美脚に身悶え

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     素足生脚の類いにゃ無縁となって久しい。しげしげと観る機会はないし触ることなど
    あり得ない、トンデモナイことなんだわさ。そんなアタイが美脚といっても看板倒れで
    ありましょう。ひょんなことから茶箱の脚を頼まれるようになって、ここ最近、脚量が
    増えてきて、まだまだ慣れていないもんだから寄り倒される勢いなんだ。


     前にも紹介したけど、これが茶箱。布を張ったりタッセルを付けたりウレタンや
    なにやらで仕上げたもの。この脚がね、私に押し寄せ身悶えさせる。あれこれの経緯
    の記事はこれ。昨日は、24個も発送したばかり。同じものを作るのはことのほか
    苦手な店主だから、途中で飽きることを防ぐ手立ては必須、なかなか苦労するんですわ。

     でね、大いなる気分転換とばかり新宿ゴールデン街へ出掛けたの。以前はよく行った
    。でも十数年ぶりだからさ、なんか申し訳ないような気分、ひょっとして覚えてない
    んじゃないか、ひょっとして代替わりしてるんじゃないか、店そのものがなくなってる
    かもしんないし。ネットで調べてから行ったわけなの。扉を開けたら覚えててくれて、
    会話は一気に弾む。店内は以前とまったく変わらず、壁に掛かっている「真夜中の
    カーボーイ」の写真もそのままだ。昔話に始まり、くだらない話で気が付いたら11時。
    う〜む、早いのう。気の置けない会話がなんともスバラシイ。どこまでホントのこと
    なのかわかんないけど、そんなことはどーでもいい。素早い話題のやりとりこそが
    酒の肴になるってもんだ。でもなぁ、何事もすべて良しということにはゆかないのが
    世の常。後味がよろしくない。己の眼力のなさにめげる。毎度相変わらずのこと
    なんだけど、成長していないもんなァ、オレ。といっても、言っときますけど、
    澤のマスターとのことじゃないっすよ、これは。詳しくは言えないけど、そうじゃない。
    ま、すべてはオレが悪いんだからいたしかたなきこと。

     いい気分で帰って、またもや美脚の渦に巻き揉まれる。

     これはいたってカンタン、鼻歌まじりでちょちょいのチョイ

     いよいよ本丸、これがなかなか手強い。ここまではたやすいけど・・・・・・・

     早い話、結果はこうなんだ。中央の丸に溝を入れれば

     完成! だけどね、ちんこいからほんのちょっと刃先がずれると


     死屍累々、無残な結果が引き起こされる。失敗は一瞬だ、あっと言う間にこうなる。
    こんな失敗何回もやってますからね、落ち込みはしない。しないけど、ちょっぴり
    めげる。ああ、最初っからやらんくちゃならない。二度手間は気力が萎えるんだ。
    数はちょうどしか作ってないから失敗すると原木から加工しなきゃならないんだわ。

     こういう時はすぐさませねばならない。間を置くとますますやる気が失せるから。
    すぐさま、加工開始し始めて準備段階終了。ここで一服、入手していたウディ・
    アレンのDVDを観る。ふとした(何ごともそうだけど)気持ちで一気大量に買うて
    観続けているんだ。相変わらず軽妙な語り口にうっとり、こんなセリフをアタイも
    言ってみたい。幅広い知識や教養から繰り出される圧倒的な単語の量、うらやまスイ。
    男女の機微、会話のオモロさ、テンポもいいぞい。こりゃしばらくは病み付きに
    なりそうだわい。不快な後味なんかティッシュで丸めてポイ捨てするに限る。貴重な
    人生、そんなことにかかわってる時間はないからね。

    会得したいな、シャレたおしゃべりテク・・・・・・・・・・・な、店主でした。

    どうも川崎らしい

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       転職のため学校を辞め、その後2年間だけ期間限定で再び専任として勤めたことがある。
      当時の学校長が、学校活性化のために外部スタッフを導入しようと考えたのだろう。
      それがおよそ20年前。いわゆる社員としての専任の給与は低いけど、臨時は高給でさ、
      あまり考えもなくふらふらと誘いに乗ったアタイ。その時に、就職指導みたいな仕事も
      あって、週に数回相談に乗ってた。当時はまだネットがぜんぜん普及していなかったから
      就職は求人票だけ、会社から募集の要項が書き込まれた紙片に頼るほかはない。

       あるとき、目にした求人票に「我が社は、企業年金に加入はしてないけど同等の金額を
      支給します」
      という一文が。年金に入るなら個人でどうぞ、会社は年金システムを信用
      していないからね、ということなんだろう。私は、そう理解した。で、この会社、募集する
      のは女性のみ、社長も女性だ。これらにいたく興味を抱いて、これはと目星をつけた
      女生徒を送り込んだんだけど、すべてダメ。おかしいな? と思って訪ねてみたの。
      落ちた理由を知りたくてさ。美形の社長と差し向かいでお話、御校の学生はすべて話を
      するときに声は小さいし目線も落ちる、それが×の唯一最大のコトだ!と明確に言われて
      しまったのだ。
       
       事前に課題が出されて、それが当時、東急文化会館(現・渋谷ヒカリエ)の改装計画で
      そのアイデアを面接の時に発表する、その声や目線がダメだというわけだ。肝心のアイデア
      はどうなのか?と聞けば、学生のアイデアなんか使いモノになるわけない。だって予算も
      コストも含まれてのことじゃないから! とこれまた明晰に断言なさる。う〜む、その
      通りじゃのう。課題は学生の基本的な資質を確認するためだけのもの、中味はなんも期待
      しとらん、ということにいたく納得。以後、私はこれを肝に命じて、ことあるごとに
      呪文のように学生に伝え続けた。

       あれから20年、忘れたことはない。最近、ふとしたことでこの社長のブログを検索、
      あったのよ、これが。商業施設のプロデュースが本業、男社会の建築業界の中で確固たる
      位置を占め続けるには相応の実力もあるに違いない。商業施設そのものを作るのは
      建築会社だけど、中に入る飲食物販の店はどこがいいのか、はわからない。数多ある
      会社の中から建物にふさわしく立地や客層にも目配りして、選び、決定するプロセスは
      なまなかのことではないだろう。父が建設会社に勤めていたから建築業界の内情も
      知ってるし、そのことから彼女の努力や実力もよくわかる。早速、ブログを読んでみたら
      川崎の記事が出てるんだ。ワタシの家は東京のはずれ、多摩川を渡れば川崎はすぐそこだ。
      公害の町、風俗でも名を馳せていたけど、今じゃすっかり様変わりらしく、目を見張って
      しまった。この記事だ。やっぱりね、勉強してるし、理路整然とした説明にうっとり、
      データもしっかりで、これは出来る女だと。

       きっとこの仕事が好きで好きでたまらないんじゃないか。言葉のはしばしにそんな
      心がみてとれる。差し向けた女生徒が見事全員跳ね返されたけど、めげずに最後の
      刺客とばかりに一名の学生を送り込んだの。こうみえてけっこうしつこいんだわさ。
      上記の声と目線はバッチリ、極めて積極的で愛嬌もあって明るく元気な一押しの生徒。
      案の定合格したわけ。しかし、世の中ままならないもんで、この学生はプレゼンならば
      万全文句なしなんだけど、そこに至るまでの地道な準備作業がどうにも苦手で、資料を
      集めたり整理したりまとめたりということに一向に気が向かないんだ。紹介した私を
      気遣ってガンバッテはみたものの、数ヶ月で辞めてしまう。地道な作業もこなし、
      ロジカルな考え方も出来て、人前で発表する術も身に付いている、そんな学生はなかなか
      いないっす。それは昔も今も状況は変わっちゃいない。なにかが秀でてればなにかが
      劣っている、そういうもんだ。むろん、私自身もそうだけど。

       学校に関わって長いけど、この出来事は私のココロにクッキリと残ってる。まったく
      希有で素晴らしい体験だった。とはいえ、この方は私のことなんか覚えているはずもなく、
      たとえ覚えていたとしても快い人物ではないに違いない。不快な人物としてのそのワケ?
      それは紹介し雇用された女生徒に関するコト。社長とのやりとりは私と学校との長きに
      わたる歴史の中で特筆すべきことではあったけど、女生徒とのいろいろは私の人生に
      とって特筆すべきことなんだから、意味も重さもまるで違う。いまの私は二人の女性に
      よって育てられたといっても過言ではない。一人目は今のカミサン、二人目がこの学生
      (正確には卒業生)だ。この二人が居なければ今の私はない。仰ぎ見る存在として地位は
      死ぬまで揺るぐことはないだろう。

      やはり私の目に狂いはなかった・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

       

      大人遊べず

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         横浜美術館で開催されている「魅惑のニッポン 木版画」を観に行く。連日のお出かけ。
        三越劇場の劇中で登場した国芳に出会う。ほおずきを人間に模して踊っている。なんか
        とっても親しみが持てて不思議な感じ。だって、劇のキャラクターとまるで同じなんだ
        からさ。下積みが長く悶々としてたころ、世間をアッと言わせてやるぜ、と吠えてた彼、
        意表を突いた奇妙なアイデアが目の前にある。ほおずきが人になって踊ってるみたいな
        図柄。劇中の国芳とダブってタイムワープしたみたい。よお、オモロいじゃん、ってね。
        声を掛けたくなるってもんだ。展示されていない有名な浮世絵

         45才の時に天保の改革が実施され、贅沢が禁止された。これを強烈に皮肉った画だ。
        権力者にわからないようにアレンジされてはいるものの、めっかれば大変なことになる。
        危険な画だ。そんなことをもろともしない(してたかもしれないけど)描いたんだから
        度胸が据わっているんだろう。と、そんなこんなの版画を観て、足は中華街に向かう。
        もう夕方だ、お酒をのみご飯を食らおうではないか。

         で、地図で方向を確認して歩き始める。ほどなく、外車ショールーム発見。右には
        フェラーリ、左にロールスロイス、同じ建物に鎮座まします。まずは、フェラーリ三台を。
        一台三千万円が三台。う〜む、金額に押されてしまい、はや土俵際だ。なんもできない。
        ちょこざいなスタッフはなんてことないけど、三台で一億円という金額に金縛り。せいぜい
        後部座席がどうなってるかみたいなことしか聞けず、ロールスに向かう。こっちは広大な
        部屋に一台しかない。奥にしかめっつらのスタッフがパソコンに向かってる。車のまわりを
        グルグル回る事しか出来ず、なんだか動物園の動物みたい。情けないけどなにも言えない
        ままに出てきてしまった。口惜しいのう、大人遊びができないのう。せめて運転席に
        座りたかったなあ。なぜ言えなんだ、その一言。建物を後にしてだんだん腹が立って来る。
        ああ、三千万がアタイの限界かい。大人遊べず、なんだかんだ言ってもこの程度かい。

         なかなか辿り着けない雰囲気、タクシーを飛ばす。目的地はココ

         ロープウェイなるバーだ。以前、中華街に行ったときは中華料理を食べたから二度目も
        同じじゃ興がない。で、老舗のバーというわけ。ざっと15メートルはあろうかという
        カウンター、前の棚にはズラリと酒が並ぶ。はて、なにを頼めばよかろうかいな。バー
        初体験だから皆目見当がつかない。でも、向こうからみれば年齢からいってこんなとこ
        には飽きるほど来てるんだろ、という感じなんじゃないか。老齢の是非、毎度のことだ。
        数杯飲んだ後、J・T・S ブラウンをロックで頼む。ご存知、映画「ハスラー」でポール・
        ニューマンが、ノーアイス、ノーグラスと注文しラッパ飲みした銘柄。以前から試して
        みたかったのがようやく叶ってウレシイ。ステーキも頼み腹一杯、タクシーで駅まで
        戻り、ご帰館と相成る次第。ま、この程度ならば大手を振って大人遊びはできる。
        見てろよ、フェラーリ&ロールス、そのうち敵討ちに参上してやるからな。図書館カード
        をちらつかせて、買ってもいい素振りを見せつけてやっからな。ハンドルに指紋をつけ、
        座席に尻の冷や汗を滲ませてやっからな。そんなこと思いつつ帰ったわけだ。

         で、昨日。美容院の看板が無事納まった。

         えらく気に入っていただいて、こちとら鼻が高い。天狗のようだとも言える。目黒区
        の碑文谷、巨大なダイエーの脇を入って左折するとこれが見えることだろうて。名前は
        Re/sort。看板の代金は、カット+染髪だけ。なんたって一人で始めて孤軍奮闘してる
        真っ最中だから、現物交換で経費を浮かせてあげようという優しい気持ち。なんて
        優しいんだ、オレ。で、染め色はてぇと、シルバーにしたかったんだよね。昔、プロレス
        で銀髪魔フレッド・ブラッシーってのがいてさ、すぐ額に噛みついて出血な悪役レスラー。
        たしか歯をヤスリで研いでた。これが印象に残っててさ。でも、シルバーは大変みたいな
        ことで金髪となるかも。金髪だと上田馬之助かあ、なんかそれもなぁ。なに?馬之助って
        誰かって? そんなもん自分で調べろ、面倒掛けるんじゃない! いや、怒ってるわけ
        じゃない、そんなこと言ってみたかっただけっすから。


         当ブログのアクセスカウンターに5が四つも並んだ。だから何だというんだ? 
        ただそれだけのこと、格別感慨もなし。ただ、なんとなくね、載せたかったの。
        生涯一回こっきりのことだかんね。

        そして、明日はカクウチ勝負・・・・・・・・・・・な、店主でした。

         

        淡くて遠い交流

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           以前、カミサンの故郷近くにある喫茶店のことを書いたことがある。名前はもっく
          めだかと大書された看板に惹かれて車をUターンさせたのが始まり。めだかを譲って
          いただき飼いはじめた。その後、もっく店主のブログを時々覗いちゃあ、フムフムと
          楽しませていただいたんだ。ところが、ある時からふっつりとブログ更新がなくなり、
          一体どうしたんだ? と。ひょっとしてなんか不幸があったんじゃないかしら? と、
          妄想はあらぬ方向に向かう。そうこうしてずいぶん時が経って、ブログが刷新されて
          いることを知り、お元気なことを知り、ふたたびほんのりとした記事を読ませて頂いて
          いるんだ。

           カミサンの実家は京都府京丹後市峰山からバスで30分ほどの溝谷。数年前に義父が
          亡くなり義母も長期入院、実家は義弟が継いでいる。結婚以来、毎夏お邪魔して川や
          海や山でさんざんお世話になったものの、義両親がいない実家に足は遠のく。特に
          大好きだった義父、亡くなってからその存在の大きかったことに内心驚いていている。
          とはいえ、亡くなる数年前あたりは回数は少ないとはいえ濃密な時を過ごしたから
          後悔はない。会ってるその時々、いつ別れることになっても悔いはないように心がけ
          てたからね。義父は80を越えてたし、こっちだって還暦だ。いつ突然の別れが訪れても
          不思議じゃない。いつか恩返しをしよう、そんな考えは若い人の専売特許だし好きじゃ
          ない。アタイはそんなことたぁ考えませんぜ。いま、こうして、会っている、話している、
          その瞬間瞬間に恩返しをしてることを強く意識する。

           恩じゃなくても、好きだとか好ましいとか心許せるとか一緒に居たいとか、とにかく
          憎からず思っている人とのひとときは、会ってる瞬間を超充実させたいもんだ。じゃ、
          またね、と別れて、直後になんらかの理由で死んじゃうかもしれない。そんなことは
          思いたくはないけど、もし、そうなったとしても後悔しないようにしたい。ああ、
          もっと親しくしときゃ良かったとか、言いたい事いえなかったとか、やりたいことを
          やれなかったなんてことはイヤなんだ。ホントにイヤなの。つくづくね。
           いつかとか、機会があったら、そのうち、いずれまた、近いうちに、これらの言葉の
          なんと空しいことよ。いつかはいつなんだ! 近いうちにの近いってのはいつ? 
          悪く考え過ぎ?? でもね、そんな気がなくたって口にするでしょ、こういう言葉をさ。
          そういう人いっぱいいるよ。それが人付き合いってもんだ、って知ってるけど、度々
          だと嫌気がさしてしまう。そんなことを言わなくたって、会いたいときに会うってことで
          いいじゃないっすか。じゃあね、でいいじゃないっすか。

           帰郷できなくなったワタシ、でも懐かしい記憶は山ほどある。そこで、もっくのブログ
          を読むわけ。ああ、もうこんな季節なんだな、とか、今日は鳥が遊びにきてるんだとか。
          都会にいたんじゃ味わえない自然の風物の移り変わりを感ぜられることがなによりの
          味わい。さらに、仕事場は地下だから、お日様の存在にも疎くなる。そんなアタイには
          さりげないブログがなによりの息抜きになり、丹後の風景に思いを馳せる貴重なコト
          でありモノなんだ。その新装なったブログはこちら。でね、最近、ここで友人のブログが
          紹介されて、読んだワケ。それが、これ。内科医だ、なかなかかなりイイんだ。これが。
          忙しいから書く回数は限られてる、でもね、イイんですよ。もっくさんとは一回だけ
          お会いしたことがあるけど、木村先生とは会ったことはない。会ってみたいなあ。酒飲んで
          グダグダしたいなあ。アタイと違ってキッチリ仕事してるんだろうなぁ。なんて、いろいろ
          つらつら考えてるわけなんだ。

           こんな淡くて遠い心の交流、アタイだってあるんですよ。なにもエロだけで生きてる
          わけじゃない。大人遊びもするけど、惹かれる方とのささやかな交流にだって心は弾む。
          都会は刺激が多いし大きいから、気が付かないうちに慣れっこになっちまう。再々の
          下ネタで恐縮だけど、若いときに自宅でガサゴソしてると、なんかいつもSEXのこと
          考えちゃうんだけど、一夏帰省してるときにゃ、そんな欲望が失せてることに気が付いた
          ときがあって。学校勤務だったからほぼ一ヶ月の帰省中に一度もSEXしなくたって
          へいっちゃらなんだ。あれは不思議な気持ちだったなぁ。ふ〜ん、そういうもんか。
          都会は欲望を肥大させる巨大な装置なんだ、と思ったんだよね。TVや週刊誌、新聞
          だって常に欲望をあおり立てる方向に動く。それ買え、やれ買え、こんなもんありまっせ、
          ほれ、これ塗ればキレイになりまっせ、かっこいい服なんかどうですかい、車もあります、
          とかなんとか。スキあらば売りつけようって魂胆だ。SEXなんかも満艦飾で、オッパイ
          出しまくり性欲をとめどなく溢れさせるように仕向ける。刺激に満ち満ちた楽しく
          愉しいことがトラック満載で毎日やってくる。そんなことをたしなめてくれるような
          もっくのブログ、私にとっては欠かせないもの。まったく干天の慈雨、砂漠にオアシス、
          空きっ腹に素朴な握り飯、これからもよろしきおつきあいを願いたいもんだす。

          もっくさん、遊びに行くからね〜・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

           

          大人遊び

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             65才といえばれっきとした大人だろう。誰憚ることなく遊んでもいい年頃だ。しかも
            年金という強い味方がバックだから、そこそこならばなんだって出来る。若さもいい、
            けど年老いることも負けず劣らずイイもんだ。ってことで、最近傾斜してる江戸ごっこ
            を実行してきた、今日。三越劇場で上演されている文学座公演「夏の盛りの蝉のように」
            だ。ご存知、葛飾北斎と娘・お栄を軸に物語が展開する。杉浦日向子「百日紅」を読んだ
            後でもあるし、北斎役には加藤武だから観ない手はない。断じて観るっきゃないだろ。

             東京駅を降りて歩き始める。お昼をどこかで食べなければならない。ここらへんは
            日本橋、適価で気安く入れるような店はあるだろ。ほどなくして、寿司屋発見! 適度に
            汚れ、しなびたイイ雰囲気。すかさず我が身を挿入し、まずはビール。ウマいぜ。寿司を
            つまみながら飲むビール、しかも昼前だ。贅沢だぜ。この程度の贅沢にウットリして
            しまうんだ。グダグダついつい長居をして、向かうは三越本店6階の劇場。歩いてほんの
            数分。すでにチケットは予約済み、窓口付近は年配の方々(アタイも同類)でいっぱい。
            思ったより混んでるじゃないか。

             数多あるデパートの中、劇場を館内に持つのは少ないだろう。思った以上に小さな
            場内、天井・壁そこかしこに伝統の重みが。いい雰囲気だわい。昔から来たかった
            とこだけど、なかなか来れなかった。なんせ高いからね。それがようやく叶い心の中は
            感慨で満ちあふれる(かなり大袈裟だけど、少しはある)

             幕がないのか? そんなことはないだろうけど、舞台が見えている。北斎の浮世絵を
            背景にして、飾り格子が壁天井に組まれてる。演劇は、幕間をはさんでおよそ3時間。
            特に終盤が面白くて堪能した。いや〜、いいじゃんか演劇。久しぶりだけどやはり生身の
            人が演じるのはシャープでリアル。映画とまるで違う。しかも、あの文学座だからね。
            歴代の座員に思いを馳せてしまい、ここでも感慨にふけってしまう。


             床に埋め込まれた真ちゅう金具。これはなんだろう? 昔の暖房かな??

             楽屋口近くのトイレに行き、階段の束柱にウットリ。真ちゅうだ。なんて素晴らしい。

             でもって帰りしな有名な彫刻にウットリ

             天井もかくのごとし!!

             観劇後、やはり蕎麦だろう。劇中にも蕎麦を食べる場面があって、食べたかったの。
            三越真ん前の蕎麦屋に入り、まずは日本酒、つまみに板わさを注文。蕎麦は鴨せいろ。
            蕎麦が出て来るまでにお酒は当たり前、子供じゃないんだからな。飲んでイイ気持ちに
            なって、頃良く蕎麦が到着。ウマイなあ、いや、まったく。贅沢だなあ、いや、まったく。
            超最近、粋を身体で感じたいという気持ちが湧いてとめどない。頭で理解するなんて
            やったところでなんぼのもんじゃ。やはり、からだをじかに浸してみないことには実感
            できようはずもない。その程度のことで粋がわかるもんじゃないだろけど、なにごとも
            やってみてからの話だ。

             で、そば屋。美味しいけどタバコが吸えない。寿司屋は奇跡的に大丈夫だった。けど、
            ここはどうみたってOKって感じじゃない。で、我慢してたんだ。後で、やってきた
            女性二人連れが喫煙の有無を確認して、店員はすげなくNOと。それみたことか、
            言わんこっちゃない。店をみればわかるだろうに。でも、アタイだってひょっとして
            と思ったんだから人のコタァ言えないけどさ。でね、やはり一服したいという欲望には
            勝てず、喫茶店に入って至上のセブンスターに火をつける。ああ、いいもんだ、と。

             こうして日頃の仕事のうっぷんを晴らすことができたわい。地下に籠ってシコシコ
            看板作りは、この時のためにと言っても過言ではない。仕事ばかりじゃどうにも
            いけない。息抜き、遊び、の合間に仕事をするということ、それでなくちゃなんで
            生きてるのかわからないんだわさ。ええい、こうなったら横浜美術館で開催されてる
            「魅惑のニッポン木版画」も観に行っちゃいますか? 立て続けでもええ、とことん
            どっぷり江戸にハマろうではないか、日向子チャンを指南役に粋に傾こうではないか、
            おのおの方! いかがなるや?

            そして夜は粋の分析に励む・・・・・・・・・な、店主でした。

             

            ひたすら耐久選手権

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               こんなものをね、作っているわけだ。友人に頼まれて、遅れに遅れ、ようやく着手。
              したものの、どうしてどうして、いやはや大変で。何が?って?? 文字書きだあね。
              もうすでにずいぶんイヤになってるの。

               こんな具合だ。文字が小さい筆は細い、けど塗料はポッテリこ。神経使いまくり。
              しかも単調だから、飽きっぽいアタイにとっちゃ、耐久選手権、世界レベル!。

               「曜」の字を前にしてやる気はさらに失せる。画数多し、しかも2つある。

               ここまではカンタンだったなあ。それにしても、電話番号が消防車みたいだな、こりゃ。
              なんとかせねばなるまい。もちっと細くするか、あるいは青枠でもつけてみるか?

               店名は立体(チャンネル文字といいます)にしてよ、と友人が言ってたコト思い出して、
              あわてて作ってもみた。これも今にして思えばカンタンだった。

               元は、置き去りにされた木枠を看板にできないか、というもんだった。

               端っこなんか腐っててね、一回り小さくしてね

               組み上げて白ペンキを塗った。これなんかほんとにカンタンだったなあ〜。

               文字書き始めて2日目だ。もうダメ、耐えられない!。ノリのいいBGMは身体が
              動いてしまうから、バロック音楽なんか淡々と流してるから余計気分は沈むってもんだ。
              気が狂いそうになって、久しぶりに近くのブックオフに行ってみた。ここはオーディオも
              扱っているハードオフ、でも店内すっかり様変わり。オーディオブースは見事に縮小、
              古着全面展開だ。古着を見て、古本を見て、本命のCD棚へいざ。あれこれ探す、
              といってもいざとなると歌手名が思い出せない。あらら、毎度のことだけど、Aから
              BCDと片っ端、でクラプトン発見!! アンプラグドだ!!! 250円だ!!!!
              DVDを観て良いのはわかっとる。で、次々と発見につぐ発見でCDとDVDを13枚も
              買うてしまったじゃないか。〆て4000円ちょい。

               帰り道、車中で早速クラプトンを聴く。いやまったく、なにがイイったって、これほど
              よかもんありゃせんぞ。もう、文字書きなんかそっちのけだい。そんなにクラプトン
              聴いてるわけじゃない、それほどのファンってほどでもない、けど、これが彼のベスト
              だろ。エレキもいいんだろうけど、アコースティックの良さは圧倒的。小さなホール
              (多分、スタジオ)にほどほどの観客、いつものバックミュージシャンに美形で控え目な
              バックコーラス二人、しかもドブロと12弦まで弾いてくださる。ありがたや有り難や。

              さてと、文字書きか・・・・・・気が重いのう・・・・・・・な、店主でした。

               

              日向子チャン、どう?

              0
                 予告通りにコトを進めるべく、挿絵担当のM嬢にまずは、ってことで似顔絵を依頼。
                届く前に、一階の店の床にアタイの似顔絵発見! 自転車の陰に隠れてたときたもんだ。
                けっこうマジになって探したんだぜ。恥ずかしがり屋だからなぁ、もう。出てきなさい!
                おずおずと出した首根っこをやさしく押さえつけて、が、この通り

                 こりゃ一体なんだ? 印刷されてるのはアタイの似顔絵、上は赤い糸で縫われ、
                右にはビリッとテープででっかいタグ? して裏側は

                 これだ! なんだ、これは? アタイにもわからない。多分本人にもわからない?
                どうやらツガイの鳥みたいだけど。妙に接近しとるんだ、下でくっついてるし

                 縫い付けられた赤い糸。ひょっとして? 小指同士が結ばれてるっていう赤い糸のこと?
                まさかね、そこまでの意味はないだろ。

                 でもって、これが原稿。頂いたこのパッケージ紛失したかも、を聞きつけ、早速添付
                で送ってくれた。ええやっちゃないか。でね、前からわからなかった顔の両側の白い
                風船はいったいなんだろう?って思ってさ、パソコンの画面に顔近づけてみたらさ。
                !、!!、!!!!! なんだ、オッパイじゃないか。白いのはどうみても乳首じゃんか。
                なんてこったい、こんな明白なサインを見逃すなんて、ぬかったわ。それでわかった。
                右手が下、左手が上になってるのが。上下で掴んでご満悦ってことなんだ。なんで、
                もっと早くに気が付かなかったんだろう? オッパイがわからなくても、この作品は
                なかなか、かなり、相当、イイって思ってたのよ。それをM嬢にも伝えていたんだけど、
                隠された(隠してるわけじゃない、明々白々だ)暗号(だから!誰が見たってそう見える)
                が白日の元にさらされた今、これはもう額に入れるっきゃない。遺影の代わりにしても
                いい。65才にしてこんな誕生日プレゼントのパッケージを頂戴するなんて、果報者
                限りなし。

                 ってな驚異の発見がいまさっき地下のちっちゃな机でなされて、いささか興奮しとる
                んだ。こんなことで興奮するん? するんだなぁ、これが。それがアタイなんだ、仕方
                なかろうばい。

                 で、本題だ。M嬢に挿絵を描いてもらう人物として、杉浦日向子チャンしかいなかろう
                ってことで、本から写真を撮って、送ったら、すばやくね、描いてくれたんだ。それが
                これ

                 まごうことなき杉浦日向子だ! 当ブログ専属挿絵家の手になるとこうなる

                 なんかピカソみたいだな。似てることは似てるけど、ちいっとばかし悪意が
                感じられるような気がしないでもないけど。M嬢は決して悪意なんかないし。
                それどころか尊敬敬愛甚だしい存在と思し召しているほどだ。でも、描くうちに
                こうなってしまったんだろ。もちろん、アタイは好きですよ、この絵。本人に失礼だとも
                思いません。思わないけど、ピカソだからなぁ、草葉の陰の日向子チャンはどうだろか。
                ついついそれが気になってしまうのだわさ。
                 全5枚描いてくれた中から、あと2枚だけ見せちゃるけん、覚悟しんさい


                 う〜む、だんだん怖くなるっちゅうか。赤と黒、スタンダールかい

                 どうです、最初のピカソが可愛く見えますでしょ。こりゃ、怖いでっせ。黒紙だから
                余計そう見えるのかな? 荒々しいっていうか、なんか見た事あるし、こういうオバさん。
                声まで聞こえてくるようで、迫力あるな。赤塚不二夫の劇画タッチの作品にこんなの
                出てきたことを思い出す。何回見ても笑っちゃうんだ、この絵。書いてる当人もだんだん
                不安になってきたとちゃいまっか。お心うちお察し申し上げます。

                 いろいろ言ったけどさ、出来映えに大満足なアタイ。きわめてご満悦。これじゃ、
                法外な原稿料請求されちゃっても文句は言えないな。なんせ、心の中じゃ絶賛に近い
                からな。週刊朝日の山藤章二の向こうを張って、記事とは関係なく掲載しようっと。
                さて、次は誰を描いてもらおうかな? 読者の方々もリクエストがあれば、どうぞ

                いや〜まったく、オモロかったな〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・な、店主でした

                 

                みめ麗しき助っ人がね

                0
                   心静かにパソコンに向かいブログを書く。流れる音楽は、セリーヌ・ディオンの
                  A NEW DAY HAS COME。新しい日は来た? 来る? そんな意味じゃないか?
                  当たらずとも遠からずだろう。

                   その昔、アメリカで催されたディーバズ・ライブの2回目の冒頭、前回出演した
                  セリーヌ、グロリア、マライヤの物まね三人が登場し、セリーヌが歌うと「やめて!
                  恐がってるじゃない!!」と。大声量限りなしの彼女、観客が恐がるってんだ。
                  諧謔と皮肉たっぷりの寸劇(盛大なオナラもするのだ)に大笑い、ひきつる店主。
                  アメリカのショービジネスの懐の深さに舌を巻いた。その、セリーヌが、今、地下で
                  彼女が囁くように歌っている。日曜の朝にふさわしい。なかでも10曲目AT LASTが
                  スバラシくて、心に沁み渡る。

                   舌禍事件もおさまり、アタイの心は山奥のひっそりした湖面のように澄み切って、
                  波ひとつなくまるで鏡のようだ(ホントか?)。ここに至るまではエロエロ(ウソ!)
                  イロイロあったわけだけど、そんなこたァ誰にだってあること、格別特別なことじゃ
                  ない。で、フラフラしてるときにふと思い付いたのが助っ人のこと。このブログは、
                  文字と写真ばかりでしょ。それはそれで問題はないんだけど挿絵を書いてもらおう、
                  とね。考えたわけですばい。はて、誰にすんべえか? なんてことはナイ! 既に
                  存在してる、ほら、目の前にいるでしょ。ってな具合だ。


                   ふとしたきっかけで入手したのがこの写真。およそ10年前のアタイだ、卒業生が
                  めっけてくれてface bookの表紙?にもしてる。写真大嫌いだけど、この写真なら
                  イヤではない。そして、今回ベルリンの学校を訪れて友人Tiroと撮ったのがコレ

                   人間10年経てばこうなる、使用前使用後だな、この動画?の二枚目に彼女の似顔絵
                  が紹介されてる。さらに、



                   こんなのもあるし

                   こういうのもある。ホントはカラー刷りの逸品があるんだけど見当たらなくて
                  紹介すること叶わず。私の似顔絵書きまくってるから、すでにもはや顔をみなくっても
                  いつでもどこでも一分以内に描けることだろうて、喜んでいいのやら、どうなんだ?

                   あるいは、

                   こんなのはどうだろう? ウィーンでお世話になった友人一家の似顔絵だ。ブログを
                  読んでいる方々は誰も知らないだろう、けど知ってる人が見れば大きく頷き、しばし後
                  微笑みを浮かべること間違いなし!

                   似顔絵を描けるってことは素晴らしい、なんたってコミュニケーションツールNo.1
                  だから。さらさらと一筆で描けば大喜び、言葉なんか通じなくたって関係ナシ、一切。
                  でね、そんなにサラサラ描けるんだったらアタイのブログにも書いてよ、とお頼み申し
                  たの。そこらへんのザラ紙に書き散らすのも悪かァないけどさ、それだけじゃもったい
                  ないでしょ、もちっとなんとかならないもんか、その場で喜ばれて、それはそれでいい
                  んだけど、それだけじゃちょっと可哀相じゃんか、似顔絵がさ。こんな私の申し出を
                  ニコニコ顔で快諾、即OK。ってことでね、私が記事を書くたんびになにかしらの絵を
                  添えていただけることになったわけだ。

                  挿絵と文のタッグマッチは、いかなるものになるのやら・・・・な、店主でした。

                   

                  最後の一年

                  0
                     専門学校で家具のデザインを教え続けて40年、いよいよっていうか、それほどのもん
                    じゃないけど、最後の一年が始まった。もうすでに最古参、顔見知りの先生仲間も
                    めっきり少なくなったような気がする。辞めようと思ったキッカケ? なんだか
                    つまんないなァということだ。つまんないことの中味はいろいろある。感じとしては、
                    飲み会で盛り上がり、もう帰ろかなと思って、なんだかずるずると居座って、結局何ごとも
                    なく朝を迎え、あ〜ぁ、あんとき帰っときゃよかったという態のもの。もうちょっと
                    居ようかと居残り、予想通りダラ下がりで終焉を迎えるってことよくあるでしょ。
                    それと同じ。

                     その決断の大きな要因は二人の学生だ。一人は卒業制作の作品、もう一人は心の交流に
                    おいて。もうこれ以上素晴らしい作品は生まれないだろう、もうこれ以上老齢の私と
                    親しい関係を築き上げることのできる学生は出現しないだろう、という予感だ。だてに
                    40年教えてるわけじゃない、この予感は経験に裏打ちされた実感ともいうべきほぼ確信
                    に近い感覚だ。私は、わたしのその感じを信じて今期限りで辞めようと思ったんだわさ。

                     学校だから、デザインのあれこれだけ教えてればいいんじゃない? そう言われるかも
                    しれない。けどね、昔っからアタイはそれだけじゃ我慢できないタチだから。技術や
                    知識、ノウハウを教えるだけではつまんない。軽口を叩いたり、どっかに遊びに行ったり、
                    なんかオモロいことやったり、ってなことがないと気力は萎えてやる気が起きない。
                    年々、学生との交流はなくなってきてオモロい学生も少なくなってきて、学校に魅力を
                    感じなくなってきて、とどめが二人の学生だったというワケ。踏ん切りをつけてくれた
                    という意味じゃ、いささかな恩人と言えるかもしれない。

                     そんな私だから、最後の一年は今まで経験してきたオモロいことぜんぶやっちまおう
                    と、最初の授業の時に宣言! 勝手な私の想い考えに学生はポカンとしてる。学校の
                    役割はいろいろなことを教えてくれることが本筋、私が言ってることは傍流だから、
                    理解しがたいのはわかる。けど、私はわたしでやろうとね、考えてるわけです。もちろん
                    授業で教えるべきことはちゃんとやりますよ、そんなこたァ当たり前だ。見損なって
                    もらっちゃ困る、家具のことなら材料から加工方法、構造、歴史やデザイナー名や作品
                    や資料、金具の使い方や仕上げやフォルムやEMOTIONのことや、最近じゃの語義まで
                    幅広く知ってるつもりだ。わからないのは売れるか売れないか、売れる商品の秘訣
                    ぐらいなものと自負してる。なにを偉そうに、と言われるだろうけど、それぐらいの
                    自負は許されてもいいだろう。あるいは、それぐらいの自負がなけりゃデザイナー
                    (ほんの隅っこだけど)として恥ずかしいだろう。

                     で、オモロいこととはなんだ。やっぱ、学校なんだから合宿はいるよね。合宿と
                    言えばタタミの旅館だろ。そんなことを心の交流甚だしき学生と話し合ったんだ。
                    すぐにやろうべと名古屋に行くことになりそうだ。卒業生K保田くんに会いにゆき、
                    明治村と犬山城と茶室の見学お勉強。明治村には旧帝国ホテルがある、家具の学生は
                    フランク・R・ライトぐらい知っとかなくちゃね。イカンだろう。卒業生は大きな
                    メーカーでデザイナーとして活躍してるから得る事も多い事だろうて。ミニ合宿
                    みたいなもん、旅館はタタミで一泊4000円、これでどうや、と。

                     ほかのオモロいこと。お花見は先日上野でやった。まぁまぁ盛会。これが第一弾。
                    名古屋が第二弾。隅田川の花火を観にいったこともある。4〜5人の学生と、女生徒は
                    学校のトイレで浴衣に着替えていざゆかん。気合いが入っとるんだ昔の学生は。魚釣りに
                    横須賀の海に行ったこともある。海辺で遊び、魚も釣れたし、夜は絶景ポイントまで
                    お散歩じゃい。そんとき学生だった今のアシスタントは、今でもその話をする。それほど
                    心に残る良いイベントだった。そして卒業制作での本気合宿がある。卒制で作る作品を
                    検討するマジメな集いだ。終電を気にする事なくトコトン話し合えることは、作品にも
                    好影響をもたらすことだろう。ドンジリに控えしは卒業旅行だ。40年で一度だけだから
                    希有な出来事なんだ。むろん温泉だ。十数人が数台の車で吹雪をもろともせずに行った
                    先は山形県。おいしい豆腐を食べおいしい米沢牛を食べおいしいお酒とおいしい会話は
                    私の心にくっきりと残っている。これらすべてをやろうと・・・・・・・・・・。

                     思ってはいるけど、さて、どうしたもんか。私が先導するのは疲れる。いままで散々
                    そういうことやろうと呼びかけてシラ〜とされたこと数知れずだから。そんなことに
                    興味のない学生も多いし、無理に誘うもんじゃないでしょ。音楽のセッションみたいに
                    みんなの心がまとまらなければ実現したとしてもむなしいじゃん。行きたいと思って
                    いても口には出さない態度にも出さないという学生がほとんどだからね。いや〜
                    いいっすね! なんて反応はすでに死滅してるの等しい。それがわかっているから
                    声を掛けることに躊躇してしまうわけだ。私が言い出さなけりゃ、これらすべて実現
                    しないだろう。でも、言い出せば無反応を目の前にして、またかいな! といささかの
                    落胆はある。週一回3時間の授業で、なにもこんなことまで考えるこたぁない。普通に
                    やっとけばええんだ、おとなくしく真面目にやっとけばええんだ、でもなぁ、それじゃ
                    生きてる甲斐がないじゃんか、楽しい作品を生み出すには生活そのものが楽しくなけりゃ
                    アカンのやないか。

                     きっと海辺に残る桟橋の腐った杭のように、私のアイデアは実現することなく静かに
                    朽ち果てることだろう。アイデア満載なれど、私の心は現状の多くの学生の表現力の
                    乏しさに弱気に傾く。そんな私の心を揺り起こし、喚起してくれる誰かが出現しない
                    限りは・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

                    さ・て・と、仕事でもすっか・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

                     

                    日向子チャン大好きさ

                    0
                       今日は、今年度最初の授業で学校で吠えてきた。授業は午前中だけだけど、午後も
                      なんだかんだと居残り、寄り道して帰宅して昨日の中辛鮭を大根おろしで食したら、
                      眠気がウトウト。寝床に入り、杉浦日向子「うつくしく、やさしく、おろかなり  ー
                      私の惚れた『江戸』」
                      を読み始めたら、これがもうたまりません。小一時間読み耽った
                      末に起き出して、ブログを書き始めた。あぁ、明日はカミサンのお手伝いで老人
                      (私もお仲間だけど)を花見に連れてく運転手を仰せつかってるんだ。なんてこったい。

                       「粋に暮らす言葉」は、前ブログでちょこっと紹介さていただいた。日向子チャンの
                      エッセンスみたいな名文が目白押しだ。で、タイトルにもなってる粋について本来の粋
                      というのは、自分の中で熟成され、個人個人で基準が違うものなので、粋のマニュアル
                      はないんです 
                      とか 粋の重要な点は、常にかけひきがあることです。答えがない。答え
                      を隠す面白さ、何々かもしれない、何々とも考えられるし何々のようでもある、という
                      ように受け手によっていろいろ変わることが重要であって、誰が見ても同じ感想しか
                      出ないものは粋ではないわけです。
                      みたいなことが書いてあるわけ。この本を差し上げた
                      Y口さんも、もっと詳しくしりたいもんだみたいなメールをいただいて、アタイもそう
                      思ってたの。

                       でね、この「うつくしく・・・・・」を読んでたら、粋のことが詳しく書いてあって
                      思わず身を乗り出してしまったのだわさ。

                       つまり、生活プラスアルファ、そのプラスアルファの部分が "粋" なんです。これが
                      なくてもお腹は減らない部分ですね。これを知らずに一生を過ごしても、お腹は減らないし
                      暮らしに困るようなこともないというものが、すなわち "粋" なんです。
                       では、これはどんなところから生まれた価値観かと言えば、まず暮らし、つまり家庭の
                      中にはないものです
                      。ですから粋な家庭だね、粋な家族だね、というのはあり得ません。
                      家庭、家族というのは暮らしの場ですから、そういうところでは粋は育まれない。では、
                      どんなところで育まれるのか? つまり、旦那さんから見れば、妾宅、お妾さんの家
                      です。それから悪所、つまり、芝居小屋、遊郭といったところで、そういうところで
                      育まれた異色の価値観なんです。生活からいちばん遠いところにあるものです。粋で
                      生計を立てようというのは、まず無理なんです。粋は浪費によって得られるもので、
                      収入の手段にはけっしてなりません。


                       いや〜、言ってくれるね〜、ウレシイねえ、わかってるねえ〜、生きてるうちに酒を
                      飲み交わしたかったねえ。思わず太字にしてしまったぜ。まったくその通りだ!!!!
                      今、アタイが素直に実行している日々は、まさにこれだからさ。思えば、これまでも
                      そうだった。そのことに後悔なんかまるでなくってさ、そんなこんなの積み重ねが
                      今ならば、げに喜ばしきってもんで、これこそ素晴らしき哉、人生だ。私がやってきた
                      こといまやってることはまさに粋を求める私の心に正直だったってことだったんか。
                       でね、諦観は江戸の「粋」の三本柱の一つになっている。あと二つの柱はあだと色です。
                      ってのもあってね。色はそこそこ理解してると思ってたけど、こっちもズバリ

                       残る、色。今では、恋愛よりも格下の、遊びに近い分野に入れられて、昼の話題では
                      ないとされている。が、江戸では前二者(愛と恋、店主注)よりも上級だった。愛や
                      恋は、力ずくや勢いで獲得できるが、色は駆け引きが必要だ。巧妙な心理戦であり、
                      一筋縄ではいかない。ランク付けすれば、愛は、他人に横取りされるぐらいなら、壊して
                      しまうタイプで、男女間に置き換えれば、最低。恋は、発展途上。生殖が完了すると
                      急速に冷めてしまうので要注意。色は、人情に機敏を知ってこそ楽しめる、卒業のない
                      生涯学習といえる。
                       「色はその日の出来心」。色にはマニュアルは存在しない。臨機応変、不特定多数。
                      お互いに充実した時を過ごすためには、目の前の相手を敬い、赦す、心のゆとりが
                      なくてはならない。色には、愛の束縛願望も、恋の生殖達成もない、愛や恋は、会えない
                      時にも相手を常に想っているが、色は、会えない時は電源をオフにして、とりあえず
                      自分の時間を優先する。二十四時間、相手とケータイで繋がっていなくては不安な
                      うちは、とうてい無理な課題。
                       「色っぽい」は、江戸では最高の褒め言葉だ。「オイロケ」だとフェロモンむんむん
                      の軽薄な感じだが、本来の「色気」には、容貌だけではない、言動などの内面的な
                      魅力が不可欠だからだ。色気のない人生は、モノクロの世界だ。出会いと別れを重ねる
                      につれ、若いころ、接写だった視野が、だんだん広角になり、画素も増えて鮮明になり、
                      隅々まで色や輪郭がはっきりしてくる。いろいろ、難しいけれど、どうせなら色っぽく
                      生きよう。


                       いや、もう脱帽なんだわさ。65才が45才に教えられ頭が上がらない。もう完全と
                      言っていいくらいスッキリクッキリ、目からウロコなんだわさ。店主、いままでの
                      多少の恋愛が走馬灯のように浮かび上がる。若いからだったのか、でもいわゆる中年
                      でも、恋や愛を渇望し、つい最近だって舌禍事件を引き起こした裏の真相は
                      こういうことか。ナンテコッタイ、そんなことも知らずに生きてきたなんて、
                      そんなことも知らずに偉そうにアレコレしたり顔で吠えてたなんて。バカもバカ、
                      大馬鹿だっせ。
                       いやはや冷や汗たらたら、四六のガマだ。こんな関係を保てる相手なんか居るんか?
                      居ないだろう! でも、居るかもしれない。ひょっとしてってこともあるじゃないか。
                      とにかく私だけじゃしょうがない、相手もこのことを理解してくれるような資質が
                      なければ成り立たないから。一人力んでみてもどうなるもんでもない。

                       粋の成立環境と色を合わせてみれば、私の望みが浮き彫りになるだろうて。単なる
                      エロ爺ではなく、人と人の極めて親密かつおだやかでつつましくも秘めた情熱の泉が
                      涸れる事のない人生にとって得難い関係を私の心は強く強く求めてやまないのダ。

                      そこ行くアナタ、これは凄い本でっせ・・・・・・・・・な、店主でした。

                       

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