敵は神田に在り

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 いや、敵っていうのもおかしいんだけどね。まぁ、ライバルってとこかな。

 

 友人からメモパッドの提案があってね、木と布で作りたいと。見せられた

スケッチ、卓上型だ。今や、なんでもかんでも携帯で間に合うご時世、あらゆる

ものが携帯に収斂されて、まさに進撃の巨人。時計、スケジュール帳、住所録

すべて消滅し、残ったのは名刺ぐらいなもの。そんな時代の流れに逆らってメモ

帳を作ろうというのは時代錯誤も甚だしい! けど、即、それ、面白いじゃんと、

乗ったワケ。

 

 かたちはともあれ、なんたって肝心なのはメモに使う紙だろ、ってことで

神田にある竹尾洋紙に駆けつけたんだ。色紙でもいいけど、数が膨大、ここは

ひとまず白に絞ろう、白い紙にもいろいろあるだろ、どうせ作るんなら全部違う

紙にしたい。さあて、どこから攻めようか、とにかく見本帳で探りを入れよう。

数冊手に取りステーショナリーなる一冊に目星をつけて、在庫しているA4の白紙

全部くで〜と厚かましい注文し、しばし待つ事になったのよ。

 

 ボンヤリ待つのも能がない、展示をやってる二階へ行っったんだ。イギリスの

color planの展示、新しく取り扱うことになったイベントらしく、数枚のパンフ

が目に止まる。いいじゃないか! しかもかなりだ! 中でもチン恋見本帳に

釘付け。

 アタイの大好きな穴開き

 見えにくいだろうけど、中身の紙が見える。表裏一体とはこのことだ。

少しでも中の紙々を見せたい、それを表紙のポイントにしたい、ってこと

だろう。わかりますよ、その気持ち。

 表紙が折り込まれて、3つに分割されている

 左側は紙の厚さの見本

 ちょっと厚い右側は型押し紙の見本。そして両者に挟まれた真ん中部分は

色の見本ってことだ。なんてこったい、よう出来とるやないか。これが

ウェルメイドなデザイン、文句の付けようもなし。コレ売ってるの?と

聞けば名刺をいただければ差し上げてる、ときたもんだ。すげーな。流石

だな。やるなぁ。

 ホクホク顔で頂戴して、一階へ。紙は揃っている。全部で30枚ご覧の通り。

 白い紙が30種類だからどれがどれだかわかにゃい。レジ用紙の順番に重ねて

あります、すかしの向きも揃えてあるんだ。やるなぁ〜。

 印字してあったコンケラーって何? と何の気なしに聞いたら、担当のスタッフ

若輩者でよくわからない様子でね、ま、どうでもいいんだけどね、といった

感じでいたら、すかさずベテランスタッフが書き付けを持って来るんだもん。

やるなァ〜、さすが竹尾洋紙!!

 いつもながらもったいないような紙袋に紙を入れてくれて

 渡されて目についたのがコレ。フツウならセロテープ、ちょっと丁寧なら

印刷したテープ、でもココはコレ。ちょっと待てよ、これって一枚づつ

切れてるの? 一枚づつ作ってるの? 聞いたらさ。えぇ、私たちが

カッターナイフで切れ目を入れて、使うその都度一枚づつ指で剥がして

ペタリするんですよ、と。

 

 ひょえ〜、たかがシールを手作りですか! 以前からやってたっけ?と

ここまでは聞いたけど、誰の発案なの?までは、聞けませんや。そんな

とこまで聞いたら、是非責任者の方と一献傾けたい、御社の心智はいかなる

ものなるや、まで一直線だもんな。そんなことに付き合ってたら商売に

差し障る、単なる好奇心はテキトウにあしらうに限る。そういうもんだ。

 

竹尾に負けないメモパッド作らにゃイカン・・・・・・な、店主でした。

 


箴言 26-11

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     NHK-BS土曜日放映の「刑事モース」は、数少ない心待ちにしている番組だ。

     

     ちょっと前には刑事フォイルがあったけど、もう終わっちゃうの? と、

    終了してしまった。第二次世界大戦中のイギリス、戦場では死人なんか日常

    茶飯事な異常事態ではあるが、銃後を守る一般市民の生活の中でも事件は

    起きる。殺人事件を解決すべくフォイルは知恵を絞る。皮肉たっぷりな

    対比はいかにもイギリスらしいと感心しながら観ていたんだ。終了して、

    残念な気持ちなアタイ、あるとき刑事モースが始まる事を知って、フォイルの

    後継番組なら悪かろうはずはないだろ、早速録画、そして観たワケ。

     

     皆様ご存知ホームズ生みの親コナン・ドイルのイギリスだ。ファーブル

    昆虫記の流れを汲むフランスは動物ドキュメンタリー映画で名作を生み出し、

    ボリショイバレエの流れを汲むロシアはシンクロで他を寄せ付けない美しさを

    誇り、衰えつつあるとはいえアメリカはミュージカル映画の伝統を脈々と受け

    継いでいる。まさに本家の名に恥じることはない。

     

     で、刑事モースだ。時代は1960年代、フォイルからおよそ20年後の時代

    設定だ。巻頭いくつかのカットが目まぐるしく切り替わる。いずれも事件に

    関係したシーンなんだけど、早さと多さでアタイのアタマが追いつかないんだ。

    なんてこったい、これしきのことで、と思うけど、どの顔も同じに見えるし

    名前も覚えてられません。ま、物語が進むにつれだんだんわかってくるの

    ですがね。ふと、思い出されるのは「私だけが知っている」。こんな古い

    番組はもう誰も知らないんだろうな。1957年から63年の間、NHKだ。

    前半ドラマ、後半真相解説の二部構成で「結論を急ごう」の決めゼリフの後、

    一気に事件の真相が明らかになるもんだったけど、イイ番組だったなァ。

     

     話が逸れました。モースが関わる複雑な事件を理解するには日本語訳が

    よろしい。んでもって、すべてわかった上で字幕で観る。すでに事件の詳細

    犯人はわかっている。残るは手掛かりとなるセリフや証拠や人々の行動など

    の細かい部分を観直して理解を深めるとともに余韻に浸るわけ。まったく

    グリコみたいで、二度味わえるステキな体験。焦らずじっくりと探偵ものを

    楽しめる。時には一時停止しちゃったりして、大道具小道具をなめるように

    堪能できるんだから応えられませんやね。

     

     そんなとき出て来たのが「箴言26-11」というセリフ。しんげんってのは

    箴言のことなんだろ。うろ覚えだけど。早速、調べたら、箴言26章の11節、

    「犬が自分の吐いた物に帰ってくるように、愚かな者は自分の愚かさを

    くり返す」ってことを知った。ふーん、そういうことなのね。腑に落ちて

    すっきり。この回の物語は殺人事件が表、役人の賄賂が裏という二通りの

    筋立てで、殺人と賄賂が同一人物として捜査は進むけど、違う人物の仕業で

    一筋縄ではゆかないんだわさ。

     

     また登場する人物(特に女優)が魅力的でうっとり。ヒッチコック復活

    を印象づけた「フレンジー」で殺されるバーバラ・リー・ハント嬢にひけを

    とらない決して派手じゃないけどきっとベッドの上じゃエロ味を発揮する

    だろう、な女性陣にも賛意を表さねばならないだろう。そんな魅力的な

    方々がここぞという時にタバコを吸う仕草も素晴らしい。マルサの女の

    宮本信子に見せてやりたいもんだ。タバコっていうのはこういうふうに

    たしなむもんだ! とね。

     

     また音楽や自動車やさまざまな小道具類も溜飲を下げること度々。

    すべてにおいて深い知識と含蓄が伺えてまことにけっこう。けっこう

    だらけで、一時停止せざるを得ない。まったくもって垂直の大騒ぎなんだ。

    ベントレー、ジャガー、ときにロールスの旧車(当時は新車)、ライター

    やシガレットケース、汽車の窓、洋服は言うに及ばず、それらが画面に

    登場するたんびに一時停止、ためつすがめつ堪能したのちにおもむろに

    物語に入り込む。近時、これだけ楽しめる番組はコレしかないと言って

    おこう。なんちゃって。

     

    早くこいこい土曜日・・・・・・・・・・・な、店主でした。

     


    私は泣いています

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       りりぃの歌があったっけ。

       

       わりと最近、新宿の友人宅へシトロエンで行ったんだ。一緒に晩ご飯を食べ、

      帰り道、3回もエンスト、明治通りの原宿が最初でさ。一時的なものか持病

      なのか、さぁどっち? 恐いんで、しばらく放置し、ほとぼりがさめたころに

      乗り出して、調子イイと思ったのも束の間、エンスト再発、ついに家の近くで

      どうにも動かなくなってもうた。

       

       あぁ、これでオシマイ?がアタマをよぎる。レッカーで懇意の工場まで運んだ

      ワケ。☎で連絡してるとはいえ夜7時半ころだから工場は閉まってる。着いて☎。

      兄ちゃん一人が出て来て、後ろにお母様とも一人の女性、シトロエンは動かない

      から手押し、そいじゃ私たちがと女性二人は腕まくり。いささかオドロイタね。

      「大丈夫ですよ、慣れてますから」と言いつつ女性二人とアタイとレッカーの

      運転手、車は軽々と動いて指定の位置に。

       

       第二京浜沿いの白興自動車。事務を担当している奥様が車を手押しするんだ。

      プロ根性にちょっと感動したな。以前から柔らかな物腰、会話の端々に見え隠れ

      する人柄にナミじゃないと思ってたけど、やっぱりな。で、結局シトロエンは

      修理の目処が立たずに廃車へ一直線。友人から譲られて5年、終わりの時を

      迎えての「私は泣いています」。

       

       なんか妙に寂しいんだ。なんなんだろうね、この気持ちは。たかが車だとは

      思えない。アンプにそんな気持ち抱いたことはないもんな。シートやハンドルに

      触れていたからか、あるいは一緒に動き回ったってことなのか。多分、肌で

      触れたという実感なんだろ。肌と肌が触れ合い、エンジン音や振動をカラダで

      受け止め、車内の匂いも。五感で感じる、まるでSEXみたいなもんだもんな。

      愛惜が湧いてもしかたなかろうて。

       

       譲り受けた友人T野井さんに廃車の報告して、白興自動車に。廃車の依頼を

      するために赴く。いろいろお世話になりました。☎一本で片付けるわけには

      ゆきません。奥様がお出ましになり、廃車の手続きの話になり、譲渡した際に

      たしか女性が関わっていましたよね、と言うんだ。アタイはてっきりこの車を

      欲しがっていた女性だと思ったんだけど、実は駐車場の名義を借りたS野さん

      のことだったワケ。そんなことまでよう覚えとるな、と再度感心。奥様は

      腕力もあるけど記憶もかなり、こりゃこの会社の屋台骨を支えているのは

      彼女なんだろうと思ったんだわさ。

       

       このままサイナラするのはなんとも残念だ。ちょっと考えて、せめて助手席

      のシートだけでも身近に置きたい、ってことで廃車にするときシート外して

      頂戴ナ、そして木でステキな脚を作ってあげて、地下で愛用しようじゃないか、

      なで回そうじゃないかと、思った次第でありまする。

       

      悲しみよさようなら、シートこんにちわ・・・・・・・な、店主でした。

       


      お直しOK?

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         毎月、依頼される脚、今月は64個、納めて一服のアタイだ。元々同じものを

        作るの苦手だったんだけど、ますます拍車がかかり、64個でも気持ちを保つのが

        ムツカシイ。やる気のなさの減少が目に見えてワカル。困るのことよ。

         

         作ってる最中に作業服のボタンがとれてね。いずれ付ければいいや、なんて

        思ってはいけません、とれたボタンがどっかにいってしまい、結局ボタンなしの

        袖にイライラしながら、ってなことになること必定。裁縫箱引っ張り出してボタン

        付け終わり、あっ、ついでにズボンの補修もやっちゃうべ。

         たしか去年だったかな? 買ったのは。

         ニットです。裾はこのように編み方が違うんだ。折り目のギザギザに目が

        釘付け、ほぼ即決。イッセイミヤケのA-POC、どこで切ってもほつれることは

        ない。ってこともあってか、裾に切る目安の線を入れたんだろ、とアタイは

        考えてるんだけど、違うか?

         確か、来客に見せびらそうとテーブルの上に何の気なしに置いて、気が

        ついたら傍にタバコの吸い殻。あいや〜焦げてるやないか。穴があいてる。

        ま、ボタンで隠せばいいだろとそのまま放置して数ヶ月、やるなら今だと。

         ユザワヤに行ってボタンと糸を買う。青いズボンだから貝ボタンに決まってる。

        青=海=貝ということで。どうせならと角形、なんとなく6個。

         ハイ! この通り。少し引きつってるけど素人だから上々の出来と自画自賛。

        やっぱいいですな、ボタンは。一応、取り付いたものの心配は糸が抜けて

        こないか?ってことだ。針に通して最後を指先でクルくるっと丸めてポッチ

        にするんだけど、ニットだから強く引っ張ると編み目をスルリと抜けること

        数度。ならばとポッチをデカくしても抜ける気配濃厚でね。恐いんだ、これが。

        今はいいけどさ、洗濯したらぜ〜んぶ取れてやがんのはイヤでっせ。

         で、こんな感じだなもし。6個じゃ少なかったかなァ。でもなぁ、あまり

        多くてもなぁ。ま、着てみてから考えればいいだべさ。

         

        ってなこと言いつつ、さてと仕事仕事・・・・・・・な、店主でした。

         


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