テレコイトス?
手塚治虫の春画が見つかったとなにかで目にして「新潮」12月号を買うべく
神田は神保町にある東京堂書店へ。パラパラとめくり二冊買ってしまった。
というのも春画はページの表裏に印刷されてて、切り取って全部並べてみたい
こちとら、両面使わなくちゃ気が済まない。
表紙にもなってるこの一画。解説の中条省平氏の一文が素晴らしい。
「ともあれ、この女ネズミの絵でとくに特権的に表現されているのは、腰から
お尻をへて太腿にいたる球体の感覚です。その力強く張りつめた曲線に比べれば、
もうひとつの女性の特権的な部位である乳房にはさほどの重要性があたえられて
いない印象を受けます。乳房はあまりにも柔らかく、可塑的で、力強い生命力の
発現を表わすには適当ではないのかもしれません」
う〜む
「さらに、この女ネズミの絵で注目すべきは、いわゆる効果線です。とくに、
第一ページ、最初のコマで、後背位を思わせるお尻に描かれた波紋のような動き
の効果線こそ、マンガ的表現のきわみでしょう。西欧絵画は、動く体を描くことは
できても、体の「動き」という抽象的な観念を画面に描きだすのは不可能だから
です。この背中から腰、お尻から柔らかそうな足の裏へと寄りそう効果線に、
マンガの描線の純粋な快楽が波動のように表れています。これはマンガ表現の、
ささやかにして他のイメージ芸術の追随を許さない、超現実的な秘法といえる
でしょう」
なるほどなァ、といたく感心したわけだ。手塚治虫、マンガの深い含蓄がなけりゃ
こんな文章書けるはずはない。しかもムズカシイ単語はないからとても読みやすく
わかりやすい。近時、珍しくココロ動かされたのでアリマス。
アタイはこの蜘蛛女が気に入った。グロとエロが入り混じった奇妙な絵だ。
軽く描いてみたんじゃないのかな。未完で中途半端みたいに見えるけどアタイ
これ好き。解説は数人、その中に筒井康隆氏。
「長生きしたお陰でその手塚さんのあぶな絵が拝見できることになった」
手塚治虫が内緒であぶな絵を描いていることは仲間内で誰でも知ってること
だったということ。
『そのことも含め、おれがやたらと会話中に性交の意味で「セックス」という
ことばを連発するたびに、彼はおれを見据えて「セックスというのは性交の
ことですか」と確認する。これには参ったが、まあ科学者として言葉には厳密
だったのであろう
いかにもマジメな手塚治虫氏の一面が伺えて笑ってしまった。でね、その後、
筒井氏の「昭和の繁栄」を読んだわけ。その中の「科学探偵帆村」に出て来たのが
「それは実は単なる自慰ではなくテレコイトスとでも言えるものであったのだ」の
一節。知り合いを頭に浮かべつつ自慰すると、相手は懐胎してしまうというんだ。
相手が処女の場合は、処女懐胎マリア様って寸法。テレ+コイトスは合成造語だろ、
これで少子化が防げるなんてこともあり得りまっせ、ってね。自慰をするたびに
懐胎しちゃうし、生まれてきた子供はテレコイトスの資質を持ってるだろうから、
危険このうえもない。だから過去の女優にしなさい、と。自慰相手の女優は12名、
小説の冒頭でポーレット・ゴダードとローレン・バコールのみが描かれている。
アタイは思ったんだ。なんでこの12人なのかってね。「この12人は東洋人の
子供を妊娠したという歴史は厳然としてすでに存在しているんだよ」、エ〜ッ、
ウッソー、聞いてないよ、そんなことあるわきゃないじゃア〜リマセンか!
なんたって映画好きな筒井さんだもん、いいかげんな思いつきで選んだんじゃ
ないだろ、なにかしらの根拠はあるのかいな? でもなぁ・・・・・・・・・。
マジに受け取るアタイのユーモア欠如なのか、はたまた・・・・・・・・・・。
誰かおせ〜てちょ。
昔、オナポーテーションもあったな・・・・・・・・な、店主でした。
- 2016.11.30 Wednesday
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- 12:33
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- by factio