本業に精励しとるんダ

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     悠久の宇宙の時間の流れ、広大無数の銀河の隅っこの隅っこの隅っこであるところの
    太陽系、の中の三番目の恒星「地球」、その地表に張り付いてる大陸と海、そのなかの
    アジア辺境の海中に屹立する日本、さらに拡大し続けてゆけば、東京と神奈川の境に
    位置する大田区は下丸子の地下、もうこれ以上は小さくなりようもない部品との格闘記。

     いや〜、かなり大袈裟で失礼。なんも宇宙を持ち出すほどのことはありませんのや。
    かなり以前に、わざわざ岡山から来店されたお客様、ツマミを探して三千里。乱雑な
    店内を見回し、あれこれ手に取って、リフォームする家に合うツマミを探索したの。
    でね、結局2種類を選んでくだすったワケだ。この2種類いずれも既製品ではなく、
    当店のオリジナル。とはいえ、小さな塊だけの未完品。良いツマミになるだろう、と
    思っていたんだけど面倒くさくて加工しないで幾星霜。ついにやらねばならない時は
    至るってなもんだ。

     一つはこれ。正真正銘のガラス球。とてもキレイでっせ

     裏返すと穴だけが開いてる未完品。この穴にネジが取り付けられるようにせねば
    ならんのだ。穴の直径はおよそ8ミリ、以前使った8ミリの長いボルトを仕込めば
    使えるようになるけど、板に取り付けたあとで切断しなくちゃならないからきわめて
    不親切。ならば、この穴に埋め込みナットを付ければいい。でも埋め込みナットの
    直径はデカいし、周囲にギザギザがあるから削りとらねばなりませぬ。ああ、無情。

     埋め込みナットはこんなもん。ね、ギザギザあるでしょ。

     このギザギザをサンダーなる機械で研磨し周囲を丸棒状にする。勢いよく回転する
    サンドペーパー、にナットをこすりつけながら少しずつ回転させつつ。でもね、
    ちょっとでも強く当てると肝心の埋め込みナットそのものが回転してしまい、あっと
    言うまに飛び出していっちゃうんだ。ちんこいからさ、飛んだが最後探すことなんか
    絶対にできやしない。ウ〜ム、なかなかムズカシイのう。

     試す事二度三度、そして四度五度。ようやくなんとかガラス球の穴に入るように
    削る事ができ、二液性のボンドでくっつけるところまで行き着いた。ここでガラスの
    穴の深さが一様でないことに気が付いてさ、浅すぎて埋め込みナットが埋没できない
    んだ。ありゃ〜、マジで! 依頼されたのは3個だけど、たまたま一個が浅い。オー
    マイゴッド!! 3個作ってもまだ3個残ってる。その中から1個使えば残りは2個。
    こんなガラス球のツマミ欲しがる人なんかそうそういないだろうし、接着しただけ
    だからイマイチ不安は残る。ってことで予備を含めて6個作って差し上げた。


     そしてもう一種。卵形で木製、ベルリンで買い求めて幾星霜(こればっかりだな)、
    を4個所望されてしまった。むろん取り付けナットは付いてない。これを着色して
    穴をあけ、埋め込みナットを取り付ける。

     染料に浸けることおよそ一時間。ふだんは刷毛でちょちょいのチョイだけど、
    なんたって触る頻度の高いツマミだから出来るだけ時間は掛けたいってもんだ。

     ナット取り付けはこんな感じだ。周囲が欠けてるのはサンプルだからだ。本チャンは
    もっときれい。

     ハイッ! 4色のツマミが染め上がった図。これに仕上げをする。透明塗料を、と
    思ったんだけど色が変わってしまうしうまくゆく自信がないから木ロウ仕上げ。一回
    着色の後耐水ペーパー1500番で毛羽立ちを取り去り、さらに着色&着色。で、最後に
    木ロウをこすりつけて磨き、イボタロウで磨き。小さくて丸っこいからうまく磨けない。
    といっても長時間の仕事ではないから、ま、カンタンっていえば簡単なんだけど。

     これが私の本業なんだろう。でもなぁ、お金のことは言いたくないけど、このツマミ
    幾らなら妥当なのかわからない。木の方はいいとこ500円くらいなんじゃないか。ガラス
    だって3000円っていったら仰け反るんじゃないか。一般的なツマミに対する評価は
    低くていいとこ数百円、高くても2000円ってとこ? しかも大嫌いな磨き作業だから
    どうしたってやる気は萎縮してしまいます。ツマミの店として看板を出しておよそ10年、
    アイデアは良かったけど肝心のアタイの根性が極小ときたもんだから、この始末。
    来店される方は拒まないけど、微弱で貧相な当方の技術とアイデアとやる気を理解
    した上で覚悟を持って来店していただきたいものなんだわさ。チャンチャン。

    ってことで、次には棚作りが控えとる・・・・・・・・・・・な、店主でした。

     

    義母が亡くなった

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       長い闘病生活の末、84才の義母が亡くなった。葬儀に参列するために帰省し、昨日
      東京に舞い戻ってきた。年を重ねるとだんだん身近な人が亡くなり、少しずつなにかが
      喪失してゆく。すでに私の両親兄弟も亡くなってるし、今回のことで義父母もいなく
      なった。私の両親は山形県米沢市だけど、現地で親しくしているのは叔母と従姉妹の
      二人、彼女らが亡くなれば長かった米沢との交流は絶たれることになるだろう。それは、
      義母も同じ事、京都府京丹後市とも縁が薄くなることだろう。これが最後かもしれないな
      と思いながら二日間過ごしていたんだ。

       
       葬祭場の周囲は一面の田んぼ、緑が目に痛い。ちょうど稲穂が顔をだしてきたとこだ。
      集う方々はみなさん素朴に見える。なにごともなくつつがなく日々を過ごされているように
      見える。義母は女ばかりの七人姉妹、黒部のおばさん(義母の姉)とあれこれ四方山話。
      この方87才、ダンナは95才、いずれも達者に見える。聞けばダンナはシベリア帰りだと。
      なんてこったいシベリア抑留者かい。シベリアたって大瀧君のシベリア鉄道じゃない。
      正真正銘厳寒のシベリアで4年間も重労働してきた強者。まったく目もくらむような生活
      であったにちがいない。そんな方が、今じゃ好々爺。にこやかに人の話に頷いている。
      心の底ではどんなこと考えてるんだろうな。もうシベリアのことはめったに思い出さない
      んだろうけど。

       喧噪渦巻く刺激過多の東京に住んでるこちとら、自然はいっぱい、人々は純朴
      そのもののように見える環境に身を置くと居心地がいいような悪いような奇妙な感覚に
      襲われてしまう。帰ってきた今もその感じは拭えない。まったくこれじゃ浦島太郎、
      いささか落ち着かない気持ちでいるとこなんだわさ。果たして、あと10年生きたとして、
      あんなにおだやかに過ごせるんだろうか? 一応デザイン業界(っていうのも変だけど)
      の片隅でなんかオモロいことなんか新しいこととかなんとかで考えたり作ったりしてる
      アタイ、今のそんな気持ちが薄れることなんかあるんだろうかしら? 世俗のことなんか
      捨てて隠者のように居れるんだろうか? 昨日と同じ今日が来て、今日と同じ明日が来て、
      ほんのささやかなことによろこびを見出せるんだろうか? それがなんとも皆目想像
      できなくて・・・・・・・・・・・・。

       なにごとにも飽きっぽいアタイだから、そんなこと考えたってしかたないじゃん、
      なるようになるだけさ、となるに決まってる。現に、だんだんそういう考えになりつつ
      あるし。もっと年老いて(今も充分だけど)、あらゆるものに対して欲望が薄れて、
      これといってなんもする気がなくなり趣味も興味も働かなくなってしまうかもしれない。
      けどね、そんときになってもなにもせずにひなたぼっこに精を出すなんてことはないだろ。
      なにかしらオモロそうなことをめっけるに違いない。かの養老孟司も言ってたっけ。
      そんときの自分を信じなさい、そのためには今が大事、目の前に起きていることを
      一所懸命やるっきゃない。その積み重ねがいつのまにかの自信につながる。そして、
      それは死のときでも同じだと。あたしゃこれを信じてるんだわさ。

       話は変わる。行きの新幹線の中でタバコ吸ってたら、同年輩の方とライターの話。
      私のライターは数年前にオークションで入手したダンヒル。使い始めてからライターの
      ことを聞かれたのは初めてのこと。話しかけられて一服の間あれこれ。今、新品なら
      96,000円もする。昔だって充分高価だったから手も足もでない。だから私は60才
      過ぎてようやく買えたんだ。といっても3000円だったけど。その方は若い時は憧れて
      いたけど今じゃ百円ライターですよ、と言うワケ。あとで考えてみたら順序が
      逆じゃんか、この年になってまだタバコ愛好ならば憧れていたダンヒルを使うべき
      なんじゃないか。若い時には出来なかったことが年を重ねればできることは多々ある。
      若い時には似合わなかった品々や洋服が、ってこともね。そんな年齢になって百円
      ライターですよと嘆くのはどうなの? ようわからんのですわいな。

      さ・て・と、暑いけど仕事しようかな・・・・・・・・・・・な、店主でした。

       

      バランチェッタなんだわさ

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         梅雨明けの東京は大田区下丸子、一気に夏の到来。地下は涼しいけど、地上に顔を
        出すと蒸し暑い大気が充満。夏は好きだった。だったけど今じゃカンベンしてくれの
        ココロ。そんな暑さの中、いよいよ中目黒のレストラン「バランチェッタ」外壁工事
        が始まりそう、ってことで準備作業で学校の工房へ馳せ参じる。
         高さ2m間口7mほどの外壁を古材で覆う。一応、図面は描いたものの実際に置いて
        みないと感じがつかめない。こんな広い場所は学校しかないんだ。


         夏休み突入だけど教室は開いている。涼しい地下の工房で図面片手に打ち合わせの
        美嬢ふたり。今回の工事は彼女らがメインスタッフとなる。


         テープで床に原寸を描き図面通りに古材を置いてゆく。最初は大きな部材を置く
        だけだから楽なもん

         さて、いよいよ一枚の部材を切断しなければならない事態に。図面を描いたとは
        いうもののいたってイイカゲン。即断即決、彼女らの適切な判断が欠かせませぬ。

         最後の一面で思案投げ首のR嬢。部材が足りないからね、なんとかしないと壁の
        下地が出てきちゃう。

         こっちは隙き間を古材の棒で埋める。大きな板を置き、次第に小さな板で、最後は
        棒で、という次第。古材がだんだん残り少なくなりアタマを使います。青い看板は
        「米」。古いホーロー看板はチョロっと見え隠れみたいな感じにするの、かも。

         全体はこんな感じ。完成に近づいてくる。いやぁ、いいじゃないっすかと自画自賛。
        これならバランチェッタ店主のO崎さんも悪くは言わんだろう。

         以前記事にした古材、知り合いの木工所の庭に放置してあった逸品。これがなけりゃ
        こんな感じにはなり得なかった。最初の打ち合わせで、店主のO崎さんが見せてくれた
        のは有名ブランドのパッチワークなジーンズだからね。こんな感じの外壁にしてくれ、
        なんだかわかんないように、オモロくしてくれ、と注文はいたって漠としてたんだから。
        古いジーンズのパッチワークならば古材しかない。でもどこに転がってるんだ。買えば
        いいけど、きっと高いに違いない。なんとか予算ゼロで調達したい。そんな無理難題を
        実現出来たのは木工所「サンダンス」さんのおかげ。

         で、古材だけではないのダ。これも知り合いから頂戴した分厚い樹脂板、これを
        散りばめようと考えたのよね。古材板だけじゃなんか物足りないでしょ。オモロさの
        ためには樹脂もいいんじゃないかってね、思ったワケ。

         デカイ厚い重い三拍子揃った樹脂板(というか塊に近いけど)。表は汚いけど割った
        中はキレイ。

         こんなふう。湘南に住む友人の友人、サーフボードを作ってるんだけど表面を覆う
        樹脂液が床にポタポタの結果こんな板が出来上がる。さて、問題はこの板(塊?)を
        どうやって分割するのかということ。端っこはハンマーで叩けば砕け散るけど、
        中央部はどうしようもなし。そこでアシスタントI君がプレス機で割ったらとナイスな
        アイデア。さっそくプレス機でえいや! えいや!! なかなか割れないんだ、これが。
        なんたって厚いからね。真ん中へんは7〜8㎝の暑さだかんね。さらにえいや! と
        満身に力を込めて・・・・・・・・・・壮大な音とともに数片に割れる。それを
        繰り返す事数度、涼しい地下工房でアタイ一人が汗ダク、見てるしかない方々は涼しい
        顔。

         さてと、手持ちできる程度のサイズになったらさらに小さく割ってゆく。

         飛び散らないように布をかぶせて

         おおぶりなハンマーを打ち降ろす、ときたもんだ

         砕けた樹脂塊。これを壁に取り付けるべく穴を開けなければならないんだのし。
        6ミリのドリル刃でひたすら穴を開ける。大きな塊ならば6カ所、小さいものなら
        2〜3カ所の下穴を。さらにさらに、そのままだと長〜〜〜〜いビスが必要に
        なるから途中まで10ミリで穴を開ける。そうすれば取り付け板からの距離が近く
        なるから安定度が増すだろ。むろん、ビスはステンレスだ。

         およそ7時間の作業でおおよその位置が確定した。ただし、これをまたバラして
        移動しなければなりません。裏に番号を書き、写真は撮ったものの果たして元通りに
        なるもんだろうか? 言いたかないけどアタイは自信ありませんぜ。こんな込み入った
        作業を処理出来る能力なんかないんだから。それが証拠に、彼女らが修正してくれた
        図面をちゃんと書き直そうとパソコンに向かったとたんなにがなんだかワカランように
        なってもうた。どないする? 踏ん張らんかい!!

        それにしても暑いのう・・・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

         

        屑入れ VS ゴミ箱

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           まずは広辞苑で屑入れを調べてみる。屑籠はあるけど、屑入れはない。ちなみに屑籠は
          「紙屑など屑を入れる籠・箱」とある。もう一方のゴミ箱はあった。正確には「芥箱」、
          ごみを入れる箱。ふーむ、屑入れって言葉は存在しないんだな。ならば、今後は屑籠、
          屑箱、芥箱でゆくことになるんだろうか。

           いやね、ずいぶん前から考えていた屑箱をちゃんと作ろうと思ってね。ふだん曖昧に
          使っていた名称を調べてみたわけだ。知り合いの木工所サンダンスさんのとこに行った
          折、休憩スペースの脇にあった屑箱が目に止まったの。あれ? いいじゃん、コレ!。
          で、了解をもらってちょこっと試作したんだわさ。それから長い空白時期があって、
          そろそろちゃんとしないと決着がつかないまま死んじゃうかも、ってことで二回目の
          試作をしたワケ。


           こんな感じ。材料はメラミン化粧板と呼ばれる1.2ミリ厚の硬質樹脂板。これをクルリと
          丸めてネジで止めるだけのもの。いたってカンタン、誰でも作れます。これは構造モデル
          だからネジも止め方もいい加減です。おおよそのかたち、バランスを確認するだけのもの。

           長いサイズも作った。これで高さ45センチ。上記のは30センチ。

           二枚を重ねてネジで固定。ネジを食い込ませるための木片が見えます。この重ね
          部分をどうしようか? いずれはボルトナットにするけど、この木片の扱いが未定
          でね。

           蓋です。真ん中に穴を開けてあるのが一般的だけど、ひねくれ者のアタイは端っこ。
          なんか月みたいになっちまった。

           この蓋、真上に上げる事が出来ないから、このように軸で回転するようになる。
          この軸を支えるのが合わせ目の木片となりますか。

           以前の試作は単なる円筒(ドラム缶形)だったけど、今回はちょいとコジャレて
          円錐形にした。正しくは逆円錐形。円筒ならば長方形をクルッと丸めればいい、でも
          円錐はそうはゆかない

           ってことで、扇形だ。上が高さ45センチ、下が30センチ。上の円弧直径は5m、
          下は4m、アタイの古いパソコンでは5m以上の円は描けません。計算で描くことも
          できるんだろうけど、中学で数学挫折した私には到底ムリ。

          ここまで出来れば一段落、あとは底板をどうしようかってこと。できれば外周にネジを
          見せないで固定したい。しかもアシスタントのI君はベタ置きはイヤですね、ちょっと
          浮かせるようにしたいですね、なんてこと言う。そりゃ私だってそうしたいのは山々。
          だけどそうスンナリとはゆかない予感充分でさ、案の定ハードルがニョキと姿を
          現した。なにごとによらずなにかしらの困難はつきもの、真面目に汗してガンバレば
          きっと女神は小さく微笑んでくれるだろう。なんて、甘いか?


           もう20年も前だろうか、我が家にはこんな屑箱があったんだ。最初は店で使って
          たんだけど、今はキッチンで便利してる。厚紙で作られた単なる円筒形だけど
          使い心地はスバラシイ。家庭用生ゴミ45ℓの袋がちょうどおさまるんだ。

           いたってカンタン、私は下に小さなキャスターを仕込んでる。ちょっと移動するのに
          便利なの。問題は、円筒形だから満杯になったゴミ袋を引っ張り上げるときに箱も
          一緒に持ち上がっちゃうのよね。だからの逆円錐形、それなら上に広くなるから
          袋がスムーズに出せるってもんじゃんか。どこのキッチンだって狭いだろうから
          コンパクトで汚れがつきにくいものがイイに決まってる。色も選べるから部屋に
          合わせることOK。そんな感じでね。

           ってことで、30、45、60センチの3つの高さの屑箱が出来上がるだろう。これを
          ファクティオで売ろうってこと。捕らぬ狸の皮算用、武士の商法、うまくゆくのか?
          でもね、もともとの発想が屑箱の地位向上だから売れなくても落胆はしないんだわさ。
          どういうことかというと、どんな部屋にも屑箱はあるでしょ。でも、ヒョンなことで
          写真を撮ることになったら真っ先にのけ者にされるのが屑箱じゃないっすか。現に
          いろんな雑誌に載ってる部屋には屑籠はないもんね。普段は使ってるのに、改まった
          席では「そっちへ行ってらっしゃい」なんて扱いは悲し過ぎる。ヒド過ぎるって
          もんじゃないっすか。さんざん付き合ったあげくに「結婚するから別れてくれ」
          みたいなもんじゃないっすか。

           だったらこの私がシャシャリ出てやろうじゃないの。余計なお世話を買って出て
          みようじゃないの。数軒の雑貨店やインテリアショップ観ても碌な屑籠はないしさ。
          決してアタイの屑箱が素晴らしいなんてことは思わないけど、誠心誠意真心込めて
          おつきあいさせていただけばソコソコのものは出来るんじゃないだろうか。そんな
          こんなで屑籠・・・・・・・・・・・・

          しばらくは恋をしてみよう・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

           

          時は、とりとめなく過ぎ行く

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             忙しいのか忙しくないのか、それが問題だ! ナンチッテ。このところブログから
            遠ざかっているなぁ、そはなにゆえ? 「そは」の使い方が間違ってるか? そは何者?
            って具合に使うのかな。かすかな記憶のモヤの中、なんとなくそんな感じがする。気が
            進まないってわけじゃない。他のことに気をとられて忘れているんだい。他のことって?
            いやいや、取り立てて言うほどのことでもないんだわさ。あ〜ぁ、お腹が減った。今
            9:30だけど夕飯がまだなのよね。


             一階のお店に長らく鎮座していたちんこいアンプを地下に移動。どうです、小さいでしょ。
            エレキットの真空管アンプは身は小さくてもmazdaluce3000師の手によって改造されとる。
            理論はよくわかんないけど超三結とかなんとか。音はイイでっせ。ちなみに左は師の
            オリジナルアンプ、右はヤマハ B-2(これも師によって改造されとります)。両雄に
            挟まれて縮こまっているのかエレキットよ。

             それと同時にスピーカー切り替え器も移動。これも一階にあったのよね。店と工房と
            試聴室に3組のスピーカーがあるから切り替えなければならんの。一階にあると階段を
            登って切り替えるから疲れるんだ。

             こんなもんです。黒ポッチ押すと4組みのスピーカーが切り替えられる。ま、どうって
            ことはないんだけどね。ずいぶん前からここに置きたかったんだけど配線作業が面倒で
            放っぽらかし。地下の机の上にあるから便利このうえもなし。早くすればよかった。

             ついでにパソコンラジオを繋いだ。師曰く「LINAX(確か)が最良」、だけどオイラ
            のはMAC。しかもイヤホン端子からだから音は良くない。以前聴いてたことも
            あったんだけどなんかこもったような音で外していたの。でもね、200〜300枚のCD
            なんかすぐに聴き慣れてしまうし、5連奏デッキでも掛け替え面倒、レパートリーも
            広がらない。BGMなんだから音質のことはいいではないか、と鷹揚に構えることが
            出来るようになった。音質は良くないかもしれないけど、このアンプで小音量ならば
            問題はありませぬ。こんなことなら、もっと早くすればよかった。




             アタイの授業じゃないけど、学生の作品展が学外で開催された。学内展の什器を
            運んで組み立てる。場所は、千駄木。小体なギャラリーです。


             作業時間は早いだろうと思っていたけど、異常に早く終わってしまった。ハイヒール
            は一時間もかからなかったらしい。三日間の展示が終わり、片付けにいたってはおよそ
            30分で完了。何ごとによらず作るのは大変だけど壊すのはカンタンだ。とはいえ、
            原発だけは別、作るのも壊すのも途方もない時間がかかるってんだから始末に悪い。

             そんなこんなで先週はバタバタしてた。で、今日は中目黒のレストランの外壁の
            打ち合わせに赴く。ずいぶん前に打ち合わせして、古材を入手し、大体の図面を描き
            モデルも作ったんだ。それがコレ

             見直したらすっかり忘れてて、材料のサイズも違うじゃんか! なんてこったい、
            こんないい加減な図面でよくもまぁ打ち合わせしたもんだ。

             かなり大きな古材一枚を6分割。全部で10枚あったからおよそ60枚の薄板を
            学校で製材してFACTIOに持ち込む。この60枚を大きな外壁にメチャクチャに貼るんだ。

             古いパソコン、イラストレーターで壁面に部材をはめ込んでゆく。あぁ、もうすでに
            頭は限界に。なんたってこういう几帳面な仕事は向いてないからね。どこがどうなったか
            わかんなくなっちゃう。計算しながらメチャクチャを考えるはなかなかムズイ。大きな
            部材だけならば問題は少ないんだけど、次第に隙き間が少なくなり部材はだんだん
            小さくなる。長さ88センチと132センチの板を最初はそのまま使えるんだけど。
            まずは周囲から攻めて、真ん中に行くに従って空白は小さくなり、何分割かして、
            あっちゃこっちゃに当てはめながら、の作業は疲れることこの上もなし。
            頭がとろけそうになるんだわさ。

             図面は1/20、原寸を測り、電卓で計算して、イラストレーターで図化。ソロバン
            片手にパソコンってなんだか変。とは思うものの、アタイはイラストレーターでしか
            図面は描けないから、どうしようもないんだ。1/10縮尺ならばカンタンなんだけどなぁ。

             作業途中で電話があった。話し終わってパソコンに向かい・・・・・・・あらら。
            わかんなくなっちゃったじゃんか。一気にやらないとダメなんですわ。でもさ、一気に
            やると疲れもイッキだもんで、どうしたもんか。放電に充電が追いつきませぬ。
            ってことで遅い夕食の合間「ゴジラ」を観る。昭和59年とか、けっこう我慢して観てた
            んだけど、途中で限界。これなら一番最初のゴジラのほうがよかった。ストーリーも
            俳優もひどい(もちろん良い俳優もいるけど)。田中健、沢口靖子、エモヤンがなぜ
            出てるんだ。こんな映画作ってたら落ち目になるのもむべなるかな。あぁ、邦画は
            何処に行くつもりなんだ。

             高所に位置するこの外壁、おそよ15年程前に作られしが、いまでは腐り放題で、いつ
            部材が落ちて来るかわからにゃい。ちょうど建物そのものの改修工事に合わせて足場を
            作り、外壁を作り直しちゃおうってことで。もともと、外壁はなんとかせにゃならぬ
            と思っていた友人は無謀にも私に相談。二年間だけテント看板の会社に勤めたことは
            あるけど、それも今は昔の話でさ。とはいえ、誰も相談する人がいないんだったら
            こんな私でもやらねばならない。親しい友人でもあるからして。その足場を組む方と
            話し合ったワケ。

             工事はまだ先だけど、ある程度見当のつくところまで進めとかなくてはならない。
            進めた上で、時間を置いて見直して、その繰り返しでミスもなくなり新しいアイデアも
            生まれるってもんだ。どうだい、真面目なとこもあるんだぞ。

            ってなこと言いつつ今日も暮れ行くのダ・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

             

            赤マル急上昇

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               いつも気が付くのが遅い店主、渡辺淳一を今になって見直し惚れましたわ。
               創刊以来愛読し続けた「噂の真相」でたびたび俎上に上げられていた程度しか
              知らなかったけど、亡くなる前にさんざん噂されてた「噂の真相」を、近頃みんな
              元気がない、あのような雑誌がなくなってさみしい、みたいなことを言ってたらしい
              ことを知るに及んで気になり度急上昇。で、今さっき「失楽園」を観たわけ。

               役所広司と黒木瞳、両方共に既婚だけど恋に落ちた。役所の友人であるところの
              寺尾聡が酒を飲みつつ「それにしても、恋がしたい」とつぶやく。みたところ50代の
              風采が上がらないくたびれた男が恋をしたいと。いいセリフだ。これがほとんど最初の
              シーン。わかるなぁ、そのココロ。で、肝心の主演二人。ラブシーンもいい、監督は
              森田芳光だけどエロさが充満してまことにけっこう。やるじゃんか。二人とも大人
              なんだしセックス大好きなんだ。まさに身もココロもとろけるようなひとときは
              観てるほうも清々しささえ感じるってもんだ。

               再三、どうせ死ぬんだから思いっきりやりたいことやってみたかった、みたいな
              セリフもある。これまた友人が死に際して「恋もない枯れ野」との心境を辞世の句に
              するんだけど、後悔したって遅い、死の床についてちゃもうなんも出来ないからね。
              この、どうせ死ぬんだからという言葉はアタイもよく使う。だから、そのお心うち
              お察し申し上げるってなもんだ。

               最後はどうなるんだろう?なんて思いながら観てたら、やっぱ死ぬんだ。著者に
              してみれば中年のピュアな恋の結末はあれこれ考えたんだろう。それはそれで
              わかるけどアタイは心中なんてしない、断じて。考えてみれば道ならぬ恋は悲劇
              が本道、間違っても喜劇にはなりにくいんじゃないかしら。あるのかな、喜劇的な
              不倫(この言葉大キライだけど、あえて使う)って。明朗快活元気なお笑い不倫。
              いいんじゃないの、そういうの。アタシャ好きだなぁ。尊敬する斉藤綾子嬢が
              「マジメにセックスしなさい!」って怒ってたけど、マジメ=セックスの結びつき
              の意外性に驚いたのと同様な感じなんだわさ。

               暗くジメジメはいけませんや。あらゆるものにお笑いを付与したい、マジメに
              真剣に笑いながらセックスする、なんて素晴らしいんだ。そう思うのはワイだけか?
              いやいやそうではあるまい、おのおの方、お出会いめされ、なんちって。常識を
              疑ってかかるのが店主ですからね、なにごとによらず逆逆と考えるのが習い性に
              なってるんだわ。これでいままでやってきたし、これからも(残り少ないんだろう
              けど)やってゆくの相違なし。

              短いけど、今日はここまで、なんせそこそこ忙しいから・・・・・な、店主でした。

               

              恋や恋なすな恋

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                 なんだかなんも手につかない落ち着かない日が続いてて、ブログを書く気持ちの余裕が
                ないの。これは一体どうしたことか? そのワケはなんだ?? ココロを乱す私的なこと
                なのか、そんなお年頃なのか、新宿で発生した焼身事件のことなのか、そんな感じが
                ボンヤリ。でも、よく考えてみたらここんとこほとんど毎日学校に行っててさ、学校に
                居る3時間と往復2時間でほぼ半日費やされて、これじゃ余裕はなくなるわな。月曜日の
                午前中と木曜日の午後はレギュラーの授業、ほいでもって火曜と水曜の午後は
                イレギュラーの授業参加、出掛けないのは金、土、日の三日間だけってんだから。

                 そんな毎日に慣れてないから生活のリズムはいともカンタンに崩壊し、ささやかな
                仕事でも山積放置プレイ。事務所、店ともに散らかり放題で、それがグダグダに拍車を
                かける。負の連鎖って奴だな、これは。さらにですよ、古本屋で買うた一冊の本が
                いけません。次々と観たい映画が紹介されて、アマゾンで入手し、届けばすぐに観たくなる
                のが人情ですから、空いた時間についつい。そんなこんなで、こんなことしてる場合じゃ
                ないと思いつつ、安きに流れるアタイだ。シャンとせねばと思いつつも、昨晩も横に
                なりながらDVDを観てしまった。

                 で、本。

                 2006年に出版、映画、演劇、TVドラマ、お笑い、あれこれテンコ盛り

                 気になるモノをメモってアマゾン検索、手頃なとこから片っ端、届けば観る、後に
                再読する、これの繰り返しだ。

                 2006年だからさ、私にはつい最近だからさ、観てないものばかりだからさ、観たく
                なってもしかたない。小林信彦さんは最も信頼する方だし。彼のスバラシイところは
                読めば観たくなるってことなの。なんでしょうね、この感じは。筋をダラダラ書く
                なんて失礼なことは一切ない、テーマにまつわるあれこれを散りばめた文章は短くも
                なんとも興味をそそられる。

                 「ブラッド・ワーク」「トゥルー・クライム」「デブラ・ウィンガーを探して」
                「めぐりあう時間たち」「白いカラス」「奥様は魔女」「ゆれる」の7本をまず。
                おわかりのようにクリント・イーストウッド、ニコール・キッドマンが主軸だけど
                香川照之も入ってる。イーストウッドの名監督ぶりは誰だって知ってるだろうけど
                著者はニコールに肩入れはなはだしく、そんなに言うなら観てみようじゃないか、と。
                ナルホド、なかなかかなりイイんですわ、彼女。そして、香川照之。前々から凄いと
                思ってたけど「ゆれる」を観てますますなんだわさ。相方のオダギリ・ジョーも負けず
                劣らず素晴らしくって、こんな邦画なら映画館まで行くのになぁと思わずにはいられない
                アタイ。もっと観たいけど歌舞伎に行っちゃったから、どうなのかしら。映画やドラマ
                にも出てくれるのかしら? 出ないんだったら歌舞伎観ちゃうぞ。そんな気持ちで〜す。

                 ま、そんなこんなのプチ映画三昧なんだけど、ふと「恋や恋なすな恋」という映画
                のこと思い出してね。昔、私の中の麻雀全盛期に友人で後に学校長になったT田さんが
                牌を捨てるときに度々口にしたのがこのタイトル。なんで彼がそれを知ってたのか、
                問い質すこともなく時は過ぎ行き、わからぬままに幾星霜。「恋や恋なすな恋」と
                三つも恋が出て来るけど、意味がさっぱりわからんのですわ。でね、ネットで調べて
                みたんだ。
                 
                 「なすな恋」は「恋するのではないぞ」の意味だ。この映画の題名「恋や恋なすな恋」は
                文楽や能、清本で有名と言う「恋よ恋われ中空になすな恋」を縮めたもので、「われ中空に」
                を省いている。「われ中空に」は「自分をうわの空に」であるから、「恋よ恋われ中空に
                なすな恋」は「恋よ恋、自分をうわの空にさせるな」の意味となって、「なすな恋」の
                「恋はするな」とは少し意味が違って来る。

                 
                なるほどね、そういうことなんだ、といたく納得したアタイ

                 だが、「中空」を「中途半端」と捉えると、「いい加減な恋をしてはならない」で、
                こっちの方が正しいように思える。映画の題名として「恋よ恋われ中空になすな恋」は
                長過ぎる。それで「恋や恋なすな恋」としたのだろう。またそれで充分に公開当時の
                人たちには元ネタがわかったのだろう。「恋よ恋われ中空になすな恋」には続きの
                文句がある。この表現が出て来るオリジナルは世阿弥の『恋重荷』で、その後半に
                「恋よ恋 我が中空になすな恋 恋には人の 死なぬものかは 無慙の者の心やな」
                とある。

                 
                なるほどね、そういうことなんだ、世阿弥かい

                 「恋には人の死なぬものかは」は、「死なぬ」であるので「恋で人は死なない」の
                意味に思う人が多いだろうが、「ものかは」は反語だ。そのため、「恋で人は死ぬもの
                ではない」を否定し、「恋によって人は死ぬこともある」との意味だ。となれば、
                「恋よ恋われ中空になすな恋」は「いい加減な思いで恋などはするなよ」で、「なすな恋」
                の「恋はするな」と意味が通じる。

                 
                なるほどね、そういうことなんだ、よ〜くわかりましたわい。
                 それにしてもこのブログの筆者には感心感心また感心。世の中ニャ凄い方が居るもんだ。

                 1962年に東映で作られたこの映画、まったく不思議な映画で気にはなっていたの。
                脚本・依田義賢、監督・内田吐夢、主演・大川橋蔵、嵯峨三智子。特に嵯峨三智子の
                妖艶さはただならぬものがあり、それがもののけに憑かれてっていうんだから魅力は
                倍加される。眉目秀麗な橋蔵も受けて立つに充分だし、演出も舞台的で映像としての
                魅力も満載だ。まさか、T田氏がこんな映画を観てるわけはない、けどタイトルを口に
                する、その不思議な感じが忘れられなくて。でも、こうして元ネタがわかれば、映画
                ではなく原典から知ったんだろうという推測はできて、腑に落ちたってワケなの。

                 古来、人は恋をし、それを詩にしたり和歌にしたり小説にしたり唄にしたり映画に
                したり、永遠に尽きる事のない人類最大のテーマであることは異論を唱える方は
                少ないだろう。それほど偉大な存在である恋、一度落ちたら生活丸々そのことだけに
                費やされなにも手に付かなくなるものではないのか。いっときも離れがたく、頭から
                離れる事はないだろ。そう思っているコチトラ、たまに学生に彼氏彼女のことを聞く
                んだけど、案に相違して淡白なんだな、これが。昨日も、男子4人とあれこれのエロ
                談義してみたら、SEXにあまり興味はなくデザインの勉強の方が大事だと言うんだ。
                えっ? マジで!! と言う当方に、答えて。う〜む、どうやらマジなんだな、これが。
                何度しつこく聞いても顔色一つ変えないんだから。

                 それに比べ女子群は元気そのもの、エロい突っ込みにも充分受けて立てる。昨日の
                授業に着ていったのはスケスケのレディースの編み編みセーター?で乳首が丸見えの
                ものなんだけど、そんなアタイの乳首を見て突っ込みを入れて遊ぶのは女性群ばかり。
                男どもは遠目に見るばかり。こういう男子では、好奇心興味ともに旺盛な女の子には
                物足りないんじゃないか。そして、それは作品にも反映されるんだろう。現に、高い
                評価の作品はおおむね女生徒のものだからさ。ま、私は隠居の身だし、近いうちに
                退職するからどーでもいいんだけど、マジメ控え目で臆病な男の子の行く末が
                案じられるんだわさ。

                大丈夫かいな、若き男どもよ・・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

                 

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