魅せられし品々

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     旅に出ればなにかしら買いたくなるもんだ。それは友人へのおみやげってことも
    あるし、単に欲しいだけってモノもある。今回の訪欧で一番の衝動買いはRONSONの
    ライター。

     であることは記事にした。そんな私はすでにDUNHILLを持っている。
    made in switzerland。

     これは昔ながらの石を擦って着火するタイプ、対するロンソンは電子着火。
    石着火はきわめてスムーズ、電子着火式は強く押さなければならないし、着火音も
    大きいし、押し始めにガスが噴出する音が聞こえる。なにごとも比較してこそ、
    そのものの特性や真価がわかる。石着火はスムーズで洗練されているけど石を
    交換する手間がかかるし構造も複雑にならざるを得ない。一方の電子着火、
    メンテナンスフリーではあるけど無骨な感は否めない。どちらがいいかは人それぞれ
    だけど、とにかく両方を試してみなければ違いはわからない。

     そして色の違い。ロンソンはシルバー、ダンヒルはゴールド。漆着色仕上げの
    ものもあるけど金銀は金属仕上げの代表格。時々の服装や気分や状況によって
    使い分けることができる。そこで、今や全盛の100円ライター。ダンヒルは
    オークションで3000円で入手し、その後一万円弱でメンテナンスしたから
    合計13,000円。対するロンソンはオマケしてもらって140€、円に換算すると
    18,760円。で、100円ライターもあるってわけだ。

     価値を理解し欲しいと思うモノ、こだわりは人によって様々、ライターなんて
    100円で充分という考えを否定はしない。洋服にこだわる食事にこだわる音楽に
    こだわる、こだわりの対象や程度は色々あるもんだ。要は、自分のスタイルって
    ことだ。自分が生きてゆくために必要なモノやコトである、という意思というか
    なんというか、とにかくなんでもイイってことじゃなく、これでなけりゃダメ、
    そこまで言わなくても出来ればコレがイイっていう考えの持ち主に私は惹かれる。
    対象がなんであれ、だ。


     そんなアタイは、こんなものも買うた。二回しか会ってないけど友人となった
    AKUMA嬢のアクセサリー。フランスかどっかで入手したとかいう貝に穴をあけて
    革ひもを付けてあるだけ。いたってシンプルで繊細。これならアタイだって使えそう。

     作者のAKUMA嬢はウガンダ生まれ、洋服のセンスはきわめてケッコウ、今回
    会ったときに生まれて初めて頬チューされてしまった。友人と小体な店を営む彼女、
    AKUMAって言葉は日本じゃ悪魔(デーモン)だと言ったら大受けで、予想に反する
    好反応にこっちも思わず楽しくなってしまった。

     その店でコレも。アフリカ産の石(溶岩かなんかだろ)をザックリ削って、入浴の
    際かなんかに踵(かかと)でも磨いてくれということだろう。この程度なら身振りで
    充分。

     ベルリンの店主Lindaがくれた。百円ライター毛糸編みあみ。ブタかな?


     吸盤付きクリップ。クリップ部分を90度に動かすと吸盤内が真空に。吸着力は
    極めて強くガラス以外のところでもOK。かさばらず、安価(1.3€)だし、こんなの
    あまりないし、どこでも使えるし。このおみやげ、差し上げた方々はみな喜んで
    くれた。

     そしてコレ。見ての通りネズミ取り。しかも古典だ。しかも小さい。今どきこんな
    ものに引っ掛かるネズミなんているんだろうか?

     レバーを持ち上げて

     入口のレバーに掛けてグィ〜と後ろに

     餌を付ける板の凹みに引っ掛ければOK

     それにしてもこの小ささは如何なもんだろう。去年目にした金物屋で発見して、
    入手せずまま。ふと思い立って訪れて、ショーウィンドーにあるマウストラップが
    欲しいと言ったら、引き出しから新品を出してくれたんだ。てっきり、古いものを
    買おうと思ってたアタイはいささかビックリ。現役なんだ、現役なんですね、と
    ツッコミを入れたくなったけど肝心の言葉が通じそうになく、あえなく降参。
     この逸品、東京じゃムリだろ。なんたって小さい。入口の巾は4㎝しかない。
    これじゃ子供しか捕らえられないだろ。それともあっちじゃこれで充分なのか?
    聞きたい事は山ほどあれど聞きただすこと叶わず・・・持ち帰った次第。

    ガラクタに囲まれてご満悦・・・・・・・・・・・・な、店主でした。
     

    なにごとによらず終わりは来る

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       時差ボケなし、と思ったのもつかの間、やはり・・・。ここんとこ朝起きられず
      今朝も約束していた友人の奥様にご迷惑をおかけしまった大失態。以前、大量な布を
      いただき、その中の数種を欲しいとのご要請、その確認が今朝、アタイは夢うつつ、
      どこからか声がする・・・・・・・・・二度目でハタと気付き、あわてて起きて
      そこらへんの服を着て表に出れば、ランボー怒りの鉄拳とばかりに妙なる美嬢が。
      平蜘蛛のように平伏低頭で車に積んであった布を確認していただいたのだ。なんて
      こったい。

       さておき、忘れないうちに訪欧記を仕上げなければならない。低温ブタペストの
      最後の仕上げ、小高い山というか丘と言うか、とにかく登ることに。

       ケーブルカーに行くには河を渡らなければならず、そのためには橋を渡らなければ
      ならない。友人夫妻はこんな感じで楽しそう。素手を握り合って、寒くはないのか?
      どこもここも見応え満載の風景なれど、風寒し。

       きっと有名なんだろうなぁ、このケーブルカー。三階建てでいかにもな佇まい。
      終業ギリギリだから往復チケットは買えず、帰りは歩きでってことに。イヤな
      予感が押し寄せて来る。

       ズイ〜と押し出されるための窓の金具。鉄をたわませただけのシンプル構造。
      四角い穴になにかが引っ掛かるんだろう。この窓、最初は開いていたのね。この
      寒いのに開けとくなんてトンデモナイ! 慌ててしまるアタイ。



       高度に伴い寒さ強しの感・・・・・・気のせいだろう、か? 見晴らしは最高。

       昇り切ったところに建物。いやまったくスゴイのです。

       いやまったくスゴいのです。

       河の反対側はこうなっとるんだ。小高い丘に家々がみっちり。左奥の丘は富裕層の家
      だそうだ。それにしても、これだけの建物が残ってるということは爆撃を受けなかった
      のか、この街は。

       あの黄色い家を買って欲しい、テラスかなんか作ってさ、アタイを泊めてくれ。
      なんて冗談を言う。クリスは古い家を改装するのが大好きだから、ひょっとすると
      ひょっとしてなんてことあるかも・・・・・・・ないだろうけどさ。

       いよいよ帰り・・・・・・・? でも。そうでもないらしいだな、これが。なんか
      歩みがノロいのよ。アタイはもう寒くってさ、とにかくどこでもいいからアッタまり
      た〜いとそればっかり。それにしても並木の素晴らしさはどうだ、緑の季節になったら
      見事な風景だろう。爽やかな風に緑の葉がサワサワと奏でるんじゃないか、
      カイトワインも美味しいし食事だってイイ、建物や街並だって抜群だ。ココに来る
      んならやっぱ暖かくなった5月ころ、あるいはそれ以降に限る。

       フラフラとそぞろ歩きのクリス夫妻に従って、こっちはトボトボ。耐えかねて珈琲を
      所望し、道ばたの喫茶店に突入。暖かくてメガネが曇る。う、うれしいなぁ、この
      暖かさはなによりのご馳走おもてなしじゃ。当地での珈琲はミルクたっぷりが主流、
      日本とは大きく異なる。ようやくアメリカンコーヒーなる呼称であれば黒い珈琲が
      供されることを知り、それを頼む。以前、クリスにそのことを言ったら「一番不味い
      珈琲をなんで飲むの?」なんて顔されちまった。彼は日本に来てもアイスコーヒー
      なんか絶対に飲まず、ホットオンリー。ま、それは文化の違いで文句はないけどさ。

       店内は禁煙、外で一服二服、ようよう暖まったところで平地に降りる事になった。
      河とは反対側の階段を降り、ほどなくして地下鉄を発見。

       相変わらずカッコイイ駅、構内にこんなもんがある。

       古い骨格が保存されていてこの通り、グルリと床から床までアーチになっとるんだ。

       見れば工具なんかもあってさ。こういう作りになってるのがよくわかる。

       とにもかくにもこうして寒い一日が終わった。後は、電車に乗ってウィーンに
      帰るだけ。終わらないコトはない、なにごとによらず終わりは必ず来る。こんな、
      当たり前のことを改めて思うアタイ。それにしても、ブタペストの街は良かったな。
      今まで、ウィーン、ベルリン、プラハ、ミュンヘン、ストックホルムといくつかの
      都市の一部を歩いてみたけど、ココが一番だ。もっと他にもイイとこもあることは
      わかるけど、アタイの中ではなんたってブタペストがベスト。

       とはいえ古いものばかりだから新しもの好きには物足りないかもしれないけど。
      と、ふと思い立ってネットで調べてみる。前回の記事のタイトルが間違ってるじゃん。
      正確にはBuda-pest。情けないのう、よう調べんもせずに書くなんて。直そうと
      思ったけど、ま、これもいいかと。知識がない奴がよく書くな! と思われても
      しかたない。事実そうなんだからさ。

       さてと、まだまだ続く訪欧日記だけど・・・・・・・・・な、店主でした。

       

      刻々と冷えゆくBUTA-PESTO

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         市場を離れ、街中を散策、それにしても寒い、寒すぎるで。カラダの芯まで冷え
        切って、早く暖かい場所に避難したいのココロなのだ〜。

         ふと目にした洋服屋さんに入れた。あ〜ヨカッタ。友人夫婦が目をつけたこの店。
        店内は布で覆われて◎、商品も値段も手頃でデザインもイイ、ここにこんな店が
        あるんだ、なんて言うと失礼だな。ハンガリーという国、ブタペストという街の
        ことなんかなんにも知らないもんな。イイ店だけど、残念ながら女性専用、アタイが
        着れそうな服はナイ、ってことで目についたのが入口に置いてある自転車。

         これだ! 別になんてことない自転車だと最初は思ったんだけどさ、よく見て
        見るとチェーンがない。ベルトもない。あるのは二本の紐。ん!

         待てよ、ペダルの根元が円形じゃない。おむすび形だ。おそるおそる車体を
        持ち上げてペダルをこいでみると、どうも違う。はは〜ん、こりゃ、きっと、
        ペダルをクルクルこぐんじゃないぞ。ちょっとこいじゃ戻すんじゃないか。
        店員はうら若き女性だし、洋服屋さんだし、聞くことためらわれて、いざさらば。

         ふたたび地下鉄に。ありゃ〜天井が凄いことになってる。

         こんなのもあるしな。どうにも文化の重みがかたちに現れてる気配濃厚でさ。
        装飾過多でもナシ、まるっきりのモダンでもない。どうにも圧倒されてKO寸前だ。

         そしてまた地上に。喫茶店のファサード。鋳物製のテント昇降装置(なんて言うの
        これ?)がみごとでウットリだ。窓ガラスは上下二段、プラハでも見たこの作り、
        まごうことなき上下スライド方式に間違いないだろう。こんなデカイ窓が夏は下がって
        きて涼風を呼び込むようになっとるんだろう。それにしても、寒い。暖かい季節なら
        と思わざるを得ない。

         番地案内? 細かく区割りされていてオモシロイなぁ、でも寒いんだ。

         あちこち探しまわってようやく辿り着いたのがココ。有名な建築らしく友人クリスは
        どうしてもここに来たかったらしい。ユーゲントシュティール様式ここに在り。
        まったくみごとで文句ナス。とにかく、早く中に入って暖ったまりて〜〜。

         照明だって、これだもんなぁ。かっきーな〜。

         中に入るとドワ〜〜〜〜〜〜ン。なんじゃこれ、天高く馬肥ゆる秋、関係ないけど。
        どーりで地下鉄の天井がバカに高かったワケだ。人に歴史あり、これも関係ないけど。

         エレベーターを昇ると、こんな照明が。細かい飾りがビッシリ、でもモダンの香りも
        充分、むろんステンレスだろう、ステンレスは当時最新の素材だったからな。これが
        いわゆるアールデコの象徴であることに異を唱える方はいないだろう。NYの
        クライスラー・ビルなんか丸ごとステンレスだったもんな。

         ようやく入口か、早く暖まりたいよ〜

         でもって室内。もう、なんも言えませぬ。お見事限りなし。聞けば昔はボールルーム
        だったと。ダンスホールのこってすわい。

         窓は丸い輪っかでいっぱいだい。これってトルコかなんかの影響か?と聞けば、
        いやいやさにあらず、ウィーンでもこういうデザインはある、その昔、ハンガリーは
        ハプスブルグ家の領地でオーストリア帝国の一部だったからね、と友人クリス。

         テーブルの脚も鋳鉄製だ。3つのパーツを中央でかしめている。いいな〜これも。
        見えずらいけど革張りソファには真ちゅう丸頭の鋲がぎっしり、これもええでっせ。
        テーブル天板は当たり前に大理石。トカイというワインを飲み、軽食をパクつく。
        ワインを飲んでも一向にカラダは暖まらない。もう当分ここを離れたくないと
        思うものの、どうやらクリスはケーブルカーで山の上に行きたいらしい。ひょえ〜、
        この寒いのにさらに高地にゆくのかいな。カンベンしてくれ、と言いたいのは山々
        なれど、せっかくの歓待ならば無下に断るわけにもゆかず、ココロとカラダが
        引き裂かれそうだ。

        そしてアタイは厳寒の山に向かうのだ・・・・・・・・・・・な、店主でした。

         

        厳寒の地 ブタペストへ

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           ベルリンからウィーンに戻り数日を経ずしてブタペストへ日帰りの旅。まぁ、
          こっちも油断して、モモヒキ?も穿かず、サックリな軽装も悪かったんだけど、いや
          その寒いのなんのって、雪こそ降ってはいないものの震え上がってもうた。景色、
          建物、室内、ショップやファッションも素晴らしいんだけど、なんせ寒くって
          どうにもこうにも、こたえられませんや。あぁ、温泉に浸かりたい。


           そんな先行きの寒さなど思ってもみない能天気なコチトラ、朝も早よから駅で一服。

           電車に乗り込めば、この通り。ブタペスト行きの車内天井は、なんと織物!

           同行のクリスは今日のスケジュール調整に余念なし。まったくの大名気分。
          ガイド付きってことはこんなにも安心なもんか。

           ふと窓の外をみれば、風車が林立しとる。いいなぁ、原発なんてないんだもん。

           遠くに線路を渡る人々、もうハンガリーに入ったのだろうか? 手前の屑入れも
          スバラシイ。鋳物だもんな。

           3時間弱でブタペスト到着

           なにやらスゴイな、この駅は

           どひゃ〜、アナログ感満載の車止め?に興奮、ヨダレ垂れ流しのアタイだ

           雑然としていて気持ちイイんだ、これが、まったくもってスンゴイ!!

           でもってチケット買おうと。ユーロ圏ではないから€使えず。でも、ガイドが
          すべてやってくれるから呑気に傍らの女性を見れば、「!」。ブーツのファスナーが
          ぐぃ〜と上まで伸びとるやんけ。わかりますか?コレ。つまり、脚を差し入れる口
          というか上部の丸い筒状までグルリとファスナーってこと。履かないときにホコリが
          入らない? ま、そんなことじゃないんだろうがカッコいいじゃんかい。脇の
          スニーカーもいい、ストッキングもいい。写真を撮ってたら「あら?」みたいな
          感じでしばしの国際交流。

           ついぞ見かけなかった自販機発見! だからなんなんだ?

           地下鉄に降りるとこ。なんか凄いなと感心しきり

           車内中央の手すり。三本のステンパイプの熔接が美しくって

           とある駅で下車、行く先は皆目見当もつかない。壮大な建築第二弾! 一体
          どうなっているんだ。

           エスカレーター昇り切ってパチリ。上部の円盤は? 友人クリスが言うには
          下の照明の反射板だろう。ホントか? と怪しむアタイ

           カリグラフィ? はたまた抽象絵画のような壁面タイル。う〜む・・・・

           地上に出れば新旧対決の趣き。ウ〜ム・・・・・・・・・・・・

           ウ〜ム・・・・・・・・・・・・・

           車道と歩道の間に柱、上部には両側に開くテント。聞けば、夏はレストランで
          冬はテントを畳んで駐車スペースになるとのこと。まことにけっこうなアイデア。
          やるなぁ、ブタペスト。

           屑入れにチンコイ灰皿がくっついとる。ウィーンでもベルリンでも、そして
          ブタペストでも、街中のいたるところに灰皿が用意されている。外ならば
          どこでも喫煙OKってことの証。現に、店前、歩きながらのタバコ吸いは無数に
          存在する。

           こんなのもあるし

           こんなのもね、あるんだ。いや、これは冗談。実は、単なる車道歩道の仕切り柱の
          凹みに吸い殻をねじ込んでるだけで、これは反則技だろう。

          なかなか街中に辿り着けませぬ・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

           

          続・ベルリンはまだ良かったんだ

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             なにがまだ良かったんだ、ベルリンは? ってことを書き忘れた。早く言やあ、
            ブタペストの寒さに比べたらベルリンとかウィーンの寒さなんてどうってことない。
            ましてや東京の寒さなんか序の口。そりゃ北海道や東北の寒さも厳しいんだろうけど
            体験しとらんからね、こちとら。

             で、ベルリン。去年と同じとこを経巡ってきた。まずは友人達が共同経営している
            デザイン学校に行き、同じ建物内にあるホテルで荷を降ろして、MANYFOLDに。

             去年はたまたま発見だったけど今回は二度目だから「裏を返す」ってことになる。
            行った時はあっちの店主不在、しばらくして帰ってきたらば「ヒロ!」と、アタイの
            名前を覚えちょってくれたんよ。どうやらケーキをデリバリーしてきたらしい。

             そのうち彼女の子供が帰ってきて店内でウロウロ、と思えばテーブルで何やらお絵書き。
            ケーキが欲しいと言い出すわ、お客さんも来るわ、来るわ、お客さんに飲み物を運び、
            ケーキを切り分け、その合間に我々と話し合い。なんだか悪いような気がするけど、
            そんなことないっすよみたいな感じだからついつい長居しちまうワケだ。

             タバコを吸いに外に出るアタイを気遣ってテーブルと椅子を表に出してくれ、珈琲の
            お代りを聞いてくれる。なんて優しいんだ、なんて歓待なんだ。そうこうしているうちに
            子供連れの夫婦がやってきて、隣室でなにやら相談。覗いてみればシルクスクリーンの
            枠を持ち出して印刷伝授なんだ。聞けば、子供の誕生会でTシャツにプリントして配る
            ってことで、アタイは驚いた。きっと絵柄も子供自身が考えるんだろう。そうか!
            この店は、雑貨を売ったり、絵を展示したり、喫茶やケーキ

            を供するだけじゃなく、催事会場だったり、モノ作りの工房だったりするわけ
            なんだな。一つじゃなくてたくさんのいろいろな目的や使い方をする店なんだな。
            う〜む、それってイイじゃんか。多角経営かい。小さな儲けを積み重ねての商い。
            なんか新しい気がする。そんじゃ、アタイのFACTIOでもやってみんべえ、とね。

             帰ろうとした店の入口でタイヤ敷物発見。細いから自転車だろう、コレ。

             で、数軒隣りのボタンの店に。去年買ったボタンと同じものを二個買い。店内を
            見回せばショーケースの中にライターめっけて、見せてもらう。数個のライター、
            ここは古い物ならボタン以外も扱っている。そん中の一個に釘付け、目が点になる。

             まごうことなきシルバー、くっきりと925の刻印が眩しいぜ。欲しいなぁ、コレ。
            幾らと問えば165€と。う〜ん、高いじゃないか。ざっくり円換算すれば23000円。
            どうしよう、裏を見ればロンソンだ。しかもmade in w-germany。こりゃ迷うぜ。

             
             なにが良いかって? 上の出っ張りがタマランじゃないっすか。フツ〜は出っ張り
            なしの四角内に収まってるもんじゃないの。でも、これは違う。堂々とここを押せと
            出っ張ってる。モダンデザインの伊勢神宮、音楽で言えばビートルズかバッハか、
            それがバウハウス。生まれ故郷のドイツで出会った逸品。この出っ張りはまさに
            モダンデザイン誕生から遠くない頃のカタチと私は見た。これが四角なら買わない、
            この一見なんでもない出っ張りが私のエモーションを鷲掴み。

            そんなアタイに追い打ちだ。中はキレイにメンテされてる、ガスは市販品で大丈夫! 
            とニヤリ。でもなぁ、2万越えはどうなんだろ。でね、一晩考えて明日また来るわ、
            と言ったのよ。そしたらさ、明日は休みだ、ライブをやるんだとかなんとか。げっ、
            ここで決めろってのかい・・・・・・・・・。こんなボタン狂いの店主の言うこと
            ならば信用しようじゃないか。で、財布から160€を出し小銭を漁ることしばし、
            おもむろに店主は20€紙幣をこっちに戻してニヤリ。25€サービスしようという。
            ありがとよ、せっかくのお申し出ならば受けて立とう、なんてこと言いつつ買うて
            しまったんだわさ。


             前の晩、ベルリン映画祭が開催されていることを知らされて、話しの中にケン・
            アダム
            が。知らんぞ、そんな人。話しているうちに「バリー・リンドン」を
            手掛けた人であることを知りビックリ。その展覧会がSONYセンターでやってる、
            ならばってことで観に行き、途中で壁に遭遇してパチリ。


             あ〜ぁ、またしても長文になってもうた。
             
             ゴメンね許されて・・・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。

             

            ベルリンはまだ良かったんだ

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               ウィーン到着二日目にしてベルリンに行く。当初の予定通りで、切符はウィーンの
              友人に頼んであった。前回は飛行機で行ったんだけど、電車も良かろうってことで。
              いわゆる寝台列車、10時頃出発で6時到着だから、およそ8時間。気もそぞろに駅に
              着いたわいいけど、番線に不安が残る。いやね、12という数字はわかるんだ、でも
              ホームに行ったら12bとなっとる。このbが不安の種。インフォメーションで聞けば
              そこで間違いなさそう、でもな・・・・・・。しかも、アタイはベルリンに行きたい
              のだが、行く先にBERLINの名前はない。ふ〜む、どうやら、これは同じ列車で別の
              行き先が連結されとるんだろう、と見当をつけて、ホームで待てども電車は来ない。
              もう15分前だというのにですよ。

               ギリギリになって列車は到着、乗車口のスタッフに確認するとベルリン行きは前の
              車輛と指示を受けて急ぎ乗り込む。親切にも客室に案内してくれてホッと一息つく。

               三段ベッドが両脇に、それぞれにハシゴ

               下段の背もたれが持ち上がり、中段のベッドになる

               固定された最上段はこの通り。奥に過分な収納、手前のスイッチ■は明暗2つ。
              左の毛布に隠れそうなチンコイのはドアの鍵(下に回すとロックされる)


               中段のベッドは二つのフックで支えるのみ、片方のフックは掛からず広大な隙き間。
              ってことは、このベッドはフック一個で支えられとるということばい。それとも
              なにかい寝れば重みで両方のフックに掛かるってことかい? このフック定かでは
              ないけど多分アルミの鋳物なんだろう。なんたって古いからさ、まだ樹脂は出回って
              ないのと違うかいな。どうですかM野井さん。

               鉄製のハシゴは無骨な壁掛けフックに。赤いのは非常ブレーキか。さらに上にある
              スイッチは車内放送の音量調整と思われる。どこもかしこも埋め込まれていなくて
              出っ張ってるアナログ様式にウットリしてしまうし、お客さん自身で加減してもらおう
              っていう気持ちがウレシイなぁ。お仕着せでないところがいい、気持ちがいい。

               屑入れと暖房調節。暖房は下の網から

               上段に照明スイッチあれども作動せず

               わからなかったのがコレ。ハシゴを移動せよという指示だが、ハシゴは二個あるから
              移動出来ないんだ。普段は一個のみってこと? そいでもって移し替えて使えってこと??

               上にも鍵はあるけど下にもあるんだ。チェーンに巻かれた布が微笑ましい

               そんなとこにこうやって寝るワケ。浅ましいというかおぞましいというか、
              己の寝姿を見ると冷や汗が出る。まるで四六のガマだなこりゃ。

               でもってこれは帰りの電車なんだな。行きは撮り忘れてもうたんだ。驚いたのは
              往復の車内にペットボトルの水が二種類用意されていたこと。行きは、変なヤツが
              置いて行ったのかと怪しんだが、帰りは二回目なので安心して飲む。炭酸入りと
              そうでないもの。さらにですよ、モーニングサービスがあるんだ。

               これには仰け反った。フツーのパンだけど、フツーのコーヒーだけど。日本じゃ
              こんなサービスじぇったいにありませんもんね。なんかヨーロッパの真心っちゅうか
              風習っちゅうか文化っちゅうか(しつこいな相変わらず)、そんなことを感じて
              しまったじゃーないか。こんな老人を涙ぐませてどうしようっていうんだ、
              まったくもって。


               深夜の見知らぬ駅でパチリ。いいんだこれが、雰囲気抜群で。でもな、往時には
              こんな駅から大量のユダヤ人が収容所に行ったんだろうな、なんてことを思ったり
              して・・・・・・・・・・・いろいろあっての今があるんだろう。

               それにしても感心したのは、深夜にもかかわらずどこにも街路灯が灯ってること。
              もう誰も通らないような真っ暗な田舎道(と、おぼしき道)にも途切れることなく
              続いている。それとね、線路の継ぎ目がまったくといっていいほどないので、滑る
              ように疾走するんだ。一体どういうこと? ウィーン〜ベルリンのみならず、
              ブタペストに行ったときでもまったく継ぎ目の音がしない。こりゃ凄いことですよ。
              違いまっか。幹線だからなのかも知れないけどさ。ちなみに料金はお一人様175€。
               
              ってなこと言いつつ、いざベルリンへ・・・・・・・・・な、店主でした。

               

              時差ボケどこ吹く風

              0
                 昨晩、ウィーンから帰着。およそ10日間の旅でしたが、驚く事に時差ボケが今の
                ところほとんどナイ。帰りの機内で「魔笛」全曲を聴いたのがよかったのか、映画
                二本観たのがよかったのか、原因は定かではなけれども、とにかく祝着至極の今朝。

                 ウィーンを基点にしてベルリン一泊、ブタペスト日帰り、中味の濃い旅。厳寒に
                閉口したけど充実したひとときを過ごすことができた。訪欧する目的は様々テンコ
                盛り、コンサート美術館の類いは一切なし、とは初めての経験。旅立つ前にネジの
                永井さんで立ち話、ウィーン市内の金物屋をおせ〜てくで〜とのことだったので、
                敬意を表してまずは、ごアンナ〜イ

                 地元の人々が集まる商店街の一本奥に入った道路の角にある。友人クリスや道で
                聞いた方々も知っていたからけっこうな有名店らしい。さもありなん、中を見れば
                頷ける。こんなどうってことない店構えだけど、

                 中は広大、二つの通路両側にズラリと商品が並ぶ。とはいえ、品揃えはいたって
                フツ〜、どこにでもあるものばかり。

                 しかし・・・・・・・・、奥に行けば別世界なのさ。左はチェーン

                 その奥にはロープ。とにかく奥行きが素晴らしいからコセコセ収納に智慧を絞る
                必要なんかナイ、一切だ。

                 ワイヤーも

                 ワイヤーを巻き取り、切断するんだろ〜か、この機械は?

                 右に曲がればパイプと日本で通称「ヘの字」と呼ばれる板があり

                 パンチングメタルのサンプルあり

                 短いとはいえパイプ棚があり

                 右脇には真ちゅうの板とか帯とかあって

                 すぐそばにある、でっかいカウンターに客夫婦とスタッフ。なにをやってるのか
                と覗いてみれば金属部品を大きなハンダで熔接の真っ最中。つまり、この店は販売
                のみならず加工もやってしまうってこと?! どうです、ネジの永井さん。
                 しかもですよ、この二人は夫婦連れですからね、家にある設備部品かなんかを
                直しに来てるんだろ〜けど、私の常識じゃ、それは夫の仕事、だけどウィーンじゃ
                奥さんも一緒ってことなのか。やっぱりな、モノ作りの浸透度合いは高いって改めて
                痛感するってもんだ。

                 カウンターの奥側、スタッフ二人で相談したりしてんだろうな。この店、金属のこと
                ならお任せの雰囲気が充満してて、いたるところピカピカしてるのがいいんだ。

                 そしてまだ奥がある。ここは板や帯状の金属部屋、中央にあるのはシャーリングだろ。

                 たしか金属の切断機をシャーリングと呼んでいたような気がするけど。それにしても
                この機械はどうだい、美しいじゃぁあ〜りませんか。先人の智慧と工夫の結晶、手前の
                デカイたんこぶ塊が実に魅力的。

                 さらにさらに部屋は続くんだ、どこまでも。これがどん詰まり、メッシュの部屋。
                千住にある曙金網にはかなわないけど、一般店としちゃ信じられないほどの在庫と
                設備。う〜む、そして、ウ〜ム。

                 なんたって広いからね、この店。なにやら凄い扉もあるし、その脇にはこれまた
                古い機械がある。それぞれのコーナーには専用の役割があるんだろう。

                 そしていわずもがなではあるけど計量器。いいなぁ、コレ。欲しいなぁ、コレ。

                 ってことで、訪欧レポートの第一弾ざんした。いささか長々、中味も専門的過ぎて
                飽きた方もおられませうが、ま、これも一興とお許しくだされの巻。

                奥深きモノ作りの館でしたぁ〜・・・・・・・・・・・・な、店主でしたぁ〜。

                 

                風邪ひいて腰痛し

                0
                   珍しく風邪ひいちまって、寝ていたの。アタイのベッドは、ホームセンターで買った
                  SPFという白い板でテキトーにこさえたもんだ。そこに布団を敷いているわけ。よくある
                  ベッドのふかふかクッションてのが苦手だから。決して寝心地は良くないんだろうけど、
                  固い布団もなかなか気持ちよくって変える気はないの、今のところ。

                   でもさ、そんな布団ベッドに終日寝てると腰は痛くなる。なんかシャンと伸びない
                  んだよね。だから寝続けるわけにはゆかず、きょうは地下でパソコン相手に日が暮れる。
                  その風邪になりかけた二日前(だったかな)に、中目黒のバランチェッタに行った。
                  前回記事にした秘蔵っ子M嬢の卒制完成のお礼だ。お礼は、作品のタイトル。あんな
                  作品だからさ、名前がむずかしい。なんでもいいと言われそうだけど、そうもゆかん。
                  ってことでこのM嬢、名付け親にバランチェッタの店主・O崎さんを指名。☎で相談し、
                  三時間ほどで答えが返ってきたということ。

                   その名前は「オッチョーレ」。なんでもアフリカのマサイ族の言葉で「友達」という
                  意味らしい。その名前を聞いた時にスバラシイと私は思ったね。語感がさ、イイじゃン。
                  小さなッがいい、レの前に伸びるーがいい。直感的に凄いと思ったわけだ。そんな
                  素晴らしい名前をつけてくれてアリガトウ、ご挨拶に伺わなきゃ失礼だろ、ってね。
                  当日は珍しくお客は少なく、M嬢、O崎さん、厨房のW辺さんとアタイで卒制のことを
                  話し込んだってわけっす。作品発表のことや作品そのものについてあれこれ話して
                  いたんだけど、O崎さん徹底的に作品をこき下ろして、W辺さん共々大爆笑。こんなに
                  コテンパンに作品を貶されることってまずないだろうな。聞いてるこちとらにとっちゃ
                  清々しいとも思えるけど、作者のM嬢はいい気分でないことは確か。ヘタすりゃ
                  怒っちゃう人もいるだろうけど、彼女は、そんなことでひるむ私ではない、柳に風と
                  受け止める。

                   う〜む、これはこれで凄い能力だといささか感心したんだわさ。相手は40、50の
                  オヤジだ。それを敵に回して一歩も引かない。以前も一度だけこんな風景を目にした
                  ことがあったけど、そん時とおんなじだと思ったワケ。

                   さておき、名付け親のO崎さんにも賛辞の言葉を贈らねばならんだろう。なんたって
                  ☎でいきなり相談され、仕事の合間をぬって、三時間程度で、こんな名前を見つける
                  センスは並大抵ではない。とはいえ、これがスバラシイと思う人は極めて少なく、
                  ほとんどの方は理解不能なんだろう。それが証拠に、審査の席上で「オッチョーレ?」
                  って言ってた人がいたもんな。?がつくんだから納得も理解もできないんだろう。でも、
                  それは人種とか職種の違いだから否定はしませんよ。立ち位置が違えば理解の内容や
                  度合いも違うからね。そんなこたぁわかっとる。

                   ならば理解してくれそうな場とか相手に見せるしかないだろう。


                   こんなモノを作ったり扱っているトコ。世の中広いから、どこかにあるでしょ。
                  こういうトコロで反応を見てみたいもんだ。果たしてなんと言われるんだろう、か。

                  楽しみだなァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な、店主でした。



                   

                  ワガママな変質せし者

                  0
                     昨日、講師をしている専門学校の卒業制作、二日間にわたる審査が終了。これで、
                    二年間のすべてが終わったワケだ。一日目の朝、打ち合わせの会議で、学生との飲酒
                    のお告げ。他学科で未成年の学生と飲酒したのが問題となっているようで、以後、
                    あらゆる機会で学生との飲酒は一切まかりならぬ!と厳命されちまった。というのも、
                    審査が終わったら一二年生と講師が、作品についてのあれこれな感想戦の飲み会を
                    提案したアタイ、そんなこと絶対に出来ないかんね! というコト。二年間の集大成
                    ともいうべき卒制作品、時間の関係で数分の発表・質疑応答だけじゃ物足らんだろう、
                    ならばと思ってのことなんだけど、アッサリと全否定されてしまい、こちとらの士気は
                    低下するのはいたしかたない。まるで、叱られた小学生みたいだ。

                     昔を知る数人の講師と慨嘆、ガッカリしたのはアタイだけじゃない。でもな、そんな
                    講師は今や少数派、あるいはココロで異を唱えているも口にはしない方々ばかりで、
                    時代は変わることを改めて痛感する。言いたかァないけど、学生と話し込むときに酒を
                    飲みながらなんてことは当たり前のこちとら、酒宴ダメってことは授業以外で学生と
                    話せないってことになりまっせ。学生との付き合いはすべて教室の中、外で会うときは
                    喫茶店で、そんなお子ちゃまみたいなこと恥ずかしくて出来るわけがない。

                     ま、そんなことはほっといて作品を紹介しとこう。今期で辞めると伝えてはいたけど、
                    後日の話し合いで辞めるのは二年生だけ、一年の授業は来期も引き続きということに。
                    だから卒制指導は今年が最後、徹底的思いっきりやったろやないかとね、考えたわけダ。
                    あまり製作のお手伝いをしちゃイカンとの通達はあったけど、そんなことは関係ねえ、
                    良い作品になるんだったらドンドン手伝っちゃおう、こちとらワガママな老人ギャング
                    だかんな。見てろよ、なんて勢いで毎日学校へ行っての助っ人稼業?

                     その主たる相手は、当ブログにも再々登場のM嬢だ。かなり膨大な作業量だから、
                    とてもじゃないけど一人で完成させる事なんかできやしない。彼女以外の学生たちも
                    アタイの道具を貸してあげ、アドバイスし、手伝いが必要なら手を貸し、部品が必要
                    ならばコトのついでに入手してあげたりと、助けを求める学生にはなんでもやって
                    あげようって気持ちは常に充満。それはアタイだけじゃなく工房のアシスタントも
                    同じ事で、獅子奮迅の働きぶりだ。
                     で、搬入三日前、M嬢は作品を撮影するためにお台場に行きたい、ついては車を
                    貸してくれ、と。しかもモデルとして友人とバイト先のオーナーも招集、カメラマン
                    としてアシスタントのI君まで駆り出そうってんだから豪気なものだ。みんな仕事が
                    あるから撮影は早朝、遅刻したくないからアタイの地下に泊めてくれ、小道具として
                    椅子とかバイオリンとかチャップリン帽子を用意できないか、次々と要請があり、
                    すべて引き受けたわけだ。

                     くそ寒いお台場の海岸に朝の6時半に到着、あれやこれやで小一時間。それにしても
                    寒い寒い、カラダの芯まで冷えきってしまったじゃんか。でもさ、昔はこんなふうに
                    作品を運んでいって撮影したもんだ。線路の上がイイとか朝日をバックにしたいとか。
                    最近はなくなったなぁ、こういうこと。お祭りみたいでアタイは大好きなんだけど。


                     さてお立ち会い、M嬢の卒業制作の発表だ。校舎の入口、階段脇の特設会場。なんだ
                    こりゃ?! 細い竹に布やら紐やらを巻き巻き、それを下の怪しい台に差し込んだモノ。
                    これがプロダクトとは到底言えない代物であるこたァ承知の上だ。とはいえ単なる飾り
                    ではない。パーテーション(間仕切り)というれっきとした役割はある。屏風やスダレ、
                    あるいは神社の鳥居みたいな境界を仕切るもの、ということなんだ。でもな、こんな
                    ヘンテコ(アタイはそう思ってませんよ)なモノをデザイナーたる講師の方々が理解
                    してくれるんかいな?

                     階段にズラリと居並ぶ審査員と学生。左のカメラマンを任された一年女子は、この
                    直後に脚を踏み外して後方に倒れ込むハプニング発生。

                     懸命に説明、M嬢ガンバッテオリマス

                     野外ですから風が吹く、竹は3mだからユラユラ揺れて、必死に押さえる裏方の
                    一年女子。まるで演劇の舞台みたいだ。好きなんですよ、こういうの。

                     校舎脇の路上からパチリ。光線の加減でこっちのほうがキレイに見える。

                     発表が終わって、質疑応答。ガラス作家のT中先生と話し込むM嬢。話しの中味は
                    質疑なんかではないことを後で聞く。作品の印象やら叱咤激励やらといったものだ。
                    同じ心智を持った者として言わずにはいれなかったんだろう。わかりますよ、その心。
                    モノ作りの最前線で闘う同士としてガンバッテ欲しいという気持ちなんだろう。
                    審査なんだから指導しちゃイカンという約束事なんか構っておられんわい、そんな
                    気持ちはアタイもあるからね。ってことで時間はT中先生に独占され、他の先生は
                    手をこまねくばかり。でもさ、考えてみれば一人の先生をここまで熱中させたこと
                    だけでも作った意味や価値はあるんじゃないのかい、M嬢さんよ。

                     すべての審査が終わり、各賞の決定会議となる。上位8作品が黒板に並び、この中
                    から賞を決めてゆく。「あっと驚くタメゴロー」「ビックリしたなもう」予想だに
                    しなかった驚くべき結果にちょっと呆然。もう少しで座りションベンするとこだった。
                    採点の平均点だから審査員の総意であることは間違いない。それをあれこれ言っても
                    始まらない。見渡せばみなさん平気な顔してる。ビックリ仰天なのはアタイだけ??
                    どうもそうらしいんだ、これがさ。変わってるのはオイラだけ? アタイ変質して
                    しまったのか?? ほいでもって結果に不満を抱くのはワガママなせいなのか??
                    とにかくアタイの居心地は極めて悪く、長居は無用の気持ちはインフレーションする。

                     思えば去年の審査結果にも仰け反ったんだ。そんなことすっかり忘れててさ。毎年、
                    こんなことの繰り返しだなぁ、なんてことを思い出す。学校辞める気になった要因は
                    このこともデカイ。疎外感というか置いてけぼり食らったというか、とにかくとても
                    いや〜な気持ちになったわけなんだわさ。こんな気持ちを引きずって帰宅するわけには
                    行きませんよ。ってことで気の合う二年生3人とアシスタントI君、さらには禁を犯し
                    一年生2人も誘って飲みに行ったわけだ。学校のお達しなんかカンケ〜ね〜、ザマ〜
                    見ろっていう気持ち充分、これが知れて辞めろって言われりゃいつでも辞めたるわい。
                    卒業制作のあれこれを酒の肴にざっと5時間、二年生は自分の作品についてあれこれ
                    思いのたけを吐露し、いろんな意見を交換できたからまことにスッキリした顔。
                    終電もなくなるから帰ろうと散会。駅まで歩いていたら二年の女子二人が向こうから
                    小走りで近寄る。終電乗り遅れたから泊めてくれと。そう言われちゃしかたない、
                    ならばアタイの地下へ行こうではないか、と相成った次第。

                    最後はハッピーエンドでオモロかった・・・・・・・・・・・な、店主でした。

                     

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