それスミスでしょ?

0
     毎週木曜日は講師を拝命している専門学校の授業。水道橋までA子に乗せられて
    カセットを聴きながら。当日着用していたのは古着屋で買うた作業着のようなコレ。

     厚手超ザラザラまるで柔道着、襟ナシが気に入って、確か3千円か4千円だった、
    から即、買ったわけ。で、この服を着て喫煙所で一服してたらファッション科
    のM井先生が「それ、スミスでしょ?」。こちとらなんも知らずにザックリ感が
    イイというだけの無知爺だからな、なんのことだかわからんのだわさ。


     買う時に古着屋の店主とボタンのことを話した。表はこんな感じで、

     裏はこう。ふつうボタンは糸でくくり付けられているんだが、これは違う。
    ボタンの裏のU字形の金具にリングが通してあるだけ。むろん穴は開いているんだ。
    なんでこんなことにしたんだろう、なんて会話でひととき。二人ともこういう
    ボタンの付き具合理由はハッキリよくわかんなかったけど、糸だと切れるから
    かなとあやふやな結論になって終わったんだのっし。

     で、そのM井先生。さらに近づいてきてスミス連発発言。なかなか食いついて
    離さない。なんだなんだ、そんなに有名なのか。ボタンを確認して「やっぱり
    スミスだ!」。「どこで買ったの?」とけっこう突っ込まれタジタジなアタイ。
    いやね、近くの古着屋で何の気なしに、それほどのもんだとは知らずに失礼、
    とかなんとか。

     この件はこれでオワリ、授業が始まり、無事終了。帰ってきてから気になった
    からネットで調べた。スミスで検索したらとにかくポール・スミスばかりで。
    だからそうじゃないんだってば、作業着みたいなメーカーなんだってば。
    イギリスのバイクウェアのスミスも登場。そういえば昔乗ってたSR-500用に
    スミスのメーター買い損なったなったなぁなんてこと思い出し。で、結局
    よくわからない。古着屋に出向いて聞いてみるけどハッキリしないんだ。
    Big SmithとかClay Smithとか、どっちなんだ。わからぬままに探索はこれで
    終わった。これ以上調べようもナシ。チャンちゃん。

    曖昧な記事になり申し訳なし・・・・・・・・・・な、店主でした。
     

    分業の彼岸と?

    0
       昔々のそのむかし、かのチャーリー・チャップリンの映画の膨大断片が発見され、
      それをTVで紹介したことがあった。こんなもんを番組にするのはNHKっきゃない。
      若い時分は視聴料を取られるのがイヤでけっこう支払い拒否してたこともあった
      アタイ。ずいぶん前から気に入った番組はNHKしかなくなって、支払い拒否なんか
      霧の彼方へ飛び散ってもうた。今じゃNHKしか観ない(興味を惹く番組がない)。
      変われば変わったもんだのっし。で、断片。いずれもテスト撮影、もちろん未公開の
      代物。映像を観ながら解説するのは萩本欽一であった。

       短編長篇織り交ぜて、短い映像が次々。それにしてもテストの多さは驚嘆すべき
      もので、当時の喜劇映画では異常と思えるほどであったらしい。中でも感心したのは、
      街の灯の冒頭で目の見えない女性が主演チャップリンを金持ちと勘違いするシーン。
      良いアイデアが出ないチャップリンは撮影所に出て来ない、スタッフ全員毎日いつ
      来るとも知れぬチャップリンをひたすら待つのみ。その期間は半年以上にも及び、
      巨額な費用が垂れ流し。時代とはいえ鷹揚迫らぬ姿勢はスゴいもんだ。音だけで
      金持ちであることをわからせる方法は・・・・それは観てのお楽しみ。番組は進み、
      ある映像を観ながら欽チャン曰く「ぜ〜んぶ自分でやりたいんだよね」。役者監督は
      言うに及ばず音楽や脚本など自分一人で映画を作りたいチャップリン。その気持ち
      よ〜くわかりますと欽チャン。それを観ながら大きく頷くアタイ。ま、そのことが
      なんか忘れられないんだわさ。

       そんなことなぜに今? 実は、先日ヤボ用で新宿に行ったついでに靴クリームを
      調べに伊勢丹に行ったのよね。コロンブスってメーカーの全製品があるというんで。

       以前、ベルリンで買った靴がコレで、青クリームが欲しかったんだわ

       靴クリーム売り場に行こうとしたらアクセサリーの展示をやってて、それが
      ことのほか良くて、名刺をもらって昨日行ってみたんだ。展示は常設じゃない、
      だったら工房兼ショップに行かなきゃって思ったワケ。もしも、感じがイイ作家さん
      ならウィーンで展示のお誘いしちゃおうかなってね。まったく目立たないビルの
      二階にあって、部屋に入ったら受付兼の女性が。あれやこれや話したんだ。
       この商品、デザイナーが居て職人さんが作ってというもので、一人で全部作ってる
      わけではないことがわかったの。どーりでクオリティが高いわけだ。相応に値段もね。

       相手の女性は、回りくどくあれこれ聞くアタイに逆職務質問。つまりはね、と海外
      での展示についてネタばらししたんだけどどーにも要領を得ない。まぁ、大きくは
      ないけど会社だからな、作家さんならその場で判断出来ることが社員となるとそうは
      ゆかない。それは百も承知之助。縁がなかったと部屋を出る。また機会があったら
      来て下さいねと言われるも、こっちは商品は魅力的だけど買う気はないし、海外に
      出展する可能性も低いということなら、もう来ないだろ。そんな気持ち、つれない
      返事で帰ったわけ。

       なにもかも一人でやるとなると大きなことは出来ない。作るコトと考えるコトの
      両方出来る人はそうそういないし、出来たとしてもどちらかが優とか可みたいに
      偏りが出るだろ、フツ〜はさ。デザインも出来て作れるなんて両刀遣いはそう居ない。
      ってことで、クオリティを考えれば分業化せざるを得ない。今の世の中、そういった
      商品ばかりだけど、それに不満を抱くわけじゃない。でも、今のアタイはそれじゃ
      つまんないのよね。ツルリとしたモダンでシンプルで平均的な商品ばかりでは
      物足りないざんす。どっかヘンテコだったり素人くさかったり妙な魅力だったり
      といったなにかしらソソラレルところがないと心が動かないんだ。

       アタイがそそられるといっても他人様がそそられるかどうかわからない。けどな、
      自分でイイと思えないものを作ったり扱ったりするこたぁ出来ませんや。それと、
      少なくともその商品(=作品)をイイって判断した一人がここに居るんだから、
      共感してくれる人はきっと居るにちがいなかろう、と考えるのよね。

      なんか的を得てないイマイチ感強しな文章で・・・・・・・な、店主でした。
       

      いまさらながらのFM

      0
         これを機会に久方ぶりのFM三昧(そりゃ大袈裟だ)の日々を過ごしている。
        昔はな、アンテナ立てるのが大変だったから、室内アンテナかなんかでお茶を
        濁して「こんなもんか?」と、今から考えると冷や汗ものの素人っぷり。FMは
        チューナーがないと聴けないのは誰もが知ってる月光仮面。やっぱSONYだろ、
        しかも5000Fにとどめを刺す、とかなんとかブランド志向真っ盛りでしたっけ。

         でも時は移りFMなんか今じゃ時代錯誤の様相を呈しているようなご時世だ。
        あのころはFM専門誌が数誌あったもんね。雑誌でチェックしてせっせと
        エアーチェックしたりしてさ。ある時期オープンデッキを二台も抱えて録音に
        忙しかったもんだ。お金がないから秋葉原の再生テープを買って、ライブ放送に
        目の色変えてたっけ。ま、そんな時代を経ての今だから、感慨も一段と深く
        なるってもんだ。

         数年前に家の外装を塗り直した(むろん借金だ)際に、アンテナ立てるべく
        秋葉原で五素子のアンテナを購い、屋上の既設柱に取付けて、地下まで配線。
        三階建ての屋上から地下まで、長〜い樋を伝わせるには足場が設置されている
        今っきゃない、ってことでね。ほんでもって聴いてみたらこれがなんと
        なかなかに素晴らしいんだわさ。とはいえ、そんときはなんだかんだで
        ほっぽらかしになってしまって、最近ようやく落ち着いて聴ける状況に
        なったってワッケざんす。

         発端は(何事に寄らず発端はあるもんだ)ピーター・バラカン。近時、こと
        音楽に関して言えばピーターと萩原健太の言う事であれば間違いはない。最も
        信頼できる人物であるとアタイは惚れ込んどるんだわさ。車中でよく聴いてた
        インターFMが突然打ち切りになって、一体どうしたの?と訝しく思ってたんだ。
        最近、ふと気になってネットで調べたら彼の発言が問題になったらしく、
        やっぱなァ、そういうことかいな、と。で、彼がDJをやってる番組を調べたらさ
        金土日の三日間にあることがわかり、先週の日曜日聴いたのよね。これがとっても
        良くって、あぁFMってなんてイイんだ、と再認識したわけなのね。

         NHK FMでは毎日夕方日替わりで好きな番組があるし、それらに合わせて
        仕事するのもいいかもとも思ったワケなのさ。

         音質は、外部アンテナから引っ張ってきてるから受信メーターは目一杯。
        これ以上の受信環境はないだろう。昔を思えば夢のようだからさ、これ以上は
        望むべくもないと充分な自覚症状だからさ。あんまり欲張るとバチが当たる。
        これで地下に居ながらにしてFM、インターネットラジオ、CD、カセットと
        レコードが聴ける環境になった。なんて贅沢なんだ、10代20代、30代でも
        考えられなかった桃源郷、もういつ死んでも悔いはない。でも、まだ死にたくは
        ない、♬神様お願〜い、オーマミマミ〜〜〜〜ってなもんだ。

        音楽環境が整えば、仕事もハカドル、ってか・・・・・・・な、店主でした。
         

        ジャブでKO

        0
           一昨日の金曜日、かねてより興味のあった車の試乗に近くのHONDAへ。なにを
          隠そう(隠す必要まったくナス、意味ないなこのフレーズ)生まれて初めての体験。

           S-660(ろくろくまる、と呼ぶそうだ)に乗ってみようと思ったわけなのよ。

           カタチは悪くない。ちょっと寸詰まりだけど、カワイイと言い換えること可。

           初めてだからどこを撮ったらいいのかわかんない。とりあえずでパチリ。
          サイドミラーのカタチはなかなかイイときたもんだ。

           ドアを開けて乗ってみようと。低〜いシートに腰を落とすのがツライ!おっと、
          なんてこったい、乗り込む段階でKOされる気配濃厚。乗り込むたんびに腿が震える
          んじゃど〜しようもないな。試合開始早々に軽いジャブで膝を折る老年ボクサー。
          予想外の問題発生、アタイの肉体劣化がまざまざと白日の元にさらされる。
          座るというよりも穴に落とし込むといった案配が毎回とはちとかなりムリざんす。

           シートに座ってエンジンスタート、そろりと走り出してはみたものの、気力は
          すでに萎え、縮んだ戦意が情けない。さらに隣りにスタッフが同乗してるから、
          束縛感たっぷり。自由に走れないもどかしさに意気はさらに消沈。

           狭いにはせまいけど、不満はない。なんたって軽だからな。こんなもんだろ。
          試乗したこの車は高いグレードだから200万程度と、隣席のスタッフが囁く。手も
          足も出ない金額ではないけど、FITとシトロエンAX-GTと比べると旗色は極めて
          悪い。S-660の最大の弱点は荷物がまったく積めないこと。取り外した屋根を収納
          するためのスペースしかない。スケボー一個程度だ。彼女とドライブ、でも荷物は
          置けない。カワイイ彼女の膝に荷物なんてコタァ無理だ。冬になったらコートも
          あるぜよ。ってことで、この車は単独走行に限定されているんだろう。

           収納性と快適性ではFITに軍配、エンジンの吹け上がりと俊敏軽快性ではAXだ。
          それにAXは重ステと左ハンドルという負の魅力もある。FITに比べれば原始的と
          いってもおかしくない妙に惹かれる資質に満ち溢れている。そんな、この両車を
          凌駕する魅力が欲しいなんて言う気はない。HONDA社内でいろいろ検討された
          成果なんだし、元来がHONDAファンだからいちゃもんをつける気はないんだ。

           音楽でも思うことなんだけど、老年だからさ、残り少ないであろう人生を誰と
          共に生きて行くのかってコトを考えるクセがついてる。車の場合、買ったが最後
          乗り潰す気満々だから次々と買い替えるなんてことはあり得ない。そう考えると、
          これから入手する車は最後の車になるだろう。荷物を運ぶことも少なくなるだろう、
          子供も自立したから二人乗れれば充分、オートマは楽チンだけど妙にグズな感じ。
          ここは一番、筋トレを兼ねてのマニュアルは必須条項。さらに重ステとなれば
          鬼に金棒か?


           さいごに後部のちんこい窓に触れておきたい。この窓、こしゃくにも開閉するんだ。
          風の通り抜けってこともあるんだろうが、エンジンの音が聴けるって役割もある。
          試乗車はオートマだけど、アクセルを離すたんびに「プシュー」音が聴こえる。
          好きな人は大歓迎なんだろうけど、フツ〜に離しても聴こえるのはサービス過剰?
          ぐぅ〜と踏み込んで離したときに、ここぞという時に聴こえるのはアタイは好み。
          とかなんとか言ったって、乗り込む事も出来にくい老体だからな、あれこれ言う
          資格なんかないからな。そんなこたぁ百も承知千も合点、年寄りの戯れ言と聞き
          流してチョーダイ。

          さりとてオープンカーは魅力的だなぁ・・・・・・・な、店主でした。
           

          我輩もカエルである

          0
             いまから遡ること24年、アインシュタイン・ロマンなる番組がNHKで放映された。
            感銘を受けたのは第4回 時空・悪魔の方程式。狂言回しにカエルが登場、悪魔との
            丁々発止のやり取りで宇宙の特異点を炙りだそうという趣向は極めて斬新、興味を
            そそられ、刺激に満ち満ちていたものだった。宇宙の特異点とは、宇宙の始まりの
            瞬間のこと。これが誰にもワカラナイ奇妙なもので、難解きわまりのない内容だから
            観ているアタイも、時に頭を抱え時に爆笑しつつ、とにかく観続けたと思って
            くんねえ。

             で、カエル。なぜカエルなんだ? その理由は、最後に明かされる。つまりはさ、
            カエルは動いているものしか認識できないってことらしく、動かないものはまったく
            ワカラずに立ち往生ってこと。宇宙の特異点を理解しようとしたって、あらゆる
            物理法則が成り立たない奇妙な世界(だから特異点って呼ぶんだろう)だから、
            人間が考えたってわかるわきゃない、考えてもしかたない、と皮肉たっぷりでさ。
            カエルと人間、この両者が共通してるってことでの配役となったんだろう。これに
            唸ったアタイ、なるほどにゃ〜、自分にわからないものをわかろうとあれこれ
            試したり悩んだりし続けたことは多々あった。しかし、それらにも認識出来るコト
            出来ないコトの限界はあったわけで、限界を超えた事柄事象はわからないことは
            自明の理。そんな当たり前のことがわかったんだわさ。

             で、認識の壁が立ちはだかった最大がオーディオでね、それをなんとかすべく
            ガンバッテみたと思ってちょ。

             まず、そのためには棚を作り替えなくちゃならない。

             すべての配線を外し、機器を移動して

             上段の棚を外し、板をカットしてサイズ変更

             そうして出来上がったのがコレ。ほとんど変わってないじゃん? まっま、
            そう言わんでくんしゃいな。この大仕事でなにが変わったかというと・・・

             上下二段に並んだ4台のアンプが、

             このちんこいセレクターなる機器で瞬時に切り替えられるようになったんだ。

             上段の右は、FOSTEX AP-05なるデジタルアンプでAmazonで5050円、その
            右がエレキット TU-870 発売価格は2万円ほど、これをmazdaluce3000氏が
            改造したものでたしか5万円ほどで入手した。
             下段の右は、同じくmazdaluce3000氏のオリジナルアンプで18万円ほどで
            入手、その右の黒いのがヤマハ B-2でこれも氏の改造が施されていて25万円。
            金額の違いは出力の違いでもある。上記アンプはそれぞれ5W、1.8W、15W、
            250W。小さな出力で聴くにはスピーカーの音圧レベルが高くてはならず、
            ならばとJBL D-123をセット、万全とは言えぬまでもベストな選択自画自賛。

             問題は、この4台のアンプの音がどの程度違うのかということだった。最大
            5千円vs25万円、その差50倍の音はいかなるものか? それぞれ別々に聴いたこと
            あるけど瞬時に切り替えてということではない。そして音源。今まではCDのみ
            だが、永く眠っていたレコードが復活したから、これで私が出来うる音源は
            すべて整ったというわけだ。さあて・・・・・・・・・・。

             まずはCD、いくら切り替えても4台のアンプの違いがわからない!
            予想してたけど、こんなもんだと思ってはいたけど・・・・・・・やはり、そうか。
            ああ、アタイが大枚払って手に入れた名器が5千円のデジタルアンプと大して
            違わないんて。なんてこったい。判定基準は私の耳だからな、私の耳(脳もある)
            の限界を超えた微妙な差を聴き分けることはできない。あぁ無情。思った通り
            我輩はカエルだったのかよ。

             気を取り直してレコードに針を落とす。や、やゃ、音の違いがわかる! 明らかだ。
            といっても50倍の違い?といわれても困る。50倍の違いはないときたもんだ。
            HONDA FITが200万として50倍なら一億円だ。一億の車て〜となにがある? 
            と思ってネットで調べたらマクラーレン P-1めっけ。でもな、走ったり運んだり
            な基本性能が違うわけでなし、速度と希少価値ぐらいしかの違いでしかない。ま、
            それはなんでも同じようなことで、アンプにしてもご同慶の至りということで。
            AP-5とB-2の違いは確かなものと認識出来る。ちょっとホッとした。TU-870は元々
            音質が違うから違いは明白だ。18万と25万、トランジスタと真空管の違いは?
            違うようでもあるし違わないようでもある。困ったのう。なんと言うたらええのか
            違いはあるけど微妙だ。

             違いが判別できなくても、自分もカエルの一員だということはわかった。
            50倍の価格差がこの程度のものであることは体感出来た。これはデカイことですよ、
            マジで。あれこれ悩む必要がなくなったもんね。あとは、これらのアンプでより良く
            聴くための微調整をしてゆけばいいということで、安心して愉しめるってもんだ。
            そして、こんな色とりどりなアンプを並べる試聴室こそが私にふさわしいと改めて
            思っているので候。

            牛歩の歩みでも頂上は近い?・・・・・・・・・・・・な、店主でした。
             

            晩春なココロ

            0
               世はまさに早春、だというのに晩春とは、これ如何に? そのココロは・・・・。
              一男一女のアタイ、娘は12年前に結婚して家を出た。生まれた孫は今年ピカピカの
              中学生、いやはや早いもんだ。ゆく年来る年を重ね、残った息子が家を出ることに。
              アパートを借りたいと。この連休は、部屋の片付けに精を出しているようでバタバタ
              しとるんだ。家を建て替えたのが平成元年、狭いながらも子供部屋を作り、就職して、
              アタイが営んでる二階のアパートに移ったのは何年前だったろう。同じ建物とはいえ
              完全な個室を持ってても外で自立してみたいという思いは強いんだろ。

               電車で30分ほどの距離に物件をめっけて、その相談を受けたのが一週間程前。
              問題はバイク。駐車場付きがない、でもこの物件はある、しかし家賃が高い。で、と。
              そもそもバイクなんて〜ものは社会の少数派、バイク駐車場があるってーだけで◎。
              それもシャッター付きならば文句ないと違うか。それとね、バイクなんていう贅沢品を
              持つってことをどう考えるかってコト。彼にとってバイクはどういう存在なんだ、と。
              生きて行く為に欠かせないものならば、多少の出費は喜んでという気持ちがなけりゃ
              バイクに失礼じゃんか。大切に思うけど費用は抑えたい、その考え自体間違っとる。

               話す事数分、ふ〜ん、なんて言いながら、自室に戻っていったワケ。その後、この
              物件に決めたらしく、契約に漕ぎ着けて、保証人確約の☎があったのが昨日。親子の
              会話なんかふだんは滅多にない。男同士ってこともあるのかもしんないけど。でも、
              親子なんていうものは肝心なときにちょいと話すだけで充分だと思ってるんだわさ。
              親子たってそれぞれが自立した関係だし、ふだんの生活の中で話す事なんかそうそう
              ないっすよ。思えば、彼が転職するときにも話をしたんだな。今回と同じように
              数分だけど。アタイはこの二つの話し合いだけで、彼との信頼関係が保たれていると
              信じているんだ。

               で、晩春。晩春といえば小津安二郎でしょうが。笠智衆と原節子の親子、結婚が
              きっかけで娘が家を出るという物語。子供が小さい時には賑やかだった家だけど、
              子供が自立するに従い家にある家具とか道具が少しずつ減って行く寂しさ。家族の
              崩壊=新生を、閑散とした部屋で表現してましたなぁ。あれと同じようなコトが
              まさにアタイの眼前で行われている。多少感傷的になるのもやむを得ないだろう。
              映画で、原節子が父親に対して並々ならぬ愛情を持っていることに触れ、単なる
              父娘の関係ではない、そこには恋愛感情も充分にあって、好きで結婚するわけじゃ
              ないと告白するシーンもあったりして、なかなか微妙なんだわさ。

               部屋でひとりぼっちになった父がうな垂れているのがラストシーンだったけど、
              アタイはそんなことにはならんのよ。自立する? いいんじゃない、家を出る?
              どうぞどうぞ、それがアタイの生きる道、ナンチッテ。子供は子供、親は親だ。
              子供はオモロいけど、それがいつまでも続くわけじゃない。それにさ、お互い
              忙しいんだから、いちいち構ってはいられません。勝手におやんなさいってのが
              一番イイのと違いまっか? たまに会って二言三言ってのがイイ。

               親子たってそれぞれ選びあったわけじゃない。たまたま親子になったまでだ。
              とはいえ、縁があってのことだから大切にしますよ。しますけど、たまたまと
              いうことに違いはない。そこへゆくて〜と、大人になってからの自分が選んだ
              選ばれた関係ってのは、たまたまじゃないからね。ある程度の考えを持った
              他人同士が親しく仲良くなることは親子以上のものだと思うワケ。でも、違いは
              どうあれ、縁があって知り合ったってことは事実だもんね。両者に共通するのは
              知り合って関係を持った者同士、お互いに影響し合って、尊重しつつ、自分を
              より良く成長させて行くことなんじゃないだろか。

               親子であれ友人であれ恋人であれ、刺激し合い、影響し合い、学び、それらの
              積み重ねで自分自身を高めてゆくことが生きるってことだと私は思うのダ。
              だから私は、常になんらかの影響を与えてくれる人を求めているし、そうで
              ない人はバッサリと縁を切ることに躊躇はしませんよ。ワガママ勝手なアタイ、
              それでいいのだ〜、な〜んてね。

              世の中エロエロ?あら〜な・・・・・・・・・・・な、店主でした。

               

              やっと収まったのダ

              0
                 苦節何年だろうか? 知人の仕事現場から、捨てるには惜しい御影石?の板を
                いただいたのはよけれども、はて何に使えばいいのだろうかと思案投げ首。なんせ
                とてつもなく重い、厚さは4センチ長さは1.3m。元々はキッチンで使われていた
                のですが、それじゃあとキッチン用の移動テーブル作っちゃおうと思ったことも。
                でもなあ狭い日本じゃそんなもの作っても置く所がない。高価なキャスターを入手
                したそのままで放置してあったの。

                 こんな感じでね。狭い店のトイレに立て掛けて幾星霜。

                 それがひょんなことで現実着地点が定まった。発端は、M嬢の卒業制作で使われた
                ベニヤ板。作品を置く台として使われたんだが、展示が終われば用済み。ところが
                板の片面にはM嬢が塗りたくったコッテリがあって、捨てるには惜しい。ならば、
                ということで地下に再利用することに。ということで、でかいベニヤを切断して
                箱を作り始める。

                 狭い地下でしか作業出来ない、けっこうなデカさだから、位置を変えるだけでも
                けっこうな力がいる。

                 やれば早い、すぐに出来た。上に載るのが御影石、そこに鎮座するのがSONY。
                PX-S9というこれまた超重量級のレコードプレーヤー。石板を地下に運び込む時に
                階段の途中で支えきれなくなってすんでで落ちるとこだった。危ないあぶない。
                すでに箱組み立ててで筋力は使い果たしていたから腕はプルプルと悲鳴をあげて、
                この時点で疲れがどっと押し寄せてきた。

                 イイ色でしょうが。えもいわれぬドドメ色とでも申しましょうか、アタイ
                好きなんですわこういう仕上がり具合が。

                 脇に置かれた三段収納。両側の板はアクリルで中が見える。中段の引き出しは
                2/3ほど引き出され

                 下段の引き出しは全部引き出され、これをフル・エクステンションと呼ぶ。

                 なぜにアクリルの板で作ってあるのか? ふつう、中段と下段の引き出しを
                いっぺんに引き出すと本体が前に傾いてしまうんだ。引き出しが重いからね。
                それを防ぐために中段が引き出されているときには下段は引き出せないように
                ロックされる仕掛けがなされている。かなり複雑な構造なんだけど、それを
                見せるために中を見えるようにしたってことなわけ。

                 ってことはですよ、この収納は市販品ではない? アッタリ〜!お客様に説明
                するためのサンプルで〜〜す。世界にこれしかない希少品で〜〜〜す。こんな
                構造を考えるのは世界広しといえどもそうはいない。日本じゃない、とすれば
                ドイツしかないだろ。ってことで made in Germanyなのだ。この収納、奥行き
                もたっぷりで置き場所に困っていた代物。なんせ55㎝もあるからな。店内や地下
                をあっちこっちの放浪生活、しまいにゃ工房の作業台の下でお暮らしに。ほこり
                まみれじゃいかになんでも失礼だろうと思ってはいたけど、こうして終の棲み家を
                得てさぞやご満足にちがいない。

                 石板と収納、いずれも身の置き所がなく困っておられたのを、これまた御同様な
                M嬢のベニヤをもって一気にまとめあげたのは誰? オレだ!! 偉いぞオレ、
                やるなぁオレ、オレ様天才か?? 三方一両損ならぬ三者大満足の仕掛人、ヨッ!
                やるねえ。そんなこと誰も言ってくれないからな、自分で言っとこう。ってか。

                重労働で筋肉が痛いイタイ・・・・・・・・・・・な、店主でした〜。

                 

                夜の鼓

                0
                   いい映画観たいなァ、感心させられたり、ウットリしたいなあ、と思い続けてる。
                  昔の人は映画作りで大切なことは「いちすじ、にぬけ、さんどうさ」なんて言った
                  らしい。一番は「筋」、二番が抜け、三番が動作。筋は脚本のことで、抜けは
                  ちゃんと明るく映ってるかどうかってこと(当時はフィルムの感度が低かったから)、
                  動作は役者の動きだ。これは今も通じる映画の基本であることに違いはなかろうさ。
                  いつの世になっても脚本、キャスティングは最も大事なことなんだろう。

                   仰ぎ見る三國連太郎が亡くなって久しいけど、佐野眞一が対談した「怪優伝」で
                  描かれている10本の映画を追いかけて、夜の鼓を観た。残るは二本のみだが、難敵は
                  「襤褸の旗」。Amazonで数万円の値がついてる。夜の鼓、原作は近松、U-tubeで
                  12分ほど観ることができますね。有馬稲子の若妻ぶりが素晴らしい。お歯黒まゆ毛も
                  剃ってる?けど恐ろしいほどの色香に痺れてしまう。この美貌の妻が鼓打ちと身体を
                  重ねたという噂、ダンナは固い一方の武士だ。はてさてどうなるのだろう。

                   巻頭の大名行列に始まり、随所に当時の所作雰囲気が充満してて、時代劇好きの
                  アタイはそれだけで大満足。怪優伝では、この映画のエピソードが紹介されててね、
                  それを確認することも醍醐味なのだ。有馬稲子を手刀で叩く、それも本気で、何回も
                  本気で叩かれて顔が腫れ上がって大変だった、なんてことも。今井正監督はリハーサル
                  から本気で叩くことを要求したんだ。それ以外にも真剣で追いかけ回すシーンとかが
                  あって、興味は尽きない。でもな、なんたって古い映画だからセリフが聴き取りにくい。
                  音声ノイズはザーザーって感じだし。映画を観て、本を再読したら興味深いエピソード
                  がウジャウジャ出て来てね、これじゃもう一回観ないとならないじゃんか。

                   重厚でもの静かに物語は進み、終局に近づく中「つけざし」なる言葉が出て来たの。
                  「?」、なんだそりゃ? 知らんぞ?? 映画を観ながらメモして、観終わって
                  調べたワケだ。広辞苑によれば「付け差し:自分が口を付けた杯またはキセルなどを
                  人に与えること。遊里などで、情の深さを示すしぐさとされた」
                  。ナルホド、
                  ソ〜イウコトカイノ。うら若き美貌の若妻が鼓打ちにこんなことしちゃあイケマセン。
                  齢66才、生まれて初めて耳にした言葉だ。ウレシイなぁ、こんなセリフを言って
                  みたいもんだ。

                   実はこの映画、二度目なの。というのも最初はオークションでVHSを入手したけど
                  ものすごいノイズが乱入して観る事叶わず、で今回再度のチャレンジ。代官山の
                  TUTAYAに問い合わせても在庫はないとのこと、オークションで入手するしか
                  方法はないんだわさ。とはいえ、いつもチェックすることなんか出来やしませんよ。
                  たまたま出品されているときに遭遇するっきゃない。まぁ、そういうことでして。

                   とにかくこの映画は今井正の最高傑作と三國佐野両氏の意見は一致しています。
                  むろんアタイも同意見だ。興味ありありの方、特別にお貸ししてもよろしいでっせ。

                  「襤褸の旗」観たいよお〜〜〜〜〜・・・・・・・・・な、店主でした。
                   

                  1

                  calendar

                  S M T W T F S
                       12
                  3456789
                  10111213141516
                  17181920212223
                  24252627282930
                  31      
                  << May 2015 >>

                  selected entries

                  categories

                  archives

                  recent comment

                  links

                  profile

                  書いた記事数:690 最後に更新した日:2023/12/23

                  search this site.

                  others

                  mobile

                  qrcode

                  powered

                  無料ブログ作成サービス JUGEM