マグロの顛末

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     茶箱を改造してインテリアにという世界がある。その脚を担当してるのがアタイ。

    面白半分で始めたものの、近頃妙に数が増えてるんだ。アタイの仕事(たって大した

    ことはやってないんだけど)にも差し障りが出て来るぞ、と請求書をひも解いて

    みればやっぱり年々増えてるじゃんか。アチラ様は商売繁盛でけっこうなこと

    だけど、こっちにしてみれば増え過ぎはストレスになる。なんたって同じものを

    大量に作るのは超苦手だからさ。でも数量制限するのもなんだし。第一制限の根拠

    がない。とはいえ、このまま放置することも相成らん。はて、どげんしたらよかろう

    ばい。

     

     そんな中、こんなもん作れるとの相談があってね。茶箱仲間でバッグを作る方

    からなんだわさ。

     楕円の板、真ん中に穴が開き

     断面はこうなっちょる。隙き間はおよそ1.2ミリ。こんな溝を加工するなんて

    機械じゃじぇったいに出来ませんて。二枚の板を張り合わせなくてはならない

    のは当然だ。相談を受けたとき、え〜! 出来ないことはないけど、面倒くさい

    じゃんか。楕円の端面をまぁ〜るく削るのも以下同文。やって出来ないコトは

    ないけど、積極的なやる気はまったくナッシング。しかも作るのはたった一個、

    知人友人に頼むことなんかこっ恥ずかしくって出来るわけがない。そんならって

    ことで講師をしてるガッコのアシスタントに丸投げしたわけ。

     

     材料は黒檀だ。高いでっせ、と伝えても依頼主は動じることはない。この板、

    籐で編んだバッグのてっぺんに使うということで、1.2ミリの隙き間には籐(皮

    籐)を薄く削って差し込む仕様。お持ちいただいた実物バッグは実に見事な

    仕上がりで、これなら相当高価であるに違いない、黒檀の値段など微々たる

    もんなんだろと納得したわけなの。

     

     でね、懇意にしてる材木屋さんに黒檀ありまっか?と聞いたら、一本だけある

    と。そもそも黒檀は、黒と茶色のまだら模様がフツ〜で、真っ黒くろ助は

    「マグロ」といって非常なる希少材とのこと。う〜む、そういうことかい。

    その希少材が一本だけあると。しかもですよ、板の厚さは依頼品とピッタンコ。

    一応値段はと聞いたら6000円ってことで、即受け取りにいったワケ。

     

     受け取る際にさらに質問だ。マグロは真黒の意味らしい、どうしてマグロが

    ないの? そりゃダンナ、大手の楽器メーカーが買い占めてるんでさ、ギター

    やチェロ、バイオリンなどの指板にはこれでなくっちゃいけねえってね。

    ふ〜ん、なるほど、そういうことと相成っとるのか、拙者ち〜とも知らなんだ。

    そんじゃ、なにかい、も一個欲しいとなったらムリなのかい? そ〜でもねえ

    んでさぁダンナ、蛇の路はヘビってね。アッシの仲間で一軒だけ秘かに数枚

    隠し持ってる奴がいましてね、そいつに頼みゃぁ明日にでもご用意いたしやす。

     

     ま、そんなこんながあって、出来上がってきたのがきのうのこと。開梱して

    みればおおよそのかたちは出来ているものの仕上がりはイマイチ。っていうか

    イマニイマサン。これじゃ到底そのままお渡しすることは出来ない。あ〜ぁ、

    オレ様が大嫌いな磨きをせにゃならんのか。

     黒檀をどう思ってるんだ!とココロでつぶやきながら耐水ペーパーで磨き

    始めた。1000番、1500番、2000番で水をつけながら段階的に磨く。あ〜

    いやだいやだ。大体ですよ、黒檀っていえば金額もさることながら硬さも

    一級品、ってことは磨けば光る玉散る刃のごときでしょうが。それを精々が

    200番程度のペーパーで磨いたところでどうになるもんでもない。ピッカ

    ピカに磨けばそれ相応の手間賃は用意されるのに、磨き痕が残ってるんじゃ

    黒檀に対して恥ずかしくないか? 依頼主の予想を超えた仕上がりこそが

    仕事ってもんじゃないのか。

     

     と、作ってくれたアシスタントに一言教え諭してやろうかと思わないでも

    ないが、物言えば唇寒しなんとやら面倒くさいが先に立つ。でもなぁ、やっぱ

    言ったほうがいいんじゃないか。年取るといろんなこと思っちゃうもんでね。

     

    さてと、磨きに取り掛かりますか・・・・・・・・・・・な、店主でした。

     


    宙づりのミス・ブランチ

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       ブログご無沙汰だなァ〜と思いつつ、これといって書く事もないからの放置

      プレイ。ようようの思いで300個の脚を作ったけど、新味ないし。日暮らし

      寝てるわけではないけど、さりとてといった具合。

       地下への階段、手すりの束(つか)を作ってみた。奇妙なかたちだな。

      こうしたかったわけじゃない、こうなってしまったのだ。ちょっと見カンタン

      そうに見えるでしょ。あにはからんや、けっこうむずかしくってね。ヒヤヒヤ

      しながら加工したわけだけど、わかんねェだろうなぁ。

       手持ちのCDは聴き飽きてもうて困ってたのよね。これはDVDでも同じこと

      なんだけど。そこでふと思い立ったのがレコード鑑賞。さっそく聴いてみたら

      あれれ? こんな音であるはずがない! 販売目的で預かっていたDENON

      PRA-2000Zに繋いでみたら、オウ、オオゥ! これですよ、アタイが求めて

      いたのは。で、売価を確認して入手することに。このプリアンプ、mazdaluce

      3000氏が苦労した完全レストア版だ。

       で、おととい。知り合いの講師から要請のあったVHDプレーヤーとソフト

      を持ち帰る。昔むかしのその昔、ビクターから販売されしものたち。う〜む、

      観れば干渉縞が画面に出るんだ。画像は見れる、けど縞模様ががね。ま、

      しばらくは観てみっか。

       そんなこんなで一段落のここ数日、これをやっつけねばなるまい、と。

      当地ミニミニホテルの天井照明が裸電球では、いつまでたっても開業できず、

      だらしないことこの上もなし。でもなぁ、一体どんな照明にすればいいんだ?

      ずいぶん前から考えてはいたけど、さっぱり考えつかないんだから仕方ない。

      あ〜ぁ、どうせようの期間はけっこう長かったもんせ。

       

       なにか良いアイデアはないもんか? 和室だから杉材か?とか、和紙か?

      とか。あ〜でもないこ〜でもないと折りにふれ考えていたのよね、一応。

      でね、やっぱこれしかないかと思い至ったのが「ミス・ブランチ」。

       これだ。昔むかしのその昔(こればっかだな)、この椅子の切片が販売

      されたことがあってね、高かったけどこんなチャンスは絶対にないだろと

      思ってローンで入手。7万円だった。

       それがコレ。キレイでっせ。なんたって買ってからしまいっぱなしだった

      からね。これを宙づりにして照明器具にしようとね、思ったワケなんだわさ。

      アクリルに封じ込まれたバラの花。ここに5Wのミニ電球を20個仕込めば

      キラキラ輝いて、悪かろうはずはない。もちろん、アクリルに加工は一切

      出来ません。枠を作ってそっと置くだけ。落下しないように、熱で劣化

      しないように、盗まれないように、和の雰囲気もいるし、かといってコテコテ

      でもアカン。

       材料はウォルナットとすぐに決まった。吊り下げの構造体としてね。で、

      どんな構造にするか。アクリル面はできるだけ見せたいじゃないっすか。

      細い部材でミス・ブランチの失礼にならないように、アレコレ考えた末に、

       これで行くかと。わかんないっすよね、これじゃ。単なる部品図だもんな。

      いいものに出来上がったら記事にしますからネ。

       

      これを観るだけでも泊まる価値有り、にしたい・・・・な、店主でした。

       


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