、理解する、あれこれ思いめぐらす、鑑賞者と
      作品、双方無言で交流するもんじゃないのか。ゴッホは自分の絵を説明するのか? ルノ
      ワールは絵を描く動機や画材、技法のことを説明したのか? そんなことするわきゃない。
      そんなことが苦手だから、絵を描くことでしか表現出来ないから絵描きになったんじゃない
      のか。あったりまえだろ、そんなこと。でも、オレの考え方おかしいのかな? 変かな??

       そんじゃ音楽もプレゼンしなくちゃならないのかい。サザンの桑田クンが自分の曲の成り
      立ちなんかを説明するワケ? リズムとメロディを解説するわけ? クィーンのフレディが
      するわけ?? するわけないじゃん。だって音楽は説明不能なもんだし、音楽を言葉で説明
      できるわけがない。ならば、同じ芸術仲間の絵や彫刻だって同じことだろうさ。ビジネスと
      して考えれば売り込みとしてのプレゼンはあり得るかもしれないけどさ。それにしたってプ
      レゼンと最も遠い位置にある芸術にプレゼンを持ち込むことのやりきれなさはたまらない。
      っていうか耐えきれない。そんなことをしてるから新しい作品が出て来ないんじゃないか。
      説明しやすい作品を描くようになってしまうんじゃないか。ああ、なんてこったい。芸術
      よ、お前もか。

       なんらかの機能を必要とするデザイン作品だって、作者の意図を理解しようと努めるだ
      ろ。かたちや色や構造なんかから想像し判断し、疑問があれば聞き腑に落ちればよし理解出
      来なければさらに聞く。そういうもんだろう。過去の作品に照らし合わせて考えてみたり、
      今の時代性みたいなものもそれなりに考慮せねばならないだろう。あらゆる面から格下と言
      わざるを得ない専門学校だってそんなことぁアタリマエ。それをですよ天下の4年制大学であ
      りながら、教授連は放棄してると私は思ってしまう。嘆かわしいといっちゃ「嘆かわしい」
      に失礼だ。まったく何を考えてんだか。これだから権威にすがるプロは困る。

      いずこも同じ秋の空・・・・・ランボー怒りの鉄拳?・・・・・・・な、店主でした。


      UNCLEのよろこび

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         東京都国立市での作品展に行ってきた。久しぶりのちょいと遠出。同行するのは講師をし
        ている学校の極小のサークルの二名。だったんだけど片方が風邪のために病欠で片肺同行と
        相成った。三人行を楽しみにしてたんだけど、残念無念。早く快復していただきたいもん
        だ。当店で待ち合わせてまずは等々力にあるサンドイッチの名店・アンクルサムズ サンド
        ウィッチhttp://sokuza.com/4929/に立ち寄る。1996年に出版された、名著「いまどき
        真っ当な料理店」田中康夫著で紹介されたときに訪れて以来17年ぶりの再訪。開店してから
        36年サンドウィッチ一筋でガンバッとるのだ。偉すぎて眩しくて正視できない。この本で
        は、ハンバーガーの名店・HOMEWORKSも紹介されている。同じ頃訪れて感心したけど、つ
        ぎはここに行こうかしら。ね、お二人さん。

         以前はテイクアウトだったから今回は店内で食することにした。開放的な店構えを入ると
        見慣れた店内。以前来たときと変わらないことに感心する。改装しないということは、問題
        がないということ。最初の設計がよかったことの証。素朴なアメリカン風のデザインはくだ
        けた感じでまことに居心地がいい。厨房内は初代の娘さんか? 白いブラウスはこれまた
        けっこう。で、ベンチに座りメニューに目を通す。数十種類のサンドウィッチに目が移りな
        かなか選べない。
         テーブルにはこんなモノが。どうやらナイフらしい。聞けばサンドウィッチを切り分ける
        ナイフとのこと。やっぱり。でも、こんな形のナイフ見たことない。一枚ステンレス板に□や
        ◯を開けてギザギザ刃なんだ。よく切れセンスが光る。

         こっちは私が頼んだサーディーンとチーズ。丸いのはポテト、レモンと玉ねぎ輪切り2本。
        見た目はよろしくないけど味は美味。

         こっちは連れが頼んだハムとアボガド。これを半分づつ取っ替えっこしてムシャつく。う
        まいぜ。やっぱサンドウィッチは作り立てに限る。時間が経てばこんがりパンに水分がしみ
        込んでべたつくのはやむを得ないだろう。ふと気が付くと青い器が見える。ま、まさか灰皿
        ではないだろう。こんな使い方かな?
         ストロー置き?? そんな馬鹿な! けど、一応可愛い娘っこのウェイトレスに聞いたら
        「全席喫煙席です」と微笑みながら答えてくださる。げっ、この時節、喫煙解除かい。驚い
        たのなんの。厨房内に忙しく働く二代目店主?に後光が輝く。マブシイぜ。

         ということならば遠慮なく一服させていただこう。あ〜〜〜〜至福だぜ。同行の学生にに
        わか評論家となり店内の解説をひとくだり。なんでも評論家ごっこ大好きだから舌は滑らか
        に回転しとどまる所を知らず。拝聴するのも楽じゃない、なんたって一対一だからね。

         厨房内の棚の上にはミッキーの扇風機? 耳があるからきっとミッキーなんだろう

         レジ脇にはおもちゃのレンジ。中に電球が仕込まれていて雰囲気満載なんだけど電球の熱
        で上部が溶けて裂けているんだ。ま、これも歴史の1ページだからこのまま行くんだろう。

         アイス珈琲をテイクアウトし、一路国立市へ。今日のメ〜ン・イベント、矢口加奈子女史
        と松井清氏の作品展に行くのだ。馬鹿話をしながら車検を終えた愛車FITは相変わらず平気な
        顔をして我々を軽々と連れ去る。道路も空きすきでストレス皆無。で、到着したわけだ。

         一階は矢口さん二階は松井さん、好印象の会場で婉然と矢口女史が微笑む。一見とっつき
        にくい印象だが話してみると敷居は低くきわめてフレンドリー。同行の学生とも話しに花が
        咲き再会の約束を果たしたようだ。こうして類は友を呼び、おだやかな友達の輪が形成され
        る。自然な流れに身を任せる心地よさ。奥にある立ち木状の展示台?はいつも通り。家を出
        る時に珍しくカミさんから「バッグ」が欲しいとのリクエスト。A4が入るものとの御下命に
        従い、私はこれを選んだ。
         「歓 よころびのかたち」が彼女のコンセプト。 http://www.yorokobinokatachi.com/
        切り絵手法で布素材の作品が中心なんだけど、古くからのファンとしては象とかの立体物も
        見てみたいな〜とおねだりをしてみた。ビジネスだから売れ筋商品に傾くのはやむを得ない
        ことは承知しているけど、初心も時々は思い出してほしいのですわ。その、初心とは?

         これだ。彼女の卒業制作。テーブルの大きさは多分1.8m正方形から切り出した八角形。ベ
        ニヤの厚さは21ミリだろうか。全面に切り紙模様が切り抜かれている。これは大変でっせ。
        こんな大きなベニヤを切り抜くには馬乗りになってジグソーでひたすらのほこりまみれ。脚
        の細い部分は何回か折れてしまったんじゃないか。しかも、布で包み込んだスツールまであ
        る。こんな作品を作った彼女からしてみたら昨今の学生の反応の薄さ、元気のなさは堪え難
        いものがあるんだろう。というのも彼女は東デの同僚講師でもあるからね。学生のやる気の
        なさにつられて自分もだんだん劣化してゆくように思えるなんてこともおっしゃるの。私も
        同感だからお心うち察するにあまりある。64才の私ならまだしも30代の彼女にもこう言われ
        てしまう今の学生諸君よ、どうなんだ、しっかりせいよ!!

         いい機会だから彼女の大学の卒制作品を載せておこうかしら。女子美すなわち女子美術大
        学が彼女の母校、そこで講師をしている先生からいただいた数冊の作品集。その中から感心
        させられた作品を選んでみた。
         キッチン用品をアクセサリーにした作品。中央の丸いのはネックレス、で下についてるの
        がワインのコルク抜き。上部の丸いのは調味料入れとしてのブレスレット。といった具合。
        すべての作品のクオリティはきわめて高くデザインも秀逸でアタシャ驚いたなぞなもじ。

         大きなスツールというか遊び椅子というか。下部は木で中央の丸凸にドーナッツ状のクッ
        ションが差し込まれる。ほぼ完璧な仕上げで、どこもかしこもツルツルでクッションの縫製
        も一切の破綻はない。これほど丁寧な仕上げをした作品に私は出会ったことがない!!!
        ユーモラスな形、配色のセンスも文句なし。唯一、作品としての強さ(表現が弱いとでも言
        えるか)に難があるんじゃないか。けど、そんなことを蹴散らかす仕上げの素晴らしさに脱
        帽なんじゃ。

         ボディ・ソープの容器。実際に中には液体が入っていて実用できる。テーブル上に置いて
        あるちいさな◯が容器。実は、この容器彼女のおっぱいを型取りしたもの。それを聞いて仰
        け反ったアタイ。ぬわんと、オッパイかい!!! 自分の乳を型にとり、たってどうやって
        とるんかいな? 乳に直接石膏を流すのか・・・・・・?? とてもじゃないけど冷静な視
        点で審査なんか出来へんで。触ることも出来ないかもしれない。どう触ってもセクハラに
        なっちまうんじゃないか。やるなァ、女子美。かないまへん。

         巨大なFRP作品。FRPってのはガラス繊維を樹脂で固めたもので、固まると非常に硬くな
        る。それをつなぎ合わせて表面を削る。なんて凄いんだ!! 全身細かいほこりでもうもう
        の中で作業している彼女には誰も近づかないだろう。しかもですよ、ガラス繊維ってのは飛
        び散ると肌にチクチクだから大変なんす。こんなモノを作ろうというエネルギーに圧倒され
        てしまう。ウーム、そしてウ〜〜〜〜〜〜ム。

         そしてコレだ。なぜか私は大好きな作品。用途は?なんて考えちゃいけない。こういうも
        のを作りたいという一心なんだろう。顔もいいじゃないか。飲み込まれているのか尾っぽが
        巨大化して動きがとれなくなっての断末魔なのか。この娘っこならきっと楽しいお酒が飲め
        るに違いない。どんな環境になっても彼女は自分らしく生きてゆくに違いない。そんな確信
        が揺らぐことは一切ない。まさに激賞だけど好きだからいたしかたない。

         当然のこと私は東京デザイナー学院のファニチャー専攻の作品写真も数多く持っている。
        機会があれば掲載するかもしれない。こんな先達の勇士に比べちゃいけないことはわかって
        いるけど、私はどうしてもこんな過去の作品と昨今の作品を比べてしまいがち。作品の優劣
        ではない、仕上がりのレベルでもない、学生のやる気スケールの矮小さが気になってしかた
        がない。時代も違うから就職に対する状況の変化も異なり、生活するための仕事=会社に適
        応した作品となる気持ちもわからないでもない。でもね、そうなんだろうか? こういう時
        代だからこそ学生自身の元気体力冒険心トンデモナさやりたいことやってみるチャレンジ精
        神みたいなものが求められているんじゃないのか。自分の好みがそう思わせるのかどうかわ
        かんないけど。若いんだから小さくまとまってどうする、と思ってしまう今日このごろ。

         松井氏の作品も手に入れた。いままでは油絵だったけど今回は急ハンドルを切ってステン
        シル。彼だっていろいろ思うことがあって作品傾向を変えたんだろう。それは年令に関係な
        く自分自身を変えることの勇気やいさぎよさ、ある種の覚悟みたいなものがないと出来ない
        にちがいない。そんな彼の変身を私は万感の好意で迎える。君子豹変す、いいじゃないっす
        か。ってね。一枚は家のどこかに、もう一枚は出来上がりつつある地下の中心に落ち着くこ
        とになるだろう。この絵が、いつまでも鮮やかに私たちの生活を彩ることを願いつつ祭壇に
        膝まずく。ナンチッテ。

        アーメン、ソーメン、冷やソーメン・・・・・・・な、店主でした。

        憂鬱二題

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            昨日、学校に行って来た。4月から始まった2年生の課題発表、3つの授業の合同プレゼ
          ン。学生は3つの授業の課題それぞれを一気に発表する。少なくとも作品は3つだから大変な
          んだろう。で朝、いつも通り二階通路の喫煙場所でタバコをくゆらせていると目の前に新し
          い目隠しが設置されている最中。一階ホールには、ドカンとデカイ箱があるんだけどこれは
          地下駐車場のためのカーリフト。箱というよりは部屋なんだけどただ壁で囲われているだけ
          だから二階から見下ろすと単なるBOX。その上が天井までガランと空いてるのでここに目隠
          しをしようってわけだ。SPFという建築材を白く塗装して横に並べるだけなんだけど、作って
          いるのは木工室のアシスタント二人。

           午前中の審査が終わり、喫煙室に戻ると目隠しはほぼ出来ている。出来ているけど隙き間
          がやけに大きくて中が丸見え、これじゃ目隠しにはならないじゃん? と思っていたら作っ
          てたアシスタントが悲しい目をして近づいて来る。板の隙き間が広すぎるでしょう、と私に
          聞くわけ。誰が見たって広いことはわかる、そばにいた同僚講師もそう答える。でも、指示
          した先生はこれでいいって言うんですよ・・・・と製作者は嘆く。これじゃまるで嘆きの壁
          じゃんか。彼としてはもっと狭くして目隠しらしくしたいのは山々だけど、上司たる先生は
          OKを出す。ふだん目に見えないモノならいいけど、彼もタバコ愛好者だから毎日数回目にし
          ながら休憩するつらさ。わかります、わかりますよ、そのせつなさ。一服している脇で「変
          な目隠し、誰が作ったんだ」なんて言われた日にゃ、たまりませんもん。どうすりゃいいの
          さ、思案橋。ま、それでいいじゃん。しょうがないじゃん、クライアントがいいって言って
          んだから・・・・・・・・・・・。とはいったけど、やっぱりなぁ、これはないですよ。あ
          まりにもひどすぎる。なんて追い打ちをかけてしまった。

           どこにでもいる憂鬱な上司。そんな上司のために辞めるわけにはゆかない。でも、無理解
          さが悲しい。じゃ、どーするんだ。この目隠しの場合もう2回も確認をとったから、気を取り
          直して3回目の確認をとったほうがいいんだろうか。でも、3回も聞くと怒っちゃうかもしれ
          ない。イイって言ってんじゃん!! とかね。どう〜するアシスタントI川君! アタシャ知
          らん顔して帰ってしまったもんだ。いやね、もっと話して打開策を講じたかった気もあった
          んだけど、FACTIOにお客さんが来店される予定があったから帰らざるを得なかったんですわ
          い。果たしてあの目隠しはどうなるんじゃろ〜。乞うご期待?

           午前中の審査は、在籍10名の学生に対して開始時は5名しかいない。この発表を逃すと落
          第点になるにもかかわらず。元々、3つの授業の合同発表はこれに欠席すれば一気に3授業の
          不合格が確定するわけで、そのぎりぎり土壇場を味わわせてやろうという親心もあったんだ
          けど昨今の学生にはまるっきり通用せず、ノレンに腕押しなんだわさ。なんと緊張感のない
          ことよ。こっちも緊張感は薄いからお互い様と言えなくもないけど。それにしてもどうなん
          だと思ってしまう。しかも作品いずれも少なく小さくクオリティは低いの三拍子揃い踏み。
          こちとら一目見れば出来不出来はわかるほどの経験は積んでる。でも、果敢にも彼らは説明
          を試みるんだ。それはまったく徒労の作業であることは4人の審査員は無言の理解だけど、お
          客様の彼らだから無下に遮断するわけにもゆかず、おとなしく聞いているわけだ。

           でも我慢にも限界があり、小爆発を繰り返す。かくいう私も数回の爆発をこらえきれな
          かった。とはいえ叱りを抑え声が大きくなるのを押しとどめできるだけ温和におとなしく諭
          すように発言しているつもり。なんだけど、叱りは叱りを呼び、膨張し新しい叱りの波が
          次々と襲いかかり、声も言葉も強くなってしまう。あぁ、どうちてこうなるんだ。誰か賛嘆
          賛美素晴らしいと発声させてくれんかの〜、頼んますよ、もう。って言っても、もう済んで
          しまったから手遅れ実現不能なんだけど。

           そんな中、一人気を吐く美学生A。私からみると孤立無縁ライバル皆無さまよって途方に暮
          れてるように思える。目を覆わんばかりの他の学生の中ではどうしたって目立つ存在なんだ
          から。本人に実感はないけどいつのまにか期待の星みたいな言われ方をしとるんじゃない
          か。自分の作品に自信はない、忸怩たる思いの中、相対的に判断すればAとならざるを得ない
          もどかしさ? 大したこたぁないんだから、もっとビシビシ指摘してくれんかのう、鍛えて
          ほしいんじゃ、シバイて欲しいの。身悶えすれども、比較されると上位にランクされちま
          う。これも困ったもんだ。憂鬱な期待なんだ。私にはそう思えてしかたがないけど、実際の
          ところどうなんだろう。豊かな胸をこじ開けて覗いてみたいもんだ(セクハラ失礼!)。

           なにごとによらずピンとキリを知らなければ自分の立ち位置を確認することができない。
          つまりは他者との比較だ。これはデザイン修行でもおなじこと。今、まわりにピンが居ない
          のなら過去の中から探すっきゃない。旧きを尋ねて新しきを知る、これだろう。無数の過去
          の作品の中から自分に合ったピンを探すのは容易なことではないだろうから、そこは先輩に
          聞かなくちゃ始まるまい。その先輩は、身近に居る教師なんじゃないか。でも多くの教師の
          誰に聞けばいいんじゃい? 片っ端から聞きましょか? あるいは目星をつけて問いましょ
          か? 貴方ならど〜する? そこんとこど〜するの? アテに聞きなはれ! と言いたいけ
          ど、こっちも神じゃないから的確なアドバイスができる自信はない。自信はないけど自信は
          ある。めちゃ矛盾しているなぁ〜。ま、テキト〜に考えて下されたし。ナンチッテ。

           すでに夏真っ盛り、こんな憂鬱はさ、海にでも川にでも行ってさ、流してさ、スッキリし
          てさ、寝てさ、焼いてさ、喰ってさ、ほいでもって、それを猟師がってっぽで撃ってさ? 
          なんか順序逆になっちまってさ・・・・・・・・・。ま、秋には気分一新でガンバロやない
          か。

          なんのこっちゃワカラン・・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。


          仏 芸術家の家

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              BSプレミアムで再放送された残照・フランス 芸術家の家を観る。芸術の国フランスの名
            に恥じない国立の老人ホームで暮らす芸術家の日常が淡々と映し出されていて、いろいろ思
            うことがあった。どのような経緯でこの番組が作られたのかは知る由もないけど、フランス
            映画「旅路の果て」1938年が原型としてあったのではなかろうか。この映画の老人ホーム
            は、役者俳優であったことが入所条件だったけど、今回は画家、彫刻家、アニメーター、音
            楽家などさまざまなアートに携わっていた方々。故人の遺言で寄贈された広大な敷地と建物
            も見事だけど、暮らしている方々の洋服の色がスバラシイ、まったくウットリとしてしまう
            んだ。建物の中には過去暮らしていた方々の作品が飾られている。特に、受付カウンターの
            見事なこと。微妙な曲線と色使いにため息がもれる。このカウンターを見にフランスに行き
            たいと思っちゃう。

             で、「旅路の果て」。その昔、専業教師をしていた東京デザイナー学院で映画のサークル
            を主宰していたんだけど、私一人で上映しクダラナイお喋りしているだけじゃ能がないと
            思って知り合いの先生に無償でゲスト参加をお願いして。その中の一人が森やすじ先生。東
            映動画の重鎮できわめて温厚で優しい方だった。朝の当番業務で各教室を点検して回ってい
            るときに授業開始一時間前に着席している女生徒二人。どうしたのこんな朝早くから? と
            問えば、先生に会うのを楽しみで待っているんです、ときたもんだ。その先生が森さん。若
            い私は仰け反った。これじゃまるでファンじゃん。授業でも森さんのキャラクターを使って
            アニメーションの作画をするから、そりゃ学生にとっちゃたまらない授業なんだろう。
             画像がボケてるけどこんな方なんです。いつもニコニコ、私のような若輩者に対しても腰
            は低くなんでも教えてくれる。彼の代表作(勝手に私が思ってる)は、
             やはりこれだろう。東映アニメのマスコットキャラクター・長靴をはいた猫の「ペロ」
            ちゃん。当時、学校はまだまだアットホームな雰囲気があって校内で納涼祭のような集まり
            があったときに森サンはこの「ペロ」を描いた凧を持参した。イベントの賞品として。私の
            息子がまだちっちゃかったから、これ欲しさにイベント参加したんだけど惜しくも落選。そ
            したら後日色紙に名前入りでちゃんと描いてくれてプレゼントしてくれた。その時の記憶が
            忘れられない。息子も同感なのだろう、今も部屋に飾ってある。

             その森やすじさんに、一番好きな映画は? の答えが「旅路の果て」だった。日頃のご本
            人の感じとまったく違ったので強く印象に残っている。旅路の果ては戦前の映画だけど、あ
            まりの内容の暗さ(ペシミズムざんす)で日本では上映禁止になったらしい。観ると禁止に
            なった理由がわからないでもない。希望もなんにもない、厳しい現実と老化するみじめさ、
            過去の栄光にすがりつき今を美化するさもしさ、どうにもやるせない感じが身にしみて感じ
            られる。今回のBS版では、そんな心の奥底に潜む絶望感をあからさまに表現することはな
            く、表面的でサラリとした内容だったけど、彼ら彼女らの心の中はうかがい知ることのでき
            ない残酷がじっと息をひそめているんだろう。私はそう理解しているのダ。この映画、探し
            ていてようやくめっけたから手元にある。むろんビデオだ。希望される方がいたら上映しま
            しょう。

             話しは変わるけど当時の東デのアニメーション科は掛け値なしに素晴らしい講師陣だった
            ことは間違いない。森さんを筆頭に

            作画の小田部羊一  http://ja.wikipedia.org/wiki/小田部羊一

            そして鳥居塚誠一 http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=113985

             ま、錚々たるメンバーなわけだ。門外漢の私も映画好きが嵩じて90分の授業を受け持たせ
            ていただき毎回20本近いビデオを教材にして精一杯だったけど、なんたって素人ですから
            ね。プロの集団は仰ぎ見るような存在でそばにいれるだけでウレシイ、なにかっていうと遊
            んでいただいた。期末には職員室での飲み会があって、そんときなんかもう心の中は踊り狂
            うような案配ではしゃぎまわっていた。

             黒田先生は「第三の男」、鳥居塚先生は、自身が美術を担当した「次郎物語」「しいのみ
            学園」を上映し、終わってからの飲み会で映画のことを聞きまったくもって至福の時。そん
            ときアタシャ20代半ばだったけど、映画に関わる先輩に遠慮もなく徹底的にここぞとばかり
            根掘り葉掘り。特に、鳥居塚さんは大好きで憧れの存在。いずれこうなりたいと思った方。
            ある時、お願いして成城にある元・新東宝の撮影所に撮影現場を見させてもらった。なんて
            図々しいんだ、と思わない訳ではなかったけどさ。気持ちのいい人だったし気持ちも通じ
            合ってた(と思う)から遠慮なく伺ったわけ。ひなびた食堂でお茶していたときに、ここで
            高峰秀子としゃべったとか原節子がそこを歩いていたとか、もうウラヤマシイんだから〜。
            鳥さんと呼ばれていた彼の上映会には黒メガネの後輩が作品を見に来てくれて、実によくモ
            テたんだと裏話。車の掃除を命じられた時に車内から両手いっぱいのヘアピンが出て来た
            と。銃弾を使う撮影の時に誤って爆発してしまい目が悪くなっての黒メガネだとか、てんこ
            盛りの楽しき会話だったなァ〜。

             長い東デ生活だけどあんなに楽しい時は以来なかったと断言出来る。会っているだけで楽
            しいし話しも勉強になる。生き方もカッコつけるわけでなく自然体だし、なにより個性的な
            んだ。人柄もいいし、知識や技術をひけらかすこともない、なんて見事な生き方、生活であ
            ることよ。若くして父とは離別したアタイだからどこかで父親を求めているのかもしれな
            い。それは今でも心のどこかにあるんだろうけど、その時こそは父や兄や姉に接する心安さ
            絶大な信頼感に浸れるよろこびのようなものに私の心は支配されていた。これが東デの黄金
            時代であったのではなかろうか、と思わずにはいられない。それほど魅力的な人々の集まり
            であった。デザインを学ぶための学校であることは確かだけど、ビジネススクールじゃない
            んだから単に技術や知識を教えるだけじゃ味気ないというもんじゃん。設備や機材の優秀性
            を謳うのもいいけど、講師の人間性や魅力との相乗効果が望ましいんじゃないか。今の、私
            にそれが備わっているかどうかワカンナイけど、少なくともそうありたいと願ってやまない
            のでありんすわいな。

            なにごとも黄金期はあるもんだ。残照真っただ中?・・・・・・・・・の、店主なのだ。

            メチャクチャでござりまする

            0
                暑い熱い毎日、めげかかってのここんとこ。改装は進み現場は混乱の極みでどうしたもん
              か。仕事が終わったその都度、整理整頓掃除をすればいい。そんなことわかっとる。わかっ
              てるけど、掃除が嫌いなんだ。あ〜無情。気分直しにオーディオをつないで音を出して見
              る。引き締まった低音がウレシイ、おだやかな中高音がステキ。やはりmazdaluce3000師は
              ただ者ではない。調整すればもっと良くなるだろう。オーディオは絶好調だけど、室内は散
              乱散らかり放題。掃除はしたくないけど掃除しないと足の踏み場もなく道具探しに一苦労。

               最後に残ったCD棚も出来上がった

               それに連なるプリンター棚もなんとかなった。上がスカスカだけど、ここには小さな棚が
              くっつく。でも、それは大したことはないのだ。なんたって部材が小さいっすから。

               上半身はだんだん出来上がって来たけど。下半身は床は散らかりっぱなし。しかも写真が
              ボケてるし。

               もう一方の床もご覧の通りで

               一階のショップだってどうだいってなもんで。そんな時に店の電話が鳴り、お客さんから
              の問い合わせで。来店したいとのこと。しかも19日に。こりゃ明日中にそこそこキレイにし
              なくちゃなりません。う〜む・・・・・・・・・。

               晩ご飯の用意もせにゃならん。食欲がないから調理の意欲は乏しい。昨日のご飯は悪く
              なっていないのか? いつも三合炊くけど私一人だから昼夜キチンと食べてゆかないとすぐ
              に臭ってくる。そして、今日は愛車フィットの車検のためにホンダカーズ 東京中央 池上南店
              に納車に行ったワケだ。申込手続きが終わり試乗車で遊んでいたら「自動車税の納税証明書
              が必要なんですが」と言われちまった。知ってたんだけど忘れてた。頭が追いつきません。
              ちゃんちゃんと準備しとけばいいんだろうけど・・・・頭が追いつかない。寄る年波、ボケ
              ではない。チラッと頭をよぎったんだけど、ついつい・・・・・。誰だってあるでしょ、
              そ〜いうこと。わかっているけど後回しにしてしまい結局は間に合わないとか忘れるとか。
              明日の朝に持って行かなくちゃならんのですわい。手続きをしてくれた方とHONDAのプロ
              モーション映像について話し合う。

              http://www.youtube.com/watch?v=Dxy4n0UT82o

               昨日、学校のアシスタントI川君に教えられすぐさまIフォンで観てしまった。なんて、スバ
              ラシイんだ。さすがHONDA、ファンでいてつくづく良かった。遊び心に感心し、アイデアの
              豊富さにウットリさせられる。それに比べ、私の仕事はなんてダサイんだろう。アイデアは
              いつも堂々巡りで一向に上昇しないし、テキパキ感はまったくない。なぜもっとスマートに
              進められないのか。これがアタイの限界なのか? そうじゃないと思う心はあれども、現実
              を直視すれば・・・・・・・・・・あ〜ぁ。軽くメゲマスで〜。

               イカンいかん、メゲてる場合じゃないし。早く掃除を済ませ明日の作業に備えなければな
              らない。明日は、一応仮固定した棚はほっぽいといてレコードプレーヤー用のセンター収納
              を作るんだから。これが出来なきゃ床が片付かないから。それにしても、流れている音の良
              いことはどうだ! ENYAの超低音が腹に響く。低音用のスピーカーはビクター FB-7の箱に
              パイオニア CS-616の30㎝ウーハーを取り付けたものだけど、この箱はまったくもってスゴ
              イ。弟分のFB-5とは段違いです。興味のない方にはど〜でもいいことだろうけど。ってこと
              で、今は夜の10:05分。これから地下の大掃除に取り掛かるとしようかいのゥ。見てろよ、
              明日はバチッと決めてやるからな。待ってろよ、材料たちよ。

              床も散乱、文章も散乱・・・・・・・・・申し訳ないこってす、な、店主でした。


              私信でござる

              0
                  一筆啓上、おせん泣かすな馬肥やせ。相変わりませず、意味のない思いつきで失礼しま
                す。いささかのご無沙汰みなさまお元気でお過ごしのことでしょう。ER技術部長のT野井さ
                ん、ネジの迷宮に遊ぶN井さん、酷暑の工房で精励されているSダンスさん、レストランの深
                化をねじり鉢巻で考えているO崎さん(彼はこのブログを読んでいない!)、アンプレストア
                の心血を注ぐmazadalucheさん(彼もこのブログは読まない!!)大阪でオモロさを身を
                もって体現しているN谷さん、ウィーンでデザインとおにぎりと子育てで狂熱しているCリス
                夫妻、そして新たに仲間入りをしつつあるM田嬢、この方々への私信でござりまする。

                 暑い夏はすでに真っ盛りなのでしょうか? 当方の地下の改装は、そんな暑さをもろとも
                せず(グダグダですけど)日々の成果がようやくまとまりつつあります。まだまだお見せで
                きる状態ではございませんが、先は長くいつ完成するかわかりませんので、ここらでビ
                シッ?とご覧に供したいと思った次第。未完のところはみなさまの想像力で補っていただく
                ことを願ってやみません。

                 今回の改装、ことの発端はT野井さんからドイツからの梱包材の有効利用を打診されたこと
                に始まります。知り合いの方々数人に声を掛けたもののあまりの巨大さ(ある場合には少な
                すぎる)に尻込みし、結局私が担当させていただくことになったわけでございます。当店の
                地下の改装として最適な材料であり量もぴったし。まさにうってうけ材料との出会いですぐ
                さま計画に着手いたしました。その改装工事、ざっくり半分の道程を過ぎた今、ご報告と御
                礼を兼ねてのこととご理解いただければ幸いでございます。

                 今工事の最大の難所、レコードラック(上)とアンプ棚でございます。いかがでしょう
                か?個人的にはイメージ通りで自画自賛、材料の厚さが功を奏しきわめて頑強な棚が出来上
                がりました。左右の幅は梱包ベニヤがほとんどそのままピッタリでございます。神からの賜
                り物というしかありません。仕事は偶然と必然が織りなす綾のようなものだと考えておりま
                すが、このような偶然が出現すると、この仕事は必ずウマくゆくと確信することもしばし
                ば。部屋は広くないので水平線を強調することで少しでも広く見せるように考えました。ア
                イデアとしてはよく使われる手法ですが、なにごとによらずセオリーは先輩諸氏が考えた
                エッセンスの結実ですので、安定した成果をもたらします。これが、このままであればまっ
                たく言うことはないのでありますが、世の中の通例としてそううまくはゆかないのでありま
                す。

                 大きなスピーカーの上に小さな黒スピーカーが載ることをお許しください。これにより水
                平線は遮断され広く見える効果は薄れますが、このちっちゃなスピーカーがないと中高音が
                鳴らず良い音で聴く事ができません。大きなスピーカーは低音しか出ず、これだけだとまっ
                たく音楽を聴く事ができないのです。ちなみに、上棚左からプリアンプ、真空管アンプ(中
                高音担当)、トランジスタアンプ(低音担当)、ビデオDVDデッキ。下棚左からクロスオー
                バーネットワーク(低音と中高音を分ける)、カセットデッキ、CDデッキ、チューナー(隠
                れて見えない)という構成。

                 アンプ棚の下が混乱雑然でございますが、案ずることは無用に願います。同材のベニヤで
                キャスター付き収納を作ります。収納されるものはレコードプレーヤーと細々した仕事用の
                道具たち。T野井、N井さんの期待に恥じないような金物使いまくり構造も複雑工夫てんこ盛
                りの機能が充満したモノを考え中でございます。とはいえ技術は稚拙で知識もスカスカな私
                ですから仰け反るような新機軸は打ち出しようもございませんが、多年の経験を注ぎ込むつ
                もりでございますので、ちょっぴり乞うご期待。

                 オーディオアンプの裏面です。アンプには多くの配線が必要で、通常裏側には配線がご
                ちゃまんとうねりからまりとぐろを巻いているのですが、棚の中に収納することができてご
                覧のように私の毛髪のようにきわめてすっきりとなりました。それぞれのアンプの棚板後部
                に4㎝の穴を開けてすべての配線は下の棚の中に納まっております。気持ちいいことこの上も
                なしでございます。

                 でかいスピーカーは床板を突き抜けて土台のコンクリに直置き、そして上部は棚に遮られ
                ていますから、このままでは絶対に持ち上げたり移動することはできません。だからなん
                だ! と言わないでくんなまし。ただそれだけのこと、だけで私はなんだかうれしいので
                す。なんかデカスピーカーは抜けようにも抜けられず、一見なにごともなくそこに居るけ
                ど、よくみると責められているようで、感情移入ができる歓びとでもいいましょうか。そは
                変態か? 変態けっこう、苛められてよろこぶタチと解釈なさってけっこう。

                 ビデオ、DVD、CDの棚でございます。この棚は決定で多少の修正はあれども大きく変化す
                ることはございません。壁はコンクリ、そこに棚を取り付けるわけですが直接コンクリに固
                定することはできるだけ避けて、ベニヤ壁に固定いたしました。

                 すでに取り付けられているベニヤ壁(下)の上に棚を載せ、上からビスで固定しました。
                これにより棚板の下と左はベニヤ壁に固定され、残った上と右側の数カ所をコンクリに固定
                すればいいということになります。つまりすべての部品が関わり合って全体を構成するとい
                うイメージなんです。

                 上部の固定です。T野井さんからのお裾分けの金具を使っています。白くて目立つけどCD
                やら小物が並ぶので目につくことはないでしょう。木部のビスの打ち方が間違っています。
                これだと板が前に引っ張られるとそのまま抜けてしまいます。今の取り付けの下の逆U型で固
                定し直しましょう。この白金物は頼んで分けていただいたものではありません。別の品物に
                同梱されていたものです。彼が、このようなこともあろうかと先を読んでのことなら(きっ
                とそうなんだろうけど)やはり逸材と言わねばなりません。偉いぞ! T野井。見損なわない
                でもらいたいという声が聞こえたような聞こえないような。そこはそれ、ご容赦いただきた
                い。

                 水平棚板と垂直棚板は相欠きで組まれているので、水平棚板だけを側板に固定してしまえ
                ば垂直の板はゆるむことはありません。ま、当たり前な構造だけど、一応ってことで。

                 棚下が空いていますが、ここには以前設置されていたベンチが取り付けられます。座板は
                元のままですが支える構造体は変わります。ベニヤがどのくらい余るのかにもよりますが、
                出来れば壁と同材でと考えています。

                 さて、この工事には仮想ライバルの存在が欠かせません。日頃広言していますから耳にタ
                コの方もおられるでしょう。世にオーディオ愛好家多しといえども私にとってほぼ神とも言
                えるのは五味康祐ただ一人。金額の多寡ではないし機材の希少さでもない、ひとえに音楽に
                対する敬愛尊敬の心です。作家として名を馳せてからも己の仕事と音楽とを比較して、音楽
                の素晴らしさにひれ伏し、それに比べ自分の小説のなんたる稚拙さに落涙したまことに正直
                で繊細な心の持ち主だと私は思っています。そのギャップにひるむことなく音楽そのものを
                正しく聴く装置を追求し続けました。私もそうありたいと考えているわけです、だからこそ
                今の機器を充分に鳴らせる部屋を作ろうと思ったし、これからもし続けるであろうと思って
                います。彼の音楽を愛する心にいささかでも近づくことができればそれでよい、のでアリマ
                ス。

                 で、仮に結線して出て来た音はいかなるものでしょうか? 言うまでもありません。良い
                音です。師mazdaluce3000氏によるオリジナルアンプはようやく所を得て魅力を発揮したと
                言えます。ま、これはいずれまたってことで

                草々敬具あれやこれや・・・・・・・・・・・・・の、店主でした。



                忙しさの大中小

                0
                    誰の人生だって忙しい時期はあるだろう。今じゃボンヤリな店主だってそこそこの忙しさ
                  は経験してる。およそ10年勤めていた東京デザイナー学院、このままじゃイカン世間を知ら
                  ねばと何となく誘われるままに31才で転職したのがサンテントなる会社。太陽テントという
                  大企業の向こうを張って「サン」と名付けた(だと思う)会社の社長は私より一つ年上で休
                  むのは正月の三日間だけという強者。ここでの二年間は私の人生に多くの教訓を与えてくれ
                  た。24時間働くことになんの抵抗もないスタッフ、まるで時間が溶けて境界線がなくなるよ
                  うな毎日。夜中何時に終業しようと朝の9:00にはピタリと事務所でその日の打ち合わせが始
                  まる。図面書き、取り付け工事、打ち合わせが数珠つなぎでいくつかの仕事が並行してい
                  る。しかも、それらの仕事が理解できていないという私の能力不足も重なってほとんどの仕
                  事は失敗続きで、以来電話が嫌いになってしまった。なぜかというと、私にかかってくる電
                  話のほとんどはクレームだったから。そのプレッシャーに耐えられなかったのだ。

                   短い期間だったけど、この経験はデカイ。どんなに忙しくたってこの時期のことに比べた
                  らどうってことはない。せいぜいが中や小みたいなもんだ。人に話す「ヒマです」という要
                  因はこのことも一つということ。当時毎日午前様で帰宅する私、カミさんは子供も小ちゃ
                  かったから専業主婦でそれなりに忙しかったとは思うけど、まぁ一般のフツウな忙しさだっ
                  たんじゃないか。でも、今、立場が逆転してカミさんは毎日午前様で私はボンヤリだってい
                  うんだから世の中面白いもんだ。昼夜のご飯は私が作り、苦手な掃除や洗濯物もなんとか対
                  応し、今日はお盆の飾り付けを指示されてしまった。不慣れな家事だから年中行事には疎
                  い、そこまで頭が回らない。

                   カミさんが結婚前の二十歳頃、その筋では有名な美学校に入り木彫専攻で命じられたモ
                  チーフ(動物の頭の骨)持参のために屠畜場に行って云々のことは以前記事にした。
                  http://blog.factio-tokyo.com/manage/?mode=write&eid=159

                   私のぶっとい二本の結婚線の上(高年齢方向)の原因となった恋愛事件の際でも、彼女の
                  潜在能力は遺憾なく発揮されたんだ。道ならぬ恋すでに真っただ中、それが発覚して家中が
                  ただならぬ空気に包まれていた時に、彼女は果敢にも私の相手の女性の仕事場まで出向き昼
                  時に相対で話す。目的はただ一つ、相手が「好きです」といえば引き下がることを心に秘め
                  ての確認行動。けど、相手の女性は「お任せしています」(私に任せているということ)と
                  しか言わず「好きです」とは言わない(なぜ言わなかったのかいまだ真相は不明)から、カ
                  ミさんはそんな相手に渡すコタァ出来ないと決然と反旗?をひるがえす。まさに運命の分か
                  れ道、一方の女性の一言で私の人生が塀の上から転げ落ちる。そんなこととはつゆ知らず、
                  アタシャ呑気に浮かれていたわけだ。結局、最後の最後カミさんの一言「浮気をしたあな
                  た、それを含めたあなたでもイイ」なぜなら「私を最も理解してくれているのがあなただか
                  ら」という最終発言で二年間の恋愛事件は静かにしかも急速に幕を降ろしたのだ。

                   果たして私がそういう事態に陥ったときに同じような行動を取れるだろうか? 取れたと
                  してなんらかのキーワードを決めて事に臨めるだろうか? 答えは否。そんなことぁ出来や
                  しない。ぜったいに出来やしないという心が私を小さくする。偉そうなことを言ってるけど
                  そんなこともできないじゃんという事実が心の片隅で目を光らせている。

                   私は軟弱だから二人の女性が好きになった時に決断行動することは出来ない。口では別れ
                  ようというけど、それじゃいつ具体的に行動するのかとなると尻込みし一向に進展はしな
                  い。その経験から、私は言葉をあまり信用しないんだ。言葉は時に重いけど時に軽い。口で
                  はなんとでも言える。行動は寡黙だけどその人の心の真実が映し出されている。どんな行動
                  をするかを見極めることができれば真の心が理解されるという考えを私は支持する。だか
                  ら、とどのつまり、そんときの私はいつまでたってもグズグズな現状を打破することができ
                  ず、結局カミさんの決断にKOされて子供みたいに手を引かれる。果たしてこれは私だけのこ
                  となのか、あるいは世の中の男性諸氏に共通するものなのか、今もって判然としないけど。
                  こんなしょうもないことを身をもって経験したけど、しばらくするとムクムクと恋に恋する
                  気持ちが湧いて来るっていうんだから、いやはやどうにも困ったもんだ。

                   普段はフツ〜の女性、弱気で控えめな性格のカミさんだけどコトが起きれば豹変し俄然強
                  気に行動する気質を内在しているから、なにか狂気じみたところがあるに違いない。誘われ
                  て介護施設の代表になっちまって、そもそも中心になって人の上に立つ仕事に向いていない
                  などと不満や愚痴を吐きつつも朝は早よから夜は遅くまで(夜中の一時か二時ころのご帰
                  館)ひたすら働き続ける現状は私にとってなんの不思議でもない。秘めている狂気がひょい
                  と顔を出しただけのことと考えるわけなのですわ。翻って、私の心を覗き込んでもこんな狂
                  気はない。どこを探しても引き出しの中にもない。情けないけど、事実。大したこたぁない
                  なんだかんだ言ったってこんなもんだからさ、謙虚にならざるを得ないってもんなのです。

                   カミさんの心に狂気が住み着いているんなら、多くの女性の心にもあることなんじゃない
                  か。そう思ってしまう。敬愛する登山家・山野井妙子さんもおつきあいいただいているサン
                  ダンスのS野さんもきっと在るんだろう。先日、車を入れ替えに工場を訪れた時に3m×1m
                  ×厚さ4㎝程度のでっかな木製パネルを機械で縦切断するために一人で抱えている光景を目に
                  した。夜の8時過ぎ、ど暑い工場で、小柄な女性が一人モーレツに働いている。凄いなコレ
                  は。狂気がないとこんなことやれんだろう。ウ〜ム。将来のことなんか関係ない、今、この
                  時このパネルを切断しなきゃ前に進めない。それに全身全霊を傾ける姿は山野井妙子さん私
                  のカミさんにも共通する「何か」を感じてしまう。場所は違うし、内容も違うけどやってる
                  ことは狂気が漂う。それはとってもステキなことだし心底憧れてしまいます。

                   消極的で好奇心の薄い(ように見える)学生たち。軽く誘った私の個人サークルに手を挙
                  げ、グイグイと近しい付き合いを重ねるM美学生。色気は乏しいけど(それを私は嫌いじゃな
                  い、それも魅力だとも言える)人なつっこさは抜群。こういう学生を目にするといまどきの
                  若者は・・・・なんて軽々しく言えないもんだ。先日の記事の看板作りにも最初っから関
                  わっている。当店の地下の改装にももう三度も訪れている。これらの仕事?が彼女の今後に
                  どう生きるかなんか思っていないんだろう。今、興味があること好奇心の赴くままに行動
                  し、その連続で生きて行く。私という扉をノックし中に入れば次の扉があって、それをノッ
                  クすればさらにまた扉。まさに、扉を叩けさらば開かれんという故事は生きている。きっと
                  彼女は、今までも今でも今後も身の回りに起きるすべてのことに対して同じような対応をし
                  てきたんだろうしするんだろう。それはデザイナーにとって必須な資質であることを私は確
                  信しているのさ。

                   そんなM嬢にもなにか心の狂気が潜んでいるに違いない。その狂気が薄められて日常の行動
                  に現れているに違いない。そんな彼女を周囲の友人はどう感じているのだろうか? 私には
                  不思議でならないんだ。なかなかの人物だと思わないのか? 思ったとしても遠巻きに眺め
                  ているだけなのか? なんかほめ殺しのようできっと彼女はこれを読んで?だと思うかもし
                  れない。けどね、そんな彼女のほんのちょっとした行動が発端でバランチェッタの外壁工事
                  でウィーンのデザイナー・クリスとの画像のやりとりデザイン作業の現場に立ち会うことが
                  出来ているわけだし、ハーフェレ社の学生コンペの応募が進行中なわけで、他の学生はこう
                  いうことに興味がないことが大きな疑問なわけですよ。与えられた授業で満足し、バイトに
                  精を出し、多少の恋愛もし、たまにはお酒を飲む、それだけで短い二年間を過ごしデザイ
                  ナーになれると思ってるのが不思議でしかたがない。

                   そんな希有な存在のM嬢と打ち合わせのために昨夜バランチェッタに行った。クリスから送
                  られてきた写真を店の外観に合成したものをO崎店主に見て頂き、合わせて外壁の採寸もし
                  た。それらが終わり冷えたビールをグイ、美味しい料理をパクパク。いろいろ話してたらO崎
                  店主は「きっといい女になるだろう」と彼女のスベスベお腹に太鼓判をベタリ。ウ〜ム、な
                  るほど、そういうことかい。人を見る目は私より数段高い彼の太鼓判ならば、今の彼女の行
                  動は正しいことは確か。だから安心して邁進するがよろしかろう。なんちって。そんな彼女
                  が送ってくれた私の格闘シーンを載せてしまおう。私が、音楽に対する姿勢についちゃ神の
                  ように崇め奉っている五味康祐に少しでも近づきたいという思いに駆り立てられての姿。


                  忙しさ中くらいなり猛暑な夏・・・・・・・・な、店主でした。


                  看板の作り方

                  0
                      暑い、ひたすら熱い。夏が好きだとはいえこのうだる熱さに早くもへこたれているいる店
                    主。もう、どこにも出掛けたくないし動きたくない。2年前に一階の店内に移設したエアコ
                    ンは快調に作動し、地下はいたって快適だ。けど、階段を上がると頭から胸からと暖気に包
                    まれて、時々頭頂が溶けかかっている。ウーム、どーりで帽子がぶかぶかになってるワケ
                    だ。だから地下の改装も一休みが断続的に続き一向に進みませぬ。

                     そんなある日、懇意にしていただいている中目黒のレストランから電話が。相変わらず息
                    せき切った様子の話しっぷり。なんだか切迫した感じはいつものことだけど、その慌てっぷ
                    りが大層面白くってアタシャ大好き。で、聞いているとどうも外壁をなんとかしたい、気分
                    一新したいということのようで。きわめて少ない友人の一人だからなにを差し置いても駆け
                    つけなければならない。10年前に頼まれて看板屋の真似事、ちっちゃな看板を作ったけど、
                    現在はご覧の通りの有様。
                     一時期は風情がある、なんて悠長に構えていたけど、これじゃあ残骸です。店名はまだし
                    も右下の板は原型をとどめていない。これじゃぁ、恐がって入って来ないお客さんもいるだ
                    ろう。ってことで10年経ったしここらで一層の飛躍の意味もあって改装の相談と相成ったわ
                    けだす。

                     これが外壁。少なくないお客さんから、この外壁じゃあいかになんでも淋しい、もっと派
                    手派手しく目立つようにと言われ、店主O崎さんもそれじゃぁってことで考えたのでしょう。

                     相談された私は、こりゃウィーンのクリスに相談したら面白かろうとすぐにメールを送っ
                    たのだ。彼は今、奥さんのおにぎり屋さんの開店準備や子供が生まれた直後だから多忙を極
                    めていることは承知してるけど、きっと彼ならこのプロジェクトに興味を持つだろう。彼と
                    私が協力してデザインし製作すればなかなかのモノが出現することは想像に難くない。なに
                    ごとによらず一人で考えるよりは二人で考えた方が数倍良いものが出来るから。相乗効果を
                    侮ってはいけない。

                     数日を経ずしてクリスからアイデアスケッチが届いた。なんと、早いことだ。
                     5案の中のこのアイデアが目に止まった。デカイ文字で壁面を埋め尽くそうってことかい。
                    いいじゃないっすか、目立つし、カラフルだし。フォントを選べば店の雰囲気やイメージが
                    表現出来るし。早速、このスケッチを持ってバランチェッタに直行、同行するは教えている
                    専門学校の一年生のM田美嬢。カバン持ちかアシスタントか、どっちにしたって疑似だから
                    「ごっこ」であるんだけどさ。

                     ランチ終了時に合わせて訪れていろいろあれこれ話す。彼もこの案がよろしかろうという
                    ことになって、そのうちこのスケッチに触発されて「パッチワーク」のようなデザインにし
                    たいんだと言い出して、見せてくれたのがこの写真。元々、パッチワークのアイデアは持っ
                    ていたんだけどこのスケッチを見て思い出したという感じなんだろう。

                     ぎょえ〜! パッチワークかい!! しかもこの写真かい!!! 日頃かなりトンデモナ
                    イことを考え、非常識大好きな私でも、一瞬頭の中で血液がグルグル回りシナプスがショー
                    トし、少ない毛髪が逆立ってしまったわい。こんな感じの外壁にするんですかい。そりゃ布
                    は縫えるからこんな感じになるけど、外壁は木だのプラスチックだのの板だから縫えない
                    じゃん? しかも、こんな微妙な素材はどこを探せばいいのかいな?? 

                     ちなみにこの短パンはルイ・ヴィトン。O崎さんは料理の世界の住人だけどファッションに
                    も精通しているから始末が悪い。確固たるイメージはあるけど、改装工事についちゃなんに
                    も知らない。チョコチョコっとテキト〜にやってほしいなんて言うけど、イメージを具体化
                    するこっちの身にもなっていただきたい。と、ついつい、ね。

                     う〜む、手強いぞ、これは。しかも、O崎さんは、キレイにしちゃいかん、整理されてちゃ
                    あイカン、ゴチャゴチャにしてくれ、そこらへんに落ちてる古い看板(他の店の)をくっつ
                    けたい、でもよくある昭和レトロじゃ困る、汚いけどキラリと光るセンス(分かる人にはわ
                    かるモノ)が必要。とかなんとか吠えているんだ。長い付き合いだし、お互いの心は理解し
                    合っているから、あなたの考えはよ〜くわかる、世界一理解出来る自信はある。自信はある
                    けど、材料選びや作り方や加工方法やらが皆目見当がつかない。要するにどう進めていいの
                    かワカンナイの。まったく、予想をはるかに越えるイメージの拡散といおうか、掴みどころ
                    がないわけです。

                     いつものgetty imageもまったく役に立たない(今のところ)。あ〜、ど〜したらよかんべ
                    さ。まずは、このことをクリスにメールして相談することから始めようか。同時に、なにか
                    使えそうな素材や加工方法取り付け方法も探してみようか? まったく手に余る難題だけど
                    まことに面白そうな仕事だからうれしく楽しい複雑な気持ち。はてさて、これは一体どうな
                    るのかしら・・・・・・・・・・。

                    いささか途方に暮れつつ・・・・・・・・・・・・・・の、店主でした。

                    HAYLEYに土下座

                    0
                        図書館で借りたヘイリー(HAYLEY)。素晴らしい声に誘われてAmazonで数枚入手。
                      で、土下座しちまったわけだ。HAYLEY sings JAPANESE SONGSの一曲目アメージンググ
                      レイスは本田美奈子とのデュエットだけど、あまりにもすばらしくてすんでのところで泣き
                      そうになった。いやですよ、まったく、こんなひねくれた老人を泣かせるなんて。まさに美
                      声の王道直球ど真ん中は私の音楽世界では他を寄せ付けない。これぐらいでないと才能なん
                      て言ってほしくない。近頃、なにかっていうと奇跡とか空前とか天才とかこれ以上ないどん
                      詰まり行き止まりな賛辞の言葉が乱れ飛んでいるけど、天才なんていうのはモーツァルトか
                      フレディぐらいでないと使ってはならないのだ! それを、そこらへんのお手軽でナン
                      チャッテな才能に対して使うなんて。いやはや困っております。といったって、こちとらは
                      沈む太陽の身だから世の本流ではないから、声も小さくなりがちだし行動も控えめになりが
                      ち。世代交代の波にはあらがえませんて。

                       調子に乗ってライブのDVDも買ってしまった。
                       ニュージーランドで行われたライブ。最初に登場したのはニュージーランドの原住民の
                      方々。いずれも身体強健で歌声もドスがある。この方々はフィナーレにも登場するんだけど
                      こうして古い方々をゲストとして呼ぶということは先輩として尊敬している敬愛しているコ
                      トの証だから好感度の株価は青天井に上昇する。ストリングスとの共演、ゲストとのデュ
                      エットも良いけれどなんといってもチェロとの合奏が素晴らしいんだ。まったく。双方それ
                      ぞれ流れるようにメロディを奏でるんだけど、時に交わり時に離れたゆたう大河の趣きとで
                      も言おうか。多分、音程なんが絶対に外さないんだろう。そんなこと当たり前か。しかし、
                      どうやって練習するんだろう? なんてクダラナイことを思いつつ、心の中では土下座平伏
                      これっぽっちの文句もつけられない。

                       美声の歴史はオペラではあれこれ取り沙汰されているようだけどポップスの世界ではどう
                      なんだろう。浅薄なアタイの知識であれこれ言うのは憚られるけどさ。ジョン・レノンが土
                      下座したカーペンターズのカレンは筆頭格であることは当たらずとも遠からずじゃないで
                      しょうか。プラターズに始まった私の音楽史、きれいなハーモニーには眼がなくてフォー・
                      フレッシュメン、マンハッタン・トランスファー、スリー・グレイセス(他にもいっぱいい
                      たけど忘れてる)と和洋東西を経巡ってきた。一方で個性的な歌声にも惹かれてはいるけど
                      (それも充分に魅力的だ)美声はなんか屹立しているっていうか希少価値というか神が作り
                      給うた逸品という感じがして一目も二目も置いてしまう。

                       ライブの時の年令は17才とある。いったい何才から歌い始めたの? 映し出される客席は
                      みんな普段着で子供もいれば大人や老人もいる。まるで町内の演芸会のようなの。なにも特
                      別なことではなく、いつものことさ。だってヘイリーちゃんは子供の時から知ってるんだか
                      ら、みたいな雰囲気が充満してる。ニュージーランドなんてどこにあるのかも知らないし、
                      どんな民族なのかとかなんてこともまったく知らない。せいぜいがラグビーが強いってこと
                      ぐらいだもんね。でも、こういう会場の雰囲気を知ると興味がモクモクを湧いてくる。どん
                      な音楽があったんだろう、あるんだろう。どっから移住してしてきたんだろう。とかね。

                       で、けっこうな時間聴き続けているんだけど、早くも飽きの気分が忍び寄ってくる。ウ〜
                      ム、まことに勝手なもんだ。美声は飽きるのが早いのか? 美女に興味はなく個性的な顔立
                      ちにいたく惹かれるタチですから。美女=美声で興味が持続しないのか。どの曲もアレンジ
                      が今イチ(勝手な物言いで申し訳なし)だから、単調に感じ飽きてしまうのか。そうかもし
                      れない。そうなんだろう、と勝手に解釈。美声や美女はその美しさが命だし天賦の才と言え
                      なくもないけど、だからこそそれに頼ってしまうのか? その点、個性的と称される美声美
                      女ではない多くの方々は工夫をこらし磨きをかけて魅力を高めようとするんじゃないか。
                      よ〜ワカランけど。そんな気がする、今日この頃、ナンチッテ。

                       私の中で最上位である存在は、飽きないこと面白いこと(しかもそれが持続し続けなけれ
                      ばならんのだ)であることは間違いないこと。だから、早暁ヘイリーも一時の興奮が過ぎ
                      去ってしまえばただのBGMになってしまうのかもしれない。美声で飽きない、美女でオモロ
                      イ人はいないもんか。天は二物?を与えない、という豪速球を打ち返してホームランする存
                      在は出現しないのか。しないんだろうな〜、だって見たことないもん。

                      で、今日はアンプ棚を作るのだ・・・・・・・・・・・・・の、店主でした。



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