九分板

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     一人用ソファを設計していることは既報通り。三作目の試作が完成間近となり、

    本番用の材料を取りにゆく。こういう時はフィットに限る。なんたって荷室広い

    からね。材木は懇意にしている井口材木店。目黒にある家具材専門店だ。

     

     パッチワークのようにいろんな樹種を組み合わせて作りたい、在庫の木材を

    できればぜ〜んぶ欲しいココロなのだ、と伝えておいてある。講師をしている

    学校を通じてのつきあいは、何年になるだろ? 20年近くになるだろうか。

    そんときにゃ親父さんも居たっけ。でも、長いつきあいとはいえそうそう頻繁に

    購入するわけじゃない。月に2万円程度だ。

     

     いくら客とはいえ、全部の在庫品を調べてほしいなんてことは言えません。

    目黒にあるから材木置き場は広大じゃないけど、それでもけっこうな奥行きが

    あり、二階建てだからさ。探すったって一苦労なことはわかる。で、いよいよ

    発注する段になって「とりあえず15枚」欲しいんだけど、と☎し、揃ったと

    連絡を受けて参じたワケ。

     13樹種16枚の板が勢揃いの図。最長は3m、短いのは1m程度。う〜む、

    なかなか壮観だな。渡された納品書を見れば、多種材、2000×120×27ミリ

    15丁、180,000㎥とある。長いの短いの厚みもマチマチで耳付きもある。

     耳付きってのはコレ。板の端っこが樹皮で、真っすぐではないヤツ。

    これらをいちいちサイズを測ってらんない。割れてるのもあるしぶっとい

    節もあるからさ。そんなこんなを勘案しての上記15丁ってことなんだろ。

    充分な信頼関係があるから安心だ。

     分かりにくいけど、真ん中にある白っぽい木(イエローパイン)は、

    長さ2.45m×巾24.5㎝×厚さ26ミリ程度だ。これがいくらぐらいかと

    いうと、こういう計算式になる。

    (2.45×0.12×0.027)×180,000円=1,428円

    ㎥は、1m×1m×1mの塊(容積)のこと。もちろんそんな材木はない。

    あくまでも換算するためのもの。木材のサイズをmに換算し、全部かけ算

    して最後に180,000円を掛けると、一枚の値段がわかるという仕組み。

    これに消費税が加わり、合計1,542円となります。

     

     昔っからある在庫品だし、その他もろもろも込みだから180,000㎥は

    格安です。井口材木さんは、頼めば表面をキレイにしてくれるし、必要な

    長さに切ってくれる。ってことはですよ、ちょっとした棚なら行って注文

    すれば手に入るってことです。新木場の「もくもく」よりは数段手頃な

    値段で板が買えるってこと。もちろん、製材してもらうにはお金はかかる

    けどさ。それにしたって驚くような金額ではないと私は思うんだ。

     

     閑話休題

     アタイが考えている一人用ソファは、おおむねこんな構造なのよ。

    主要な部材はおよそ20ミリ角、それが格子になってる。全部じゃないけど。

    そこで、さてと、だ。これらのバラバラな木材をどのように切ればムダなく

    使い切ることができるのか、を考えなくちゃならないんだわさ。う〜む、

    これは少々面倒くさいことになりそう、な予感がトラック一杯でやってくる。

     

     まず線を引かなくちゃならん。材木にね。黒っぽいのもあるし表面ザラザラ

    だから鉛筆なんか使い物にならない。マジックインキでもムリだろ。やっぱ

    ここは一番現代流墨壷の出番だろ。糸に墨を染み込ませ、ピーンと張って、

    つまんで離せば、一本の線が引ける、アレだ。今は白いチョークのがある

    からさ、それで木取りしてゆかなくちゃならんでしょ。

     

     そんな作業嫌いじゃない。でもアタイの脳力でなし得るのだろうか。

    きっと混乱して、なにがなんだかわからなくなっちゃうんだろうな。お前の

    脳ミソこんなもんか!と思い知らされちゃうに決まってま〜す。

     

    とか言いつつ、ホームセンターへ行くべか・・・・・・な、店主でした。

     


    軍配は身綺麗に

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       正月明けて、畏友T野井氏来訪。板を切るために。他ならぬ貴方様のためなら

      労を厭いやせぬわいな、合点承知之助と快諾し、切って後、歓談のひととき、

      「持て余してるご様子ですナ」と言われてもうた。

       持て余しの主はこれだ。当初、店に置いといたんだ。誰か買うかもとね。

      でもなぁ、些少な来店客でもあるし、その中に「いいね、コレ!」なんて

      言うお方は、それこそ砂丘で針を探すようなもんだろ。こんな黒デカ、

      広くはない住まいに居場所はないに決まってる。日々思うに、邪魔だなこれ、

      ええぃ地下に降ろしちまえ、て〜んでココに。

       

       降ろしてる最中思ったのは、アタイが生きてる間コレを一階に再移動する

      ことないだろな、と。大は小を兼ねる、確かに音はイイ。これまでの

      ヤマハNS-20よりははるかにイイ。でもやっぱ邪魔くさいんですよ。

      音という抽象快は狭いという具体不快に負けるんだわさ。で、どうにも

      持て余した感のあったアタイだからさ、T野井さんの言葉はことのほか心に

      響いたのよね。

       

       なんとかしたいなぁ、コレ。この部屋の中でどうにかなんないかな。

      あれこれ考えてみたけど、置き場所は棚しかないという早漏結論。でもなぁ

      重いからなぁ、絶対に一人じゃ持ち上がらんだろ、そんとき、ふと思い出した

      のが、娘のダンナ。あれ? 明日来るんだったよな。んなら、手伝って

      もらっちゃお! 正月早々、なんてステキなタイミングなんだ。早速、

      黒デカを測り、棚を測れば、ピッタンコ! やった〜、女神が微笑んだ〜!

       

       棚を一段取り外せば、ジャスト納まる。しからば、いざ、配線を外そう

      ではないか、各々方。15台の機器を次々と床に移動し、空っぽになった

      棚板を外しにかかる。これが思ったよりカンタンでね。一服してしばし、

      娘のダンナを待つ。笑わないでね、コレをココに持ち上げたいの、と懇願

      し、一気呵成に数分で持ち上げて設置完了。正月早々相変わらずこんなこと

      やってることが恥ずかしい。

       ホレ、出来上がりじゃ。機器移動につきものの配線の混乱はあったものの

      引っ越してみれば、黒デカはさほど目立たない。縦置き大横置き小の七不思議。

       右の布カバーに二個のスピーカーが納まり、左の空洞は裏からの低音が

      出る仕組みのバックロードホーン。構造の縦筋が美しいと言えなくもない。

      エエんでないかい。

       事前の計測で4台の機器が溢れ出ることはわかっとる。ならばと左側に

      棚をこしらえたもんせ。出っ張るけど、これくらいは我慢がまん。なんせ

       引っ越したあとの広さにはかなわないでっしゃろ。広々としててまるで

      ブラジル高原のようでもある、ナンチテ。さっそく聴くべくCD挿入。

      悪いはずはない、いいに決まってる。珈琲を飲みつつ、タバコ一服。

      一人、どうだ!ってなもんですわ。少なくともNS-20よりもイイ、いささか

      ならず進歩?してるだろ、な気持ちが良い音に聴こえるココロに拍車を

      かける自画自賛っぷり。

       

       そこで思い浮かんだ一言が「小綺麗」。いまある部屋を整理して、

      整頓することは小綺麗って言うことじゃね? 「身綺麗」って言葉も

      あるな。どっちがどう違うの? 調べてみたら「ほどよく整っていて

      清潔であるさま」が小綺麗、対する身綺麗は「身の回りや身につけている

      ものが清潔でさっぱりとしているさま」さらに「他人にとやかく言われる

      ようなやましいことのないさま」と2つも意味がある。

       

       部屋を整理して、広くもなった。音も良くなったし、見た目もまずまず、

      それは小綺麗よりも身綺麗に軍配を上げたいぞ。これに負けないような

      仕事しなくちゃな、柄にもなくそんなことを考えたりしている、今日この頃。

       

      どうダス、T野井さん。こんならいいでしょ・・・・・な、店主でした。

       


      ヤマハ B−1

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         暮れも押し迫った12月29日、mazdaluce3000師のとこへ行きました。横浜

        在住のE守さんからレストア依頼のあったアンプの受け取り立会人として。

        アンプはヤマハB-1だ。なんたって重い、なんたって熱くなる、負の力を大きく

        凌駕する性能の持ち主とは、いまだにオークションでは壊れていても10万程度

        で商いが成立していることをみても魅力の大きさが判断できる。

         

         当店に問い合わせる前に、他所でレストアしてもらって、返ってきたら音が

        変わっていたというんだな。よく聞くんだ、そういうこと。私は最初っから

        mazdaluce3000さんだったからそんな目に遭わないで済んだけど。その費用

        20万円。その程度で済んでよかったとは師の弁。お客さんの中には繰り返して

        後にようやく師のところへ流れ着いたなんて方も少なくないんだ。ネット社会

        の弊害はこんなところにも出来する。

         

         すでに痛い目にあってるE守さん、のっけから疑心暗鬼満々でね、ちゃんと

        直るんでしょうか?とおっしゃる。ならば、当店に来て見てくんしゃい、ウチ

        のアンプはすべて師の手になるもんだから、おおよそ見当はつくでしょう、と

        伝えたらすぐに来たことはすでに記事にした。で、まずは工房へ行こう、で

        レストア依頼、で完成の報を受け、押っ取り刀で受け取りと相成った次第。

         すぐに出されたのが交換部品の数々。およそ120〜30位はある。それぞれ

        交換理由と部品の性能を解説。

         絶対に交換しなければならない大型コンデンサーだ。二個使われている。

        師が、かなりの苦労の末、ついにめっけたオリジナルを上回る性能であり、

        サイズもギリギリ収まるものに交換してあります。これだけで数万円は

        します。

         さあて、いよいよ実機を使っての検証に移る。ビスを外しながら一枚づつ

        パネルの解説と測定開始。

         レストア過程で修理した部分写真をパソコンで拡大説明。右の一筋の線は

        劣化した基盤をハンダで補修した痕跡。もちろん、同時に実物を手に取って

        見比べながら。

         レストア後の基盤。相変わらずキレイでていねいは一目でわかる。質問が

        あれば即答してくれる。その惜しみなさに感心する。なんて親切なんだ。

         いよいよ測定だ。チン恋ピン先であちこちをつまんで、一つずつ測定値

        を説明。

         こんなふう。ヤマハの指定値をはるかに凌駕する数値が次々と披露される。

        師はいかにも満足げだ。技術者としての誇りが満たされた瞬間なんだろうな、

        きっと。

         ついでにリレーの説明。こうしてやれば自分で清掃できますよ、ってな

        具合でね。これら一連のレクチャーはよどみなくスムーズに行われます。

        躊躇することなんかまったくない。ぜ〜んぶアタマん中に入っとるんだろ。

         最後に裏面。ここが壊れることよくあるんだ、と指で示す。壊れる理由も

        説明してくれる。ふ〜ん、感心しっぱなし。

         

         B-1の内部を詳細に見たことないし、音も聴いたことないし、受け取りに

        立ち会ったこともない、ないないずくしの私にはとても面白いひととき

        だったんだわさ。アンプのレストアってぇのは、目で見る事できないし、

        聴くにしてもそれぞれの耳次第、曖昧な部分がすごくあるもんね。イイか

        どうかを判断する基準がむずかしい。それを少しでも補おう、仕事の中身を

        明らかにしたい、むろんレストアの内容には自信はあるし、出来るだけの

        完璧さを目指したいココロではあるけど、すべてをさらけだしすべてを

        説明し、お客さんの不安猜疑心を少しでも減じたいという師の気持ちは

        充分理解出来ました。

         

         さらに、B-1のフルレストアはおおよそ50万円なんだけど、予算の都合で

        30万円の範囲内でという制約付きが、今回。真っ先にやらなければならない

        とこを最優先、だから保護回路には一切手をつけていない。万一の際には

        保証しかねるのはいたしかたない。加えて表面パネルや内部の細々とした

        部品交換も省かざるをえない、今後残金の手当が出来た段階で、それらに

        手を加え、正真正銘のフルレストアになる、ということにいなっているん

        どすえ。つまり、分割レストアってこと。これなら少しずつ直せるんだから

        いいんじゃないかしらネ。

         

         とはいっても、こちとら関係者であることは間違いないからさ、いくら

        美辞麗句並べ立てたところで、信用するしないは相手次第だよね。もし

        アンプが不調で思案投げ首のお方がおられたら、ダマされたと思って一度

        お問い合わせなさったらいかがでしょうか?

         受け渡しはおよそ2〜3時間、外に出てみたら見事な夕日だ。

        こりゃキレイだぜ。

         

        でもって謹賀新年・・・・・・・・・な、店主でした。

         


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